見出し画像

就労支援施設という選択

カウンセリングに来られる方の中には休職中だったり、退職を決められている方もいますが、その多くは就業中です。
通院して服薬治療を受けながらお仕事をされているわけですが、なかなか回復しない現状に悩みを深くされてしまう方もいます。

またこれまでに複数回の転職を経験している方も多くいます。
かくいう私もこれまでに何度かの転職経験があります。
20代のうちはまだ何とかなるものの、30代を超えた頃からの転職は極端にその選択肢が狭まって来てしまい、正規雇用も難しくなり派遣や契約社員という事になってしまいました。

こういった方々の多くは各々の職場での人間関係に問題があり、その都度転職を繰り返してしまうという特徴があります。
仕事そのものは好きだったんだけど、そこでの人間関係がつらくて…と話される方も少なくありません。

つまり人間関係さえ良好に築けるようになれたら、どんな職場でも問題なく、むしろ楽しく働ける可能性もあるわけです。
その問題を解消するためのカウンセリングなわけですが、そこはなかなか一朝一夕で解決出来るものでもありません。

まず一日でも早くカウンセリングを開始することが大切なわけですが、仕事の選択肢の一つとして「就労支援施設」を利用するのも良いと思います。

就労支援施設とは「障害のある人に生産活動の場を提供し、一般企業などでの就職に向けた訓練も行う」施設で、主に精神障害者、発達障害者、身体障害者、知的障害者、難病を持たれている方がその対象となります。
また施設は「通常の事業所で雇用されることは困難だが、雇用契約に基づく就労が可能な方」が利用対象となるA型事業所と「通常の事業所で雇用されることは困難で、雇用契約に基づく就労も困難な方」が対象となるB型事業所があります。(作業所と呼ばれることもあります)

私がカウンセリングの仕事を始める前の数年間、B型事業所で支援員をしていたことがあるのですが、B型は知的障がいを持った方や身体障がいも同時に持たれている方、精神疾患を持った方などが利用されていました。
年齢も特別支援学校を卒業した18歳から60代の方までと幅広く、通常のコミュニケーションを取れる方もいるのですが、それも年相応というわけではない方もいました。
またそもそもコミュニケーション自体が取れない、取りにくい方もいて、就労支援と言っても上記の通り、一般企業での就労はとても無理、A型事業所でも就労も難しい方がほとんどでした。

その点A型事業所は精神疾患や軽度の知的障がいや発達障がい等、通常のコミュニケーションは可能な方が多いため、例えばうつ病や適応障がいなどで休職、或いは退職してしまった方にコミュニケーションを学びながら無理なく仕事をして、やがてまた一般就労が出来るようになる準備としての就労支援施設の利用はお薦め出来ます。

実際に私のところに来られているお客様の中にも、一般企業をうつ病で辞めて以降、担当医の薦めとハローワークからの紹介で障がい者向けの職業訓練を受け、そこでコミュニケーション等を学びながら並行してカウンセリングに通い、A型作業所で2年ほど仕事をしてまた一般企業に戻られた方もいます。

A型作業所といっても雇用形態やその契約事項は一般企業のそれとほとんど同じで給与形態もしっかりしており、また作業所の特質としてそれぞれの体調やその人の特性等に応じた仕事が出来たり、急な休みも大丈夫だったり送迎があったりと、働く人にとってはかなり気分的にも楽なことも多いです。

また仕事内容も様々で、私の知る限りでは農作業だったり調理やお菓子、パン作り、日用雑貨を作ったりパソコンを利用しての作業などもありますし、恐らく今はもっと多岐に渡っていると思います。

いくつかの条件はありますが、ひとまず「仕事をして給与をもらう」という事を行ないながらココロの病からの回復を考えられている方には、このような就労支援施設の利用も考慮してみると良いと思います。


この記事が参加している募集

#仕事について話そう

109,975件

頂いたサポートはカウンセリング普及活動などに使わせて頂きます