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鮮やかな色彩と人間臭さに惹かれる「11ぴきのねこと馬場のぼる展」

子どものときに読んだ、馬場のぼるさんの絵本「11ぴきのねこ」シリーズ。好奇心旺盛でずる賢いところもある、でもなぜか憎めない。そんなねこたちに会いに行ってきました!

※展示室内撮影禁止。
ゴールデンウィーク中は同施設でイベントを開催しています。会場内は大変混雑するので、ゆっくり観たい方は平日の来場をおすすめします。


「11ぴきのねこと馬場のぼる展」

会場入り口

11ぴきのねこ

展示室に入ると「11ぴきのねこ」シリーズの原画がずらり。他にも、実際に書いたアイデアスケッチからラフスケッチまで、絵本ができるまでの貴重な資料が展示されていました。

「11ぴきのねこ」シリーズを含め馬場のぼるさんの絵本は、「リトグラフ方式」を応用した印刷方法を採用しています。作者が色ごとに1枚ずつ版を描き、最終的に版画のように色を刷り重ねるのです。

色の数だけ版が増え、最終的な印刷まで完成形は、馬場のぼるさんの頭の中。そんな時間のかかる工程を経てできた絵は、やわらかで温かみのある表情をしています。この工程についても展示内で説明されていますよ。

フォトコーナー

「11ぴきのねこ」シリーズで特徴的なのが、決して「よい子」の主人公ではないこと。ねこたちは、お腹が空いたらためらわずに魚や鳥を仕留めようとするし、自分たちの利益になるなら、ずるい手も使うのです。

そのため、しっぺ返しを受けることもしばしば。そのリアルさが子どもには面白く、大人になって読み返しても考えさせられるのだと思います。

会場内には、各作品についてのコメントが添えられています。ねこたちが見覚えのない他の生き物を自然と差別してしまうことについて、考えさせられる内容も書かれていました。

絵本

「11ぴきのねこ」シリーズ以外にも、数多くの絵本を手掛けてきた馬場のぼるさん。絵本デビュー作である「きつね森の山男」から、遺作となった「ぶどう畑のアオさん」まで、表現豊かな絵本の原画が展示されています。

漫画

馬場のぼるさんは、元々漫画家出身。手塚治虫さん、福井英一さんとともに「児童漫画界の三羽ガラス」と呼ばれていました。展示された漫画は、今読み返してみても、コミカルでくすっと笑える話。

漫画なので、当然セリフが振ってあります。ですが、「絵だけで語ってくる」表現は、のちの絵本制作にも繋がってくる力を感じました。

スケッチブック

プライベートで描かれたスケッチや絵画なども展示されています。愛用のペンなどの筆記用具も見れますよ。

スケッチを観ると、鉛筆でさらっと描いているのに、デッサンが全然狂っていないのがすごい……。「子どもの時から絵を描くのが好きだった」というコメントと合わせて、描くべくして生まれた人なんだなぁと思い知らされます。

コラボメニューやグッズなど

ニャゴニャゴクリームソーダ ¥770(税込)

施設内の展望喫茶「BLUEZONE」ではコラボメニューがあります。コラボメニューを頼むと、コースターが1枚ついてきますよ。

また、グッズショップ「墨汁一滴」にて、「11ぴきのねこ」グッズ、馬場のぼるさんの絵本や関連書籍を取り扱っています。

また、
・石巻の街なかを巡るスタンプラリー
・ワークショップ
・よみきかせムービー
などの企画も楽しめるんです。

会場は「石ノ森萬画館」

宮城県会場は、石巻市にある「石ノ森萬画館」です。「11ぴきのねこと馬場のぼる展」は2024年4月13~6月9日までとなっています。興味のある方はぜひ観にきてください!

嫌なところも良いところも隠さない「11ぴきのねこ」に会いにいこう

左:ポストカード ¥110(税込)
右:コラボメニュー特典の「11ぴきのねこコースター(非売品)」

馬場のぼるさんの作るキャラクターは、人間臭いところが魅力だと思っています。失敗もするし挫折もする。他人の役に立とうと行動したのに、最終的に惜しくなって自分のものにしたくなる。自分自身にもある嫌なところを、ユーモラスに描いているからこそ、親しみを感じるのでしょう。

「11ぴきのねこ」シリーズは、「よい子」ではないねこたちが、自分たちの思うがままに行動しています。そのせいで失敗することもありますが、決してくじけません。そんなキャラクターが、鮮やかな色彩とシンプルな線で大きな口を開けて、絵本の中から笑いかけてきます。

その姿は、負の部分を消したい自分に、「そのままの自分で考えて生きればいいじゃない」と語りかけているよう。嫌なところも良いところも隠さず見せてくれるキャラクターたちに、あなたももう一度会ってみませんか?

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▼こちらは同じ会場で、「中村佑介20周年展」を観たときのレポート。

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