見出し画像

色のない世界

全部灰色

 青空も目には入ってる。見てはいるけれどちゃんと

認識してるのかな?

 うつがひどい時の生活のなかで外を歩いているとこ

ろを思い出すとその映像はずーっと曇りの空で灰色な

んです。でも曇りの時ばかり外に出ているわけないで

すよね。つまりは色がない世界で生きている感じなん

だと思います。

 ある日ふと空の色が綺麗だなぁと思った時、道端に

咲いている花を綺麗だと思った時、嬉しいと感じまし

た。世界はこんなに色に溢れていたんだと思いまし

た。そして同時に悲しみも押し寄せて来てました。何

故か。今までそれらを感じられていなかったというこ

とに気がついてしまったからです。どんどん涙が出て

来ました。この涙は嬉しさから来たものなのか、悲し

さによるものなのか。

 嬉しいと感じた自分に悲しいと感じた自分が裏切ら

れたと思いました。それによって湧き上がった悲しみ

もあったのだと思います。私にはこういった心の中に

相反する2つの感覚がある時があるのです。自分の心

の中なのに不思議ですよね。最近になって現れる様に

なりました。
 
 自分を変えること、変わってしまうことでそれまで

の自分が無かった事になる様な気がしてしまいます。

病気は治したい!でもうつ病を治してしまったら病気

だった自分を無かった事にしてしまうような感覚が湧

いて来てしまったのです。心の中の病気の私が「置い

ていかないで」と泣いてすがってくるのです。苦しん

だ時間が長ければ長いほど、そこから動きたくなくな

るような感覚になるのです。もったいないと似てるよ

うな違うような感じです。自分を変えるという事をそ

れまでの自分を捨てる様な、否定する様な気がしてし

まうのです。でも今の自分がいるのは確実にそれまで

の自分がいたからなんです。「今までありがとう。頑

張ったね。」と言うとまた涙が溢れて来ます。

 人の価値観や思いは生きていれば変わっていくもの

です。環境や出会った人に良くも悪くも影響されて少

しずつ変わるものなんだと思います。でもきっと全部

なくなる訳じゃないんです。積み重なり、上書き、書

き換え、付け足し。後は……なんでしょうね?

 うつ病になって良かったなんて絶対に言えないしそ

の経験があるからどうのとも言いたくもないです。け

れどうつ病になって気づいたことも少なからずあるの

です。だから全部ぜーんぶ持って生きていくしかない

のだと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?