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【雑記】マリオRPGという私のオリジン

マリオRPGのリメイクが2023年11月17日に発売されました。この素晴らしい日を記念して、是非とも日本は国民の祝日にするなり5m強の記念碑を建てるなりの対応をすればいいと思います。

それほどまでにマリオRPGは大変素敵なゲームですので、マリオ好き、RPG好きのどちらかに該当する方につきましては是非ともプレイをオススメする次第です。そして、一緒に記念碑を建てよう。11月17日には記念碑に祈りをささげよう。

さて、マリオRPG。
こちらの原作はいつ発売されたゲームでしたっけ。確認してみたら、驚愕の1996年3月9日。1996年3月9日ですよ。
なんと27年8ヶ月もの月日を経て、満を持しての発売となったわけです。四半世紀以上の時を超えております。すごいですね。

まずは、この年月のブランクの上でリメイクを企画、作成、発売にこぎつけた全ての関係者の皆様へ最大限の感謝の念を送らせていただきます。権利元などの調整も大変だったでしょうに、ただただ有難い気持ちで心がはち切れそうです。

マリオRPGは私個人としては非常に思い出深くてですね、リメイクをプレイ中はヤバい脳内物質がドバドバ出てしまいまして、それはもう大変でした。

結局発売日から二日間徹夜してしまい、それでも興奮して眠気が全くこないもんだから無理矢理朝5時くらいから仕方なく眠るという具合で、「あぁ、小学校の頃はいつもこんなだったなぁ」とあの頃を懐かしんだりしました。

さて、私にとっての合法麻薬であるマリオRPGリメイクについて、原作の思い出も交えながら今回は感想を書き留めておこうと思います。

先に言っておきます。
長くなるぞ、覚悟しろ。


※…リメイク新要素のエンドコンテンツ部分についてのネタバレは避けますが、原作にまつわる部分のネタバレは含ませて頂きます。27年8ヶ月も経ってますので、そこはご理解ください。
原作未プレイで、これからリメイクで初プレイになる方は是非ともストーリークリア後に見て頂きたいと思います。




○ マリオRPG原作との出会い

マリオRPG原作が発売された当時、もやし親父さんはロールプレイングというジャンルのゲームは全く触っていませんでした。当時の私は9歳そこらですから、触った事のないジャンルなんて沢山ありました。

当時までに経験していたゲームの代表格はもっぱらマリオ・ゴエモン・くにおくんといった具合のアクションゲームが主流でした。あの頃だとゴエモンはきらきら道中とかやっていて、「惑星インパクトを救え!」というミニゲームでAB擦り連打を頑張りすぎて指に水膨れを作っていたのもいい思い出です。

その中でもマリオは非常にお気に入りでして、マリオコレクションやマリオペイント、マリオのピクロスやドクターマリオ、マリオとつけば全てやろうとするマリオ狂でした。
家にあるマンガもスーパーマリオくんやマリオ四コママンガ劇場、他に本はねぇのかと言われればマリオ関係の攻略本とかそういうのばかり。私の幼少期はマリオに育まれたといっても過言ではございません。

※…ちなみに、後程にボンボン版のマリオ漫画(本山版)を知り、そこから同誌のゴエモン漫画(帯ひろ志版)を知ってしまい、ある種の歪みが生じ始めたのは別の話である為省略させて頂きたく。

そんな中、満を持して「スーパーマリオRPG」は発売されました。

まず、当時は3D的表現のマップを斜め視点から操作するという所から早速度肝を抜かれまして、奥行表現ありきで操作できるマリオの世界にドチャクソ感動しておりました。感動の沸点が低い。


そして一番最初のエンカウント、相手は「ノコへい」。
えっ、ノコノコじゃないの!?誰だこいつ!!??
ノコノコのような、でもノコノコじゃない、ノコノコが武装したような新キャラがマリオに対してパンチで攻撃してくる。そこにもなぜか感動する幼き自分。

それに対して「パンチ」で攻撃するマリオ。
えっ、ジャンプで頭を踏まないでグーで殴るんですか!!??
コマンド入力成功で連続パンチを繰り出すマリオに、輪をかけて感動する幼き自分。いい。すごくいい。マリオが「戦っている」。マリオも拳で戦う事ができるんだ。

とまぁ、もやし親父さん(9)、感動沸点が若干低すぎやしないかという話ですがそれは今の自分でもそう思います。

しかしながら、くにおくん以外のパンチキックで戦うゲームをほとんど知らなかった当時のもやし親父さん(9)は、ジャンプ以外の方法で戦うマリオの姿に何やら得も言われぬ感情を抱いておりました。あの時の気持ちを例えるなら、彼氏の新しい一面を知りトゥンクする彼女の心情に、似ている。

今でこそ64以降の作品でマリオがパンチを繰り出すのは当たり前になってますが、マーシャルアーツ系マリオは自分が知る限りマリオRPGが初出だったと思います。

自分にとってオリジンであったキャラクターが新しく見せてくる姿に大いに魅せられる。これが「スーパーマリオRPG」、そして「RPGというジャンル」とのファーストコンタクトでした。

○ もやし親父の育ての親は、マリオ

さて、先ほども述べた通り一桁歳の自分にとってマリオは世界の全てに近い存在でした。

ゴエモン・くにおくんもあるけど、当時は本数をそれほど持っているほうではなく、持っているゲームの7割半はマリオという状況でした。
おねだりするゲームも、漫画も、ゲーセンのぬいぐるみも、基本的には全部マリオ。そこまで自分にとってマリオが世界の中心になっていたのは、とある理由がありました。

それは、
幼少時の自分が発達障害持ちで、
自閉症気味だと診断されていた事。

・絶望的な状況を救ってくれたヒーロー

すいませんが、ルーツを語るうえでどうしても切り離せない話なので少々自分語りをさせて頂きます。

全体的にもやし親父さん(5)には、学習能力の遅延ステータスがあったようなんですが、特に酷かったのはどうやら言語関係のようです。

当時自分は5歳前半までまともに言葉を喋ることすらできなかったんだそうです。さらに文字を書くのも苦手で、言語を用いたコミュニケーションが絶望的にできない。小学校入学を控えている中、通常の教育を受けれるかは絶望的な状況となっていました。

