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なぜ外国人はわざわざ日本に留学する?

現状、日本で働きたい(出稼ぎをしたい)外国人にとって、在留資格「留学」が日本で働くための抜け穴となっています。

このことを確認するために、外国人が日本で就労をするためのルートを6つに分けて考えてみたいと思います。


①日本に長期滞在するための身分を獲得する

1つ目は「日本に長期滞在するための身分を獲得する」というルートです。

永住者の身分を獲得したり日本人の配偶者になったりすれば、自由に就労することが可能になります。


しかし、日本で働きたい外国人にとって、このルートをとることは極めて難しいでしょう。



②就労ビザを獲得する

2つ目は「就労ビザを獲得する」というルートです。

最もわかりやすい王道のルートと言えますが、就労ビザを手に入れるためには何らかのスキルが必要ですし、高い日本語能力が必要です。


よって、スキルに乏しく日本語も拙い「何も持たざる者」にとって、このルートをとることも難しいでしょう。

就労ビザのうち、特定技能と技能実習については後述します。



③在留資格『特定活動』を獲得する

3つ目は「在留資格『特定活動』を獲得する」というルートです。

特定活動とは、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動のこと。

具体例として外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者などがあります。

また、やむを得ない事情で既存の在留資格が当てはまらなくなった場合に、日本滞在期間を延ばすための手段として使われる資格でもあります。

しかし、活動内容についてはあくまで「個々の外国人について」指定するものであり、他の在留資格と違って類型化されていません。


日本にとって柔軟に使える在留資格であり、そもそも曖昧なものなので、「何も持たざる者」がこのルートを選ぶのは非現実的です。



④在留資格『特定技能』を獲得する

4つ目は「在留資格『特定技能』を獲得する」というルートです。

特定技能は人手不足が深刻な特定産業分野において外国人労働者を受け入れるために、2019年に新たに創設された在留資格です。特定産業分野として、①介護、②ビルクリーニング、③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、④建設、⑤造船・舶用工業、⑥自動車整備、⑦航空、⑧宿泊、⑨農業、⑩漁業、⑪飲食料品製造業、⑫外食業、が指定されていて、途中転職も可能となっています。


このルートは日本で働きたい外国人が選択するべきルートですが、

産業分野に関するある程度の知識や経験が必要で、かつそれなりの日本語能力も必要なため、「何も持たざる者」にとってややハードルが高いルートと言えます。



⑤在留資格『技能実習』を利用する

5つ目は「在留資格『技能実習』を利用する」というルートです。

技能実習制度は、国際貢献のため開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度です。


日本に来てからスキルを身につければいいので、「何も持たざる者」にとってハードルが低いルートと言えます。

しかし、外国人にとってできれば選びたくないルートでもあります。

なぜなら、技能実習制度は実質的には低賃金労働力不足を解消するための制度として機能している側面があり、技能実習生に対する人権侵害行為が行われている例が少なくないからです。

”ハズレ”な職場を引いてしまったとしても、特定の技能の習得が目的なため、技能実習生は雇用先を途中で変更することはできません。



⑥在留資格『留学』を利用する

6つ目は「在留資格『留学』を利用する」というルートです。

留学生とは、日本の大学(大学院を含む)、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、日本の大学に入学するための準備教育課程を設置する教育施設及び日本語教育機関において教育を受ける者のことを指します。

留学生は基本的に日本において就労をすることはできませんが、資格外就労の許可を得れば週28時間を上限にアルバイトをすることができます。

風俗営業に関わるアルバイトをすることはできないこと以外に、アルバイト先に関する制限はありません。


この6つ目の「在留資格『留学』を利用する」というルートが外国人が日本で働くための抜け穴となっています。

特にハードルが低いのが、日本語学校への留学です。

大学や専門学校に留学するためには相応の日本語能力や学力が必要になる一方で、日本語学校への留学に関してはそのような能力がほとんど必要ないからです。

日本で働きたい(出稼ぎをしたい)けどスキルに乏しく日本語も拙い外国人にとって、最も魅力的かつ現実的な選択肢が「日本語学校への留学」なのです。

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