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『方丈記』鴨長明

「ゆく川の流れは絶えずして、

しかももとの水にあらず。

よどみに浮かぶうたかたは、

かつ消え、かつ結びて、

久しくとどまりたるためしなし。」


世の中の流れは速く

消えゆくこともあり

また新たに起こることもある。

川の中に水は同じように見えても

その水は同じ水が流れているわけではない。

世の中の状態はいつも変化していく。


世の中が動乱の時代

貴族の衰退と武家の台頭

大火、辻風、飢饉、大地震が次々と起こり

また福原京への遷都による京の衰退

無常観と浄土信仰が広まった時代


鴨長明が書いた日本三大随筆とされる『方丈記』

住居を構えてもむなしくなるばかり

人間関係においてもうまくいかない煩わしいことばかり

だから

小さな方丈庵に住むことを選んだ。

方丈記には

今の状況においても通用するようなことを書いている。

時代が違っても

人間はそれほどには変わらない。


ブルース・チャトウィンも

『どうして僕はこんなところに』という本を書いている。

詩人のランボーも

「俺はここで何をしているのだろう?」と手紙を書いている。


世の中から離れていると

ふと

なぜそうするのかと自問するのだろう。


選択した自分と

その選択を疑う自分の

両方がいるのだ。


さらには

多くの分裂した自分というものが

自分の中にいる。


それぞれの分裂した自分と対話をして

自分を納得させながら生きているというのが事実。


鴨長明は

58歳から

方丈庵に住み

『方丈記』を書き

琵琶と和歌を楽しみ

そして

62歳で亡くなった。


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