そんな自分を巡って当時自分の両親は、お互いに原因と責任を押し付け合いめちゃくちゃ喧嘩していたらしいです。

で、そこからメキメキと国語力を高めることができたのが「マリオ」という存在のおかげだったんですね。

幼き自分はマリオシリーズにめちゃくちゃにドハマりし、そこから「スーパーマリオくん」という初めての漫画に出会った事で、ようやく言語能力を取得していきました。沢田ユキオ先生は私の国語の教師です。

さらにそこからマリオシリーズの攻略本を与えられ、敵の紹介、テクニック、ステージ構成といった文章を読むにつれて、漢字の読み能力はかなり強くなっていったという経緯があります。

すると5歳の後半、もやし親父さん(5)はいきなり両親に「ジャンプしてノコノコを踏むんだよ」とゲームの説明をし始めたそうな。ブーブーだのマンマーだのしか喋れなかったはずなのに、いきなりベラベラと喋れるようになったもやし親父さん(5)を見て両親は驚愕し、号泣したらしいです。

マリオペイント「ハエタタキ」

また、コインが100枚で1UPというシステムを理解し、マリオペイントでハエを倒せば残ハエの数字が減るというシステムに触れたおかげで、小学1年生の時の算数は全部満点だった記憶があります。

さらにマリオのピクロスでパズル的な推理要素にもある程度強くなり、数字を整理する能力も着々と身につけていったおかげで、勉強能力はなんとか周りの子に追いついたようです。

なので、自分が言語能力・計算能力の礎を築けたのは、誇張表現抜きに間違いなく「マリオ」という存在があったおかげなのです。

「マリオ」は私のオリジンであり、敬愛する対象であり、信仰する対象ですらありました。

○「マリオRPG」の素敵なキャラ達

そんな、敬愛すべき、信仰すべき対象が、自分の知らないスタイルで戦い、自分の知らないスタイルで世界を歩き、自分の知らない喜怒哀楽の顔を見せ、そして自分では想像もしなかったキャラクターたちと協力して困難に立ち向かう。
それらがどれほどに刺激的だったかは、筆舌に尽くしがたいほどの心のうねりでした。

・新しい「マリオ」の戦い方と表情

やはり、マリオの「パンチで攻撃する」というアクションは、RPGがどういうものなのか全く分からなかった自分にはとにかく強烈でした。

今だったら、そりゃ装備がなけりゃ拳で殴るわなというのも当たり前だと思いますけど、当時のマリオは「踏む」か「甲羅を蹴る」か「野菜とかを投げる」か「ブロックの下から叩く」以外には攻撃方法はないという先入観があったわけです。それがいきなりのパンチの応戦。
「これが…RPG……ッ!?野蛮で心が躍るッッッ!!!」となったわけです。
※…この時点では全然RPGがなんたるかを理解できていません。

で、1度ボコボコにやられたハンマーブロス戦を経た後に「ハンマー」を手に入れ、そこで「武器を装備する」という新しい概念を知り、そして次の戦闘でマリオがハンマーを振るった時はメチャクチャゾクゾクしました。

マリオが、あのマリオが、ハンマーブロスのハンマーを使って戦っている。
スーパーマリオ3でハンマースーツを手に入れた時に酷似するような感覚を覚え、「え、このマリオ、もしかしてシリーズ最強じゃね?」とメチャクチャ興奮しました。

「旅は 道づれ、世は なさけ」の意味を当時はさっぱり分かっていませんでしたが、RPGの概念をまた一つ新しく知る、刺激の強い初体験となりました。すごいよね、武器装備だけで普通こんな感動しねぇよ。当時の自分、初物への感性がとんでもない。

当然、ずっとこんな調子なので新しい武器が出てきて装備を変更するたびに感動しまくってました。
それに「マリオRPG」の場合は装備によってアクションもコマンドタイミングも違うから、新しい武器との出会いは新しいタイミングゲームとの出会いでもあったわけです。
「タイミングに合わせてボタンを押す」という作業が楽しくなっていった、という体験は考えてみれば今の音ゲーにのめり込む礎になっていったのかもしれません。

そして、「ゲーム全体にストーリーや会話が存在する」というのも、これが初めての経験となります。

今まで経験してきたゲームは、「とにかく進む」「まずはクリアする」が前提としてあり、ある一定の場所まで進むことでようやくストーリーっぽいものが流れるものばかりでした。

しかし、そこはRPG。シナリオがあり、キャラクターの会話があり、感情がある。進めれば進めるほどに自分の知らないマリオが豊かな表情を見せてくれる。

今回リメイクやってて思ったんですが、今見ても良い表現や表情ばかり。マリオRPGは、「しぐさや表情でキャラを魅せること」の大事さを改めて感じさせてくれました。

ちなみに、マリオの武器で一番好きなモーションは「パンチグローブ」です。マーシャルアーツマリオは、いいぞ。

・マリオシリーズの新しい顔、「マロ」

キノコ城に到着し、会話イベントをこなした後、「マロ」が仲間になります。リメイクはここでムービーが挟まって、表情豊かに動き回るマロの姿を見て「あぁ~~~」以外の言葉が出てきませんでした。
このしんきょうは、猫が床でゴロンゴロンしているのを画面越しに見ている気持ちに、にている。

原作プレイ当時はこの「新しいキャラが仲間になる」という要素もめちゃくちゃ衝撃だったんですよね。
とくに「マロ」と、この後でてくる「ジーノ」は、今までマリオシリーズに全く出てこなかったキャラだったこともあり「どちら様!?」という感想がまず真っ先に出てきてました。

当時はマロのA攻撃の弱さに戸惑い、マロの運用の仕方に困ってしまったのもいい思い出です。
「新しいキャラが仲間になる」という経験が初めてだったせいで、キャラによってステータスが違うとか、攻撃や魔法などの得意不得意があるとかも当時はさっぱり分からなかったんですよね。
(逆に、キャラの性能個体差が最初からほとんどでないRPGってFF5くらいじゃないですか?)

