見出し画像

自殺はどうすれば無くせるのか

昨日、2023年版の自殺対策白書が閣議決定された、とのニュースが流れ、その内容が公開されました。

「令和4年版自殺対策白書」-厚生労働省

それによれば2022年の自殺者数は2万1881人(前年比874人増)、自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は17.5でした。
一時期は年間の自殺者数が3万人を前後していたことから考えると、減少はしているのですが、前年と比較するとまた増えている数字となっています。

男女比は男性は前年から807人(13年ぶり増)、女性は67人と3年連続で増えており、年代別では、50代や80歳以上の上昇が見られる一方で10代(小中高生)が517人と過去最多になっています。

いくつかの報道には男性芸能人の自殺が引き金となって自殺者が増えたとする「ウェルテル効果」を指摘しているモノもあり、それを報道するメディアの報道の仕方に言及しているモノもありました。

原因・動機別では、全ての年代で「健康問題」が最も多く、「家庭問題」と「経済・生活問題」が続いています。
また、G7のうち日本の自殺率は最も高い結果となっています。

カウンセリングをしてくる中で「死にたい」と口に出される方は結構います。
(「いなくなりたい」「消えたい」は少しニュアンスが違うと感じています)

経験上「死にたい」と口に出される方のほとんどは本当に「自殺」をしようと考えているわけではなく、それほどつらい想いをしているということを知って欲しい、分かって欲しいという気持ちが強いと考えられます。

ただ、上記のように著名人の自殺報道がきっかけとなって、自殺してしまうことにつながるということはあるのかも知れません。

大切なのはどうすれば自殺を食い止めることが出来るのか、ということです。
これは虐待を減らすためにすべきことと根底はつながるのかな、というように考えています。

人それぞれに悩みがあり、不安があって、それらは人が生きている限り常に付きまとうモノです。
多くの人たちはそれらに直面した時、その場面で自分に何が出来るか、何をすべきかを考え、行動することでその状況を打破していこうとします。

ですが自分一人でそれらを何とかしようとしても出来ないことだってたくさんあります。
その時、誰かの力を借りることによってその問題を乗り越えられたら、その人は「人の力を借りること」を良しとすることが出来るようになります。

つまり何か困った時に「困った、助けて」と言える環境を作ることがまず必要なんだろうと思うんです。

ただそこでジレンマとなるのが常に誰かの力を借りることで、自らの努力を放棄してしまう「依存」が身に付いてしまうことです。
これはやはり子供の頃からまず自分の想いをしっかりと伝えられる環境、それを伝えても受け止めてもらえる(受け入れる、ではなく)環境に育つことも大切になります。

まず自分で考え、自分で行動してみる。
その結果を踏まえて「自分だけでは無理」ということが分かった時に、誰かに助けを求められる人になる。
それが大切なんだろうと考えます。

その相談先として一番良いのは家族であり、友人など身近な人になると思うのですが、自殺を考える人というのはそういった身近な人に相談出来ない、相談することが恥ずかしい、相談しても受け止めてもらえない、という状況が強くあります。

そこで相談先として考えられるのは公的機関による相談窓口やNPO法人が運営するそれらがあるわけですが、そこでも全ての自殺を食い止められることは難しく、またそういう窓口に辿り着けないケースもあるだろうし、躊躇してしまうこともあると思います。

もちろん私たちカウンセラーというのもその窓口の一つになるのですが、どうしてもそのハードルが高いと思われてしまっている現実もあり、そうなるとやはり周囲の人たちの存在が頼りとなるのではないかと思うんです。

カウンセリングを生業としている私自身がこんなことを言うのも情けないのですが、何とかそういった窓口に繋がれる方法はないモノか、と考えてしまいます。

どうか皆さんの周り、半径2mくらいの中にいる人たちに少しだけ目配り、気配り、ココロ配りをしてもらえないでしょうか?

そして周囲にいる人たちに、常に声を掛けてあげてはもらえないでしょうか?
そこで何か変化を感じ取って欲しいということではなく、誰かから声を掛けられることで自殺を思い止まる人もいるからです。

そこでもし、悩みを打ち明けて来られたらその人の話を聴いてあげて下さい。
聴くだけで構いません。
何かアドバイスを、とか手助けを、と考えなくても大丈夫です。
ただ『聴いて』あげて下さい。

それだけでも「話を聴いてもらえた」という安心感を得られますし、そこから行動を変えられることもあります。
そしてもし可能ならばそのような専門窓口に行ってみたら、と一言だけ添えてあげて下さい。

声を掛けるだけでも、話を聴くだけでも、窓口を教えてあげるだけでも自殺は食い止められるかも知れません。
そのような行動の積み重ねはやがて、自殺予防につながっていくモノと信じています。

今、自殺を考えているあなたへ

その気持ちを私に話してくれませんか?
何も変わらないかも知れません。
何も解決しないかも知れません。

けどあなたのつらい気持ちを誰かに話すことが出来たら
もしかするとそこから「何か」が変わるかも知れません

ひとまず「話して」みませんか?


頂いたサポートはカウンセリング普及活動などに使わせて頂きます