でも、「なにかんがえてるの」で相手のHPが分かるようになってからは
マロは絶対に外せないキャラという位置づけになりました。
それに、多分マリオRPGファンの1800%くらいの人が喋ってると思いますけど、「コマンド成功させた時に心を読める」という要素がやっぱり面白すぎたんですよね。

当時元ネタ分からなかったやつの例

見えている世界が狭かった自分には元ネタの95%は分からないもんばっかりでしたが、敵がただ倒すだけの存在ではないという経験は、やはりこの時が初めてでした。

あと、マロは可愛い。可愛いは正義。ビジュアル的可愛さと子供的可愛さが丁度良くマッチしている良いキャラだと思います。
泣き虫で、泣くと雨が降るという要素が所々に活きているのもすごく好きです。マロが泣きそうな場面を察してマリオが事前に傘を差すシーンでは「こいつら心で通じ合っている」感があって心がホワホワしました。

ちなみに、マロの武器で一番好きなモーションは「ソニックシンバル」です。鼓膜破壊待ったなしだからもう少し威力高くてもいいでしょ、あれ。

・マリオシリーズの新しい顔、「ジーノ」

そして次に仲間になる、スターロードの住人が人形の身体を借りたという設定の「ジーノ」。
スターロードといえばマリオワールドではいわゆる「裏面」扱いのワープステージ。そこが表舞台に登場するという展開は、当時すでに相当回数マリオワールドをやりこんでた自分には衝撃的な内容でした。

結局どう読むんや ローマ字でおk

発音の難しいスター語とやら、ぜひ聞いてみたいし翻訳してみたい。

さて、ジーノさんはA攻撃もY攻撃も「男の子」が大好きな要素が沢山あってとても良いですよねぇ。

薬莢まき散らすマシンガン、すげぇスピードでブッパするロケットパンチ、9999ダメージカッター、光学兵器、衛星兵器…どこまでもロマンの塊みたいな武器ばかりじゃないですか。

トイドーの将来は明るい。もしかしたら80cm列車砲とか4.8t榴爆弾とかが好きになったり演説とかするようになるかもしれない。

というかそんなロマンの塊みたいな装備ができる「ジーノ」というキャラ、元々マリオRPG世界ではどんなキャラクターとして扱われているのだろうって気になりませんかね。
あの世界、テレビ的な物の気配は若干薄いけれども「ゲーム」は間違いなくあるしなぁ…。もしかしたら「ジーノ」は、元々は漫画かゲームのキャラなんだろうなぁと予想してみる。

もしこれがトイドーの完全オリジナル人形なら、トイドーの将来は眩しい。

マリオRPG世界的には「神視点」のキャラでかつクールキャラ枠なのも素敵ですよね。肩書も中二病臭くていい。「星を追う者」ですよ。すごくいいですよね。ね。

あまりにもマリオの世界からかけ離れすぎて、原作プレイ当時は「本当にマリオのキャラなの…?」と最後まで疑ってました。まぁ、スクウェア色が濃いキャラだから半分くらいは間違ってないかもしれん。

ちなみに、ジーノの武器で一番好きなモーションは「スーパーダブルパンチ」です。コマンド成功率は低かったです。

・幼心に特殊性癖を植え付ける「クッパ」

シリーズで永遠の敵役だったクッパが仲間になったときもテンション爆上げでしたよね。ボスキャラが仲間になるとか、他の全ての物語でもってもテンション爆上げ確定演出だと思うんです。
クロノトリガーだと魔王、VPだとブラムス、ドラクエ4だとピサロって感じですかね。

ただ、今まで経験していたスーパーマリオシリーズ(1~3、ワールド)では、クッパは完全な諸悪の根源であり不動のラスボスであったわけです。しかし、どうもRPGでは最初から様子が若干おかしかったのが印象的だったんですよね。

物語開始早々、時給2コインのワンワンに足場のシャンデリアを落とされて涙を落とし、

城を乗っ取られた後でも元気に部下を引き連れてたと思ったら、

なんか部下が見るたび減っていって脳みそ夫みたいなセリフを吐くし、

最終的にはブッキータワーの前で憔悴しきった姿を見せていたクッパさん。

まんまる涙が可愛すぎる。

最初は無敵の自尊心でもって城に行きつく事だけを考えていたんだと思うんですよ。我々はクッパ軍団だと。様々な能力に長けた部下と自分の剛腕があればどんな障害も乗り越えられると。

でも、高い能力を持っていたノコヤンが離れていきノコへい軍団は散り散りになり、腹心のカメザードが洗脳され敵に寝返ったせいでカメック軍団が離れていき、クリジェンヌも一身上の理由で軍団を離れていきクリボー軍団も姿を消し…

部下が少しずつ減っていく過程が詳しくは語られてはいませんが、恐らく彼らも道中にカジオー軍団との戦いがあったのでしょう。その結果、マリオにあれだけ情けない姿を晒すクッパをみて、なんか幼心に胸がキュン…ッとしました。

なのにマリオの前では精一杯強がるし、いざパーティーに加わって戦闘となるとモーションはすごくイキイキしているし、
「えっ、クッパってこんなキャラだったっけ…」と、いい意味で自分の中のクッパ像が崩壊していったのは本当に記憶に新しいです。

モンスタウンでのクッパの振る舞いも、大変に胸がキュン…ッとしました。

かつての部下と再会した時に、自分も大変な目に合っていたにも関わらず、部下の今を祝福し、鼓舞し、決して自分の弱さを見せることはなかったクッパ。
今考えても、あのクッパはガチのマジで理想の上司トップクラスの振る舞いだよなと感じます。

実際に戦ったカメザードにすら、この寛大な対応。ちょっと待って、部下に対するその冷静さは何!?めちゃくちゃ部下を大事にするじゃん!?
たとえ時給が2コインでも付き従う部下がいるのは恐らくこの人柄のおかげだったんだろうと認識させられます。

これは自分の予想ですけど、「シリーズで一番好きなクッパは?」でアンケートをとれば95%くらいの人がマリオRPGのクッパを挙げると思います。というか齢9歳のもやし親父さんに至っては「このクッパなら結婚してもいいな…」と割とガチで思ってました。メリーマリー村で俺と結婚式を挙げようぜ…♂

思えば人生初のツンデレキャラはクッパだったかもしれん。ツンデレは種族も性別も超える。

ちなみに、クッパの武器で一番好きなモーションは「ぶんなげグローブ」です。マリオが状態異常の時に、マリオを気遣って代わりに人形投げてるのみた時は胸がキュゥン…ッとしました。そもそも何で人形持ってるの…????

・シリーズ最強の顔を見せる「ピーチ」

そして最後に仲間になるピーチさん。

ピーチさんは鉄板の囚われ姫ポジションで脳内固定されていたため、「いやいや絶対に仲間になんてならないよな、いくらなんでも」と本気で思っていただけに、さも普通に仲間になった瞬間は「マリオRPGは神ゲー」と疑わなくなりました。

でもでも、ピーチさんは鉄板の囚われ姫ポジションで脳内固定されていたため、「いやいや仲間になっただけ充分すごいけど、まともに戦うことは出来ないだろ」と本気で思っていたわけですが

(ヒェッ)

パラソルで敵を穿ち、すげぇ音がする往復ビンタを浴びせ、敵全体を催眠し、黙殺し、最終的にフライパンによる撲殺とヒステリックな爆弾投下により敵を殲滅しはじめた日には「マリオRPGのピーチは最強キャラ」と信じて疑わなくなりました。
もやし親父の中で、元祖最強の女キャラはブッチギリでピーチさんです。

それでいて、やはり特筆すべきは「回復性能」ですよ。
ここまでのマリオパーティーは専属の回復役がマロに偏りがちで、全体回復ができるわけでもなかったから色々大変だったんですよね。状態異常も、その戦闘で掛かってしまったら治すよりも「頑張って乗り切るほうが早い」というスタイルで突き進んでいたりもしました。

ここでこのピーチさんは「全体大回復+状態異常全回復(消費MP小)」という、鬼性能の回復魔法を引っ提げて登場したわけです。
これ、マリオRPGのバランスだから許されているようなもので他のゲームに持ってきたら超強烈なバランスブレイカーになること必至じゃないですか。
とんでもない魔性の女ですよ、ピーチさん。

ピーチさんの存在が、マリオRPG全体のバランスをうまく調整しているといっても過言ではないと思います。
事実、原作初回プレイ当時は超RPG初心者で回復運用のイロハも何もわかってない状態だったので、とりあえずピーチさんで回復打ってれば負けはしないというバランスは非常に有難かったです。メイプルシロップとピーチさんがいればまず全クリできるって、今考えても物凄い話ですね。

当時の耳に残るCM

まぁ、当時のCMでは
「ロールプレイングゲーム
 やったことない人も
 マリオと旅にでよう
 ドラマをつくろう」
と歌ってたくらいですから、RPG未プレイ層をターゲットに入れたバランス調整だったのは間違いないと思います。

もしかしたら当時のスクウェア的にも、RPGというジャンルに触れた人がFFとかを触ってくれる二次効果を期待していた可能性は十二分にあると思います。(むしろ、それを目的として共同制作した可能性もあるやも)

で、自分を何度も救ってくれて何度もホッペにチュウしているはずの大ヒーローのマリオにすらブチ切れる「ピーチの×××」って結局なんなんすかね。
家臣のばあやは、ピーチさんが×××を持っている事を暗に認めているような素振りをしているのが凄く気になるんですよね…暖炉の裏側の隙間かくぼみみたいなところに仕舞える小型なもので、見られたくないもの…うーむ。

9歳児の自分は特に何も考えていませんでしたが、37歳児ともなってくると長い期間に培った知識で色々考えてしまうのは仕方のない事です。
ムフフ系アイテムだったとして、その所有をみとめるばあやの心は広すぎやしないか、いや、待てよ!もしかしたら跡(---ここから先はボツ記事です---)

ちなみに、ピーチさんの武器で一番好きなモーションは「ちょービンタグローブ」です。

なんすかあのビンタの時の鞭打みたいな音。柳龍光かな?

○ ボスキャラも全部魅力的。そう、「全部」だ。

基本的にマリオRPGのボスキャラは、ほとんどが今までのマリオシリーズにいなかったキャラで構成されていると思います。マリオモチーフのボスは、たぶんハンマーブロス・タコつぼゲッソー・クイーンフラワー・カメザードくらい?(火山のカイザードラゴンはウンババっぽいので要審議)

最初は「マリオのキャラっぽくない…」と若干の拒絶反応があったのですが、世界観になれてくると、むしろ「このキャラたちじゃなきゃマリオRPGは成り立たない」と思えるほどボスキャラの皆さん方もお気に入りとなっていきました。

その中でも特に自分が色々と妄想を捗らせてしまったキャラ達を3名ほどピックアップしていきます。

・べロ~ムという妄想加速キャラ

ぶっちゃけ、マリオRPGという世界でコイツはどういう立ち位置なのか、今でも自分はよくわかっていません。

自分の神殿が建ってるし、カエル仙人が若かりし頃から既にいるらしいし、コピーを作り出す能力、生物をカカシに変える能力もあるし、実はかなりの時を生きている神的な位置づけなのではと思ってみたりするんですよ。

もうちょっとリアルに考えていくと、恐らくべロ~ムはマリオRPG世界では「厄神」的な扱いをされていると推測しているんですよね。

べロ~ムは、べロ~ム神殿からキノケロ水路まで行き来する行動範囲を持っているので、恐らくRPGのワールド全てに出没することができると思うんです。
で、神殿が建ってなかった昔はそれこそ住所不定で、至る所に出没しては偽の住人を作り出して村にトラブルを呼び寄せたり、住民を丸呑みしてそのまま消化してしまったり、「生きる災厄」として語り継がれていたのではないかと容易に想像できます。

まして、にせキャラは「なにをかんがえてるの」でしっかりと個々に意志があることも確認できるうえ、べロ~ムを倒しても一緒ににせキャラは消えないようになっているので、生み出されたにせキャラは個の生命として活動することが出来るということにも繋がります。

ついうっかり戦闘力を持ったキノコワールド住人のにせキャラが作られてしまった日には、そのにせキャラのせいで村が滅ぶなんてことも十分に考えられるうえに、原因となった本物の住人も迫害されそうな予感すらします。人狼ゲーム的な展開になりそう。

そして、べロ~ムの扱いの難しいポイントは「タフネス」と「ある程度意思疎通ができる」という点にもあるとおもうんですよね。
タフネスのせいで、人海戦術で退治を試みてもある一定のダメージを与えると逃げられて無駄に終わってしまう。
意思疎通ができるということは、気にくわない事をしてしまうと標的がそちらに向いて恨みを持ち続けられてしまう可能性が高くなるということでもあり、排他的な手段を取ることにリスクが付きまとうことになる。

ともすれば、人里から離れた山の奥深くの地下に神殿を建て、そこにべロ~ムに住んでもらうように仕向けたのではないかと。
そして、神殿内にいるキャラ達はべロ~ムが出来る限り外に出ないように、そして外に出たとしても戻ってきてもらえるような生活環境を維持するために、魂ごと生贄に支えられた成れ果てなのではないのかと。
さらに、そんなべロ~ムに敬愛を示すモンスター達が、べロ~ム神殿の近くに移り住んだのがモンスタウンの成り立ちだったのではないかと。

………なんてな!

あまりにも特異な存在過ぎるせいで、古代マリオPRG伝奇を妄想してしまうベロ~ム。悪意なく振る舞うのも魅力的な、大好きなキャラです。

・ブッキーの事を、ワイは笑えない。

破天荒で支離滅裂な発言をするブッキー。
彼もまた、めちゃくちゃRPG世界での立ち位置が不明ではあるのですが、バックグラウンドに注目していくとある程度の事が読み取れてくるのかなと思っています。

まず、ブッキーはポッと出の変なヤツというわけではなく、少なくとも6人のご先祖がいるという設定。(肖像画を見る限り、どいつもこいつもクセがありそうなツラしていますけど)
少なくとも現ブッキーは7代目以上の世代ということになってくるんですよね。

さらに部下のブッカーが3人(+α)でお世話をしてくれているようですが、ブッキーは「人の顔を覚える」「脳内知識と目前の情景をリンクさせる」「Aの事象とBの事象を関連付ける」という能力が滅茶苦茶低いことが劇中で派手に演出されていて、多分ブッカーがいなければコイツはマトモに生活できないんだろうなとも思うんですよね。
ついでにいうと情緒とかもメチャクチャ不安定だし、自分の欲望に無駄に忠実すぎるし、マリオRPGのキャラの中でも特筆すべき濃厚さだと思うんです。

でもねー、ワイ、ブッキーのそういうとこ、笑えない。笑えないんだよ。

まず、ワイも「人の顔を覚える」という能力については自分でも絶望しているほどに低いです。
どんな事を話したか、どんな人柄か、一緒の席で何を食べていたか、そういった事はある程度覚えていたりするのに、顔だけは一切思い出せないというケースが自分はかなりのペースで発生します。ぶっちゃけ、仕事にもモロに悪影響が出てるレベルです。
再開した人に無礼を働いたこともあり、本当にトラウマなんですよね…色んな方々に申し訳ないと思って生きています。

地図情報を基に現地へ行くという能力も自分はメチャクチャ低いです。
2D上のデータと実際の3D情報を脳内でリンクさせることがすごく苦手で、目の前に広がる景色に少しでも自分が分からない情報が含まれていると、上手く処理できなかったり理解に時間が掛かったりします。で、結局曲がるところを見過ごしてしまうという…。

どこか旅行に行くときに、自分はとんでもなく下準備に時間をかけます。どこを通るか、何に乗るか、そういったことを事前にまとめておかないと自分はパニックを起こすタイプの人間である事を自分が一番理解しています。

そして「AとBの関連性」を把握する能力についても、少なくともあまり自分は高くないと自負してます。
流石に「ケーキを食うために結婚式を開く」レベルのトンチキ発想はでませんが「AとBの情報としての繋がり」を理解する能力は特段低かったと思います。

超トラウマボス

なぜなら、ちょうどこの時に出てきたボスのケーキ(ストロベリー&ラズベリー)について、「ロウソクの点灯がターン経過による」ことと、「ロウソクが物理攻撃で消す事ができる」ということ、そして「ロウソクが倒す条件に繋がっている」という事に最後まで気付かなかったからです。

勿論、RPG初心者が陥る罠でもあり、仕組みがわかってたとしてもこの時点ではピーチさんもいない分まぁまぁの強敵である以上仕方がない事なのですが、当時9歳のときはここで一度プレイを泣きながら中断するほどに詰んでしまったのが苦い記憶として残っています。
(攻略本が発売されて、そこでようやく理解できて次に進めた)

中学生くらいの頃でしょうか。昔を懐かしんで1日でマリオRPGをクリアしてやろうと2Lのコーラとデカいポテチを準備して狂気じみたプレイをした時があったんですけど、ここでブッキーを見た時に、「これ…俺じゃん…」と共通点の多さに少なからぬショックを受けた記憶があります。
幼少では気づけなかった「自分の能力」に対しての自覚に、実はブッキーが噛んでいるという話でした。

とまぁ、自分語りはこの程度にしておいて。

じゃ、そんなブッキーがこのRPG世界でどうやって生きているのか。
しかもタワーなんて建てて、部下にお給金も払って、ついでにカブトムシの買い取りまでして。どんな生計を立てているのだろうと考えるとこれも妄想が止まらなくなります。

まず今代のブッキーの得意分野は、間違いなく「機械メンテナンス」です。
自分の趣味の機関車いじりの能力は相当なもののようなので、恐らく主となる収入源はそういった類の開発・修理・メンテナンス業ではないかと思います。
なんやかんやマリオRPGの世界にもカメラとかゲームとか機械は色々ありますし。

また、これも推測の域は出ないのですが、6代まで続いてきたブッキーの肖像画を見る限り、それぞれのご先祖様には得意分野があって、そのビジネスの裾野を広げていった功績があるのではないかと思います。

例えば農家みたいな雰囲気の2代目ブッキーは農地拡大に貢献した可能性があるし、荒々しい雰囲気を感じる3代目眼帯ブッキーは漁業や海外業務に精通していた可能性もあります。もしかしたらジョナサンと協定を結んで、海での被害を食い止めた英雄として扱われている可能性もあるやも知れんです。

他の代のブッキーも、芸能や美術、音楽分野に功績を残してそうな雰囲気があったりなかったり。ブッキータワーに出てくるクラウン兄弟の関連性も不明な部分は多いですが、恐らくどこかの代のブッキーがカジノ経営を一任させたのではないかと思ってます。

超妄想なんですけど、1代目ブッキーは建築家で、自分のタワー以外にもべロ~ム神殿の設計も手掛けたとか、そんな可能性もあったら面白いよなと思ってます。厄神を封じるアイデアを作った英雄として富を築いたのなら、自分の塔も建てれそうなもんだし。

つまり、ブッキー一族は収入源を広く確保している可能性が非常に高いという仮説を提唱します。不動産収入や委託収入もある事が考えられるため、ブッキーは生まれながらのボンボンである可能性が高いということになるわけです。

まぁ、推定7代目自身が趣味に傾倒しすぎて若干資金繰りが怪しいような雰囲気はありますけどねぇ…。なんでマリオRPGはそういうところが無駄にリアルなんだ…。

ブッカーも「なにかんがえてるの」で基本的に賃金の事しか考えてないし…。でも、そういうリアルさもまた好きです。

・マルガリータの黒そうな背景

マリオRPGの中では腹の色が暗黒寄りのキャラであるマルガリータも、ある意味謎が多すぎて面白いキャラだなと思っています。もちろん幼少期はブッチギリで嫌いなキャラではありましたけどね。

なにせ、「悪女」をきれいに落とし込んだようなキャラしてますからね、マルガリータ。
マシュマロの国の政治を乗っ取り、自身の銅像をこれでもかと作りまくり、家臣には嫌われ、直接の部下には辛く当たる「ザマス」口調の女。若干頭の弱い部分や脇の甘い部分があるあたりまで、綺麗すぎるテンプレート悪女といえます。

でも、実際に「発言力がある人間を封じこめたり蹴落としたりして、自身が発言力を得る立場に座る」というムーブをかます人間は残念ながら現実世界でも往々に存在するわけです。
こういったケースに対して公平性や善悪の区別を考えるという機会を持つことは、幼少期のゲーム経験としては重要だと思います。
道徳教材として使える女、マルガリータ。

ただ、この乗っ取りに至るまでのバックグラウンドが曖昧なんですよね。
マルガリータもドドも、明らかに雲の上の住人達とは姿が違うため、国を乗っ取るために外部からきたことは明らかではあります。
しかし、何処から来たのか、来たタイミングがいつなのかについては全く触れられていないんですよね。

まずどこから来た、という部分の考察については、恐らく「トンダリヤ」や「キャサリン」が関連するところから、夢の国(サブコン)からの使者じゃないかなと思っています。

ドドの見た目もどことなくUSAキャラのドドリゲスが大きくなったような雰囲気を感じますし、かつ名前にも共通点がある事から、あの世界から来たとしても納得できます。

RPG世界では、マリオは雲の上や天空のスターロードにすら名が届く有名人なのに、マルガリータはマリオを知らなかった。しかし、これが夢の国の使者であると仮説すると、彼女がマリオを知らなかった事も説明できてしまうんですよね。

もしかしたらマルガリータは、マムーがドリームマシンで生み出した悪夢なのかもしれないし、むしろマムーと同列の魔王的ポジションのキャラかもしれない。
トンダリヤやヘイホーについては、とあるマリオの漫画ではマムーの支配から解放された時に仮面が外れて夢の世界の住人としての意識を取り戻す、という描写もありました。実際、USAのエンディングで出てくる夢の住人はトンダリヤのフォルムに酷似しています。
それに従えば、もしかしたらマルガリータは夢の世界の住人を再び従え、洗脳する能力を持っているという可能性すらあるんですよね。
(※…ただ、その設定については調べた限りでは公式情報が見つからなかったので、漫画内の創作だと思います。念のため)

物語での扱い方次第では、マルガリータはワンチャンでラスボスにすることも出来るようなバックグラウンドが妄想できちゃいます。

また、彼女がマリオRPGの世界に来たタイミングについて。

マロが下界に落ちてしまったタイミングは、カエル仙人に小さなころから育てられたというくだりを考えるとRPGの物語開始時よりかなり前になります。
もしかしたら、その転落はただの事故ではなく、マルガリータがマロを意図的に下界に落としたという可能性が非常に高く、もしそうだとしたら国の乗っ取りはかなり前から周到に計画された、えげつないものにもなるわけです。

マリオが雲の国に到着した直後のマルガリータのポジションも不明ではありますが、病床に伏す国王と王女の代わりとして振舞っていた事を考えるに、この時点でもわりと重要なポジションに座っていたことが分かります。

国民側もすでにそれを受け入れているようであり、種族が全く違うドドを王子であると偽っても受け入れさせてしまう土壌が出来ているという所からも、長らく国に寄生して顔が売れていることが伺えます。

雲の上の住人は、銅像職人のガロ以外はまぁまぁ頭の弱い雰囲気を漂わせており、発言力がある人の言葉を「この人がいうならそうなんだろう」と鵜呑みにする描写があります。
そういった国民性も見抜き、大いに無理のあるニセ王子の周知も通すことが出来る見切り力もあるため、洞察力・実行力・忍耐力は相当なものであると伺えます。やっぱり典型的な悪女じゃねぇか。

そんな彼女が、最終的にはブッキーと結婚することを決心します。いやなんでだよ。当時9歳の自分ですら「それはない」とゲラゲラ笑っていた記憶があります。
なんでも、その結婚を決意した理由はブッキーに耳元でささやかれた言葉が理由のようなのですが、いったいどんな口説き文句を言われたのか全く持って想像が出来ません。面白過ぎるだろ。

なにせマルガリータは、多少頭が弱いところがあったとしても、計画を実行に移すための下準備をする能力、狡猾に冷酷に判断を下し実行する能力、そして期が熟すまで耐え忍ぶ能力もあるキャラです。
一体そんなやつを一言で説き伏せ惚れこませるなんて、どんな言葉をささやいたのでしょうか。

言葉の節々からブッキーが資産家である事を見抜いた…?それともワイルドにグイグイくる肉食系に弱い…?

なにはともあれ、この「ブッキーとくっつけてしまえ」という采配を下した当時のシナリオ班の方の剛腕ぶりには何回でも脱帽します。
考えれば考えるほど、マリオRPG内ではカジオー以上の悪である可能性があるマルガリータを、生かした上で今後のご多幸をお祈りさせることが出来るポジションに持って行ったのはただただ見事です。

これだけの悪女、むしろ火山に落としてカイザードラゴンの餌にしてしまってもよかったんじゃね?くらいの過激派が湧きそうなもんですが、ブッキーとくっつけることによって「おっ、せやか。お幸せに!」という空気に向けていくことができるという。
ブッキーというキャラの立て方が上手かったからこそ成り立つ手腕です。

マリオRPGは、節々にそういったキャラとシナリオの掛け合いの上手さを感じる部分があって本当に好きです。

○ 一番好きな場所は「星のふる丘」

もちろんその気になれば「全マップのいい所挙げてけ」みたいなマネも全然できるくらい思い入れはありますが、マリオRPGで一番好きなマップはどこ?と言われれば、自分は「星のふる丘」を推します。

・他人の願いを覗き見るプチ背徳感

ここの星たちに話しかけて聞くことが出来る「誰のかは分からない願い」は、ここまで進めてきたプレイヤーであれば誰の願いかを推測することができる状態になっています。

この演出が非常にニクい。マップの配置場所(タイミング)も非常に上手いと思うんですよね。

説明がなくとも、「あっ、これは○○の願いかな」と直感的に分かってしまう楽しさがあります。
しかもここで得た情報が伏線になって、後程手に入るアイテムの使用用途が分かるようになっているのもワザマエです。

そして、星のふる丘で聞くことが出来る願いは、RPGに出てくるキャラたちの深層心理。
「なにかんがえてるの」で読み取れる表層心理とはまた別の、自分が生涯で叶えたい欲望や願いを形にしていると思われます。これによって各キャラが一層深堀されて魅力が引き出されるのがとても好きです。

例えばマロは「泣き虫を直したい」という願いを持っていました。かぁいい。
自分が泣き虫だってちゃんと自覚していて、それはカッコ悪いから直したいんだって。しかもマリオがそれを聞き取った瞬間に慌てふためいて誤魔化そうとするいじらしさ。あぁ、かぁいい。フカフカしたい。

そんな、全く別のところでキャラの裏側を見ることができてしまうという、ほんのちょっとした背徳感というか、優越感というか、キラキラした幻想的な所で垣間見れるイケナイ感情を味わえるのが面白い場所だと思います。

・敵分布から見る「星のふる丘」環境

そしてそれを演出するような「敵キャラ」も個人的にはかなりお気に入りです。

・ムクムク ・レオン ・ルピー
・パクール ・マンゾー

マリオRPGのマップは、荒地・洞窟・森・マリオ風地下通路・海といった分かり易い属性があって、それぞれの場所に属したような敵がでてきている印象です。
しかし、「星のふる丘」に関しては設定やマップがファンタジックなので、「これ」という敵のイメージが持ちづらい場所だと思います。

ここで、幻想的なイメージの敵で固めるのかな?となる所を、逆に星に関係しそうなキャラを1種類(ルピー)だけに留めて、一見するとまとまりがない疎らな種類を配置しているところも面白いなと感じています。
それでも、不思議とどのキャラも「いてもおかしくなさそう」な雰囲気に感じるのはお見事です。

例えば、レオンは元々星のふる丘に住んでいた毒持ちの原生生物っぽいし、
ルピーは星のふる丘特有の不思議生体。物理で殴れば雲散霧消で即死という危険性のあるキャラになっています。
この2体がいる星のふる丘はそこまで安全とはいえない環境となりますし、それでいて何か動植物が豊富に備わっている環境でもないため、モンスター的には生活環境はよくないと思われます。

なので、他に出てくるキャラ(ムクムク・パクール)は敢えてその環境だから住み着いた説が考えられます。
ムクムクなら、地面に隠れていればいじめられることもなく身の安全を確保しやすい場所だから。
パクールなら、暗闇に隠れやすく、かつメリーマリー村とリップルタウンの間を塒(ねぐら)にして活動できるメリットがある場所だから。
そんな風に想像できます。
や、あくまで想像ですが。

パクールなんかは倒すと超オトクなキャラなので、星の降る丘は稼ぎポイントと認識している人も多いかもしれません。
あいつのコインと経験値が高いのは「二つの町をガチで荒らしまわる賊の討伐だから」とかの裏設定もありそう…。

・マンゾーの『闇』

しかし、この中で特に異質なのはなんといってもマンゾー。
星の降る丘の雰囲気に一番似つかわしくないガチアンデットです。
「このままではすマンゾー!」と脳内でダジャレこいているのはまぁ置いといて、幻想的なイメージを彷彿させるこのマップで、なぜこのような敵が出てくるのかを考察してみます。

ジーノの説明によれば、星のふる丘は「スターロードが破壊されてしまってからは、まだ叶っていない願いも降ってくるようになった」との事でした。
そこから、おそらくマンゾーは「本来ならばスターロードで浄化されるべき、降ることすらなかったはずの願い」が形を変えた成れ果てである可能性が考えられます。

叶ってない願いが星となって落ち、その願いが叶うことなく霧散し、「無念」の集合体となったのがマンゾーだと仮定すれば、「マリオRPG世界でも、願いは必ず叶うものではない」というシビアな部分を示唆していますし、このままでは済ませない、という怨念を具現化させた外見をしている所も辻褄があいます。

複数思念の塊なのであれば、放電現象・寒々・砂嵐といった複数属性を扱う点も納得がいきます。
ただ、放電現象についてはルピーの砕け散った欠片を怨念が取り込んで、マンゾーの形に形成しているから使えるという説もあるかも。
ルピーも魔法物質の思念体みたいな可能性があるし、どちらも炎が弱点だし。

そしてマンゾーって、シンボルエンカウントなしの希少キャラなんですよね。このあたりからも「まだ現生して間もない存在」であることを示唆しているように思います。
もしこのままスターロードを復活させないと、星のふる丘からマンゾーが大量発生してしまい世界を覆う可能性もあると考えれば、わりと百鬼夜行や渋谷事変レベルの災害となりえます。

だって、HP180の複数属性全体攻撃持ちが大量発生とか、ある意味カジオー軍団より性質が悪いんちゃうか。しかもあの見た目だし。
でも、聖水を携えたエクソシスト部隊がマンゾーを退治して廻るマリオRPG的呪術廻戦もそれはそれで見てみたいな。

・スターロードの役割とは

そしてスターロードは「キノコワールドの住人の願いを叶えるための場所」となっていましたが、もう一つの顔として「願いや思念の管理と浄化」という特性もあるのでは?という推測もたてられます。

そもそも相反する願いを両立して叶えることはできないはずなので、「願いを叶えるための場所」と銘打っている以上、叶えるための「調整」は必ず発生しているはずです。
そしてその調整弁が破壊されて、管理されない状態の願いが降りてきていると考えれば、マンゾーのような魔物が生まれてしまう可能性も大いに考えられるのでは…というところまで考えてしまいました。

ただここから先はマリオRPGのスターロード情報が少ない以上、単なる妄想で終わってしまうので割愛します。

よくよく考えてみれば物語の主軸なのにスターロードの情報ってかなり少ないのよね…。秘匿情報はスター語でしか表現しないから外に漏れにくい、とかもありそうな話だな…妄想が捗る…。

○ 一番好きな曲はブッキー関連曲

マリオRPGの良い点を挙げる時に、外せないのはやはり音楽ではないかと思います。もちろん、例に漏れず自分もマリオRPGの音楽の良さには完全敗北をキメている人間の一人です。

今回のリメイクでは元々ただでさえ良かった音楽が全て現代風完璧リメイクされており、新しいマップに行き音楽が流れた瞬間など「あぁ~曲がいい~」と30回くらいは声に漏らしていました。

そんな中で、特に個人的にリメイクが際立って感じたのは「ここはブッキータワーでございます」と「そしてわたしの名はブッキー」ではないかと思うんですよ。
もちろん原曲から大好きだったんですが、リメイクされた事でよりグッと引き出された魅力について、下村さんの出血大サービスの楽曲解説も引用しながら自分なりの感想を書き留めておきます。

・「ここはブッキータワーでございます」

最初に聴いた印象は『厳か度5000%UP』というところでしょうか。元々のオーダーがイージーリスニング風というのが分かり易くていいですよね。
まさに美術館や神殿で流れるかのような厳かで耳に心地の良い音楽。下村さんの本領が垣間見れます。

先代ブッキーの肖像画が遠めに見ても明らかにアレな見た目なのに、ブッキータワーでは一種の美術品が展示されていると錯覚するレベルの芸術性を感じるのは、まさに音楽パワーによるものだと思います。音楽ってすごい。

こんなにいい曲なのに、ブッキータワーの一部でしか流れないのはあまりにも贅沢過ぎる。もしマリオ関連の美術館とかが完成したら、是非ともバックBGMに使いましょう。是非。

・「そしてわたしの名はブッキー」

誤解を恐れずに申し上げるなら、
自分のブッキーのイメージは「ワイルドフレグランスな遊び人」なんですよ。それをテーマ曲として落とし込むとこうなる、というのを見事すぎる形で表現したのが「そしてわたしの名はブッキー」だと思います。

下村さんも仰ってるように、前曲との対比がすごい。
ブッキーが現れてからの音楽の移り変わりのインパクトがすごすぎて、よりブッキーが強烈なキャラとしてイメージに残りやすくなる仕掛けにもなっているのは、ただただゲーム音楽としての凄さを実感するところになります。

ブッキーっぽい破天荒さも大いに感じながら、しかしどこかJAZZYな雰囲気もある。それこそクラウン兄弟が好みそうな「軽い賭け事を愉しんでいる奴らのBAR」って感じが好きです。

今回、リメイクでは主旋律をサックス音で表現したんですね。
それにより、さらに俗感のある酒場の雰囲気が強くなりつつ、オシャレ感もアップしています。この娯楽感の表現がブッキー、クラウン兄弟のイメージ表現にも繋がっているとすれば、あまりにもピッタリすぎて恐ろしさすら感じてしまいます。

まぁ、当のブッキーは酒飲まないでミルク飲んでそうだけど。
そしてブッカーはブカブカ酒飲んでタバコ吸ってそうだけど。

○ まとめ

マリオRPGは色々なゲームへ裾野を広げていく転換点になった、私にとって非常に思い出深いゲームとなっていました。

ここからFF、ドラクエ、ポケモンと王道RPGにのめり込んでいき、ファミコンにゴエモンのRPGがある事を知り、さらに後にはテイルズやブレスオブファイアにも手を出していくもんですから、ゲームに対する視野がドカンと広がったのは紛れもなくマリオRPGのおかげです。

発売された当初、マリオRPGは「新しい楽しさ」が沢山詰まっていて、先に進むたびに強い刺激を感じながらプレイをしていたなぁ、と今回のリメイクをプレイしていてフラッシュバックする事が度々ありました。

RPGというシステム、キャラクター、シナリオ、操作、音楽…。
その特濃の思い出超超超超良質な愛を感じるリメイクが脳内で衝突した結果、自分でも年単位ぶりの「合法脳内麻薬ガンギマリ状態」になってしまい、ついうっかり2日間の徹夜をしてしまったのはもはや仕方のないことだと思います。

そして、今回のマリオRPGリメイクはエンドコンテンツの作り込みもしっかりしているうえ、全体的なシステム改修はそのエンドコンテンツをより楽しく遊ぶためにあったのだと考えます。そして、そのシステム改修により道中をさらに快適に遊べるようになったのもありがたかったポイントになります。

ただのリメイクにしないための合理的なシステム改修の仕方は、今後のゲームリメイクに置いての鮮明な道しるべ、見本になるのでは?と感じるほど、細部に及ぶ所までよく考えられているなと感じる内容でした。
この辺の話は、1年くらい経ってからじっくり書こうかなと思ってます。つまり、まだまだマリオRPGについては自分は語り足りません

でも、この改修はやはりゲームそのものへの愛がないと絶対に出来ません。
何回も書きますが、その随所随所に感じる「愛」がマリオRPGのリメイクをここまで完成度の高い作品に昇華させたと思います。

自分の家にあるマリオRPGのパズルのように、今回のソフトは家宝として丁重に扱っていきたいと思います。リメイク版のパズルとか発売したら速攻で買いますのでご検討のほど何卒よろしくお願いします。

最後に、重ねてですが素晴らしいリメイクを発売してくれて、関係者の皆様へ本当にありがとうございます。最高の仕事をして頂いたリメイク関係者の皆様へ、ありったけの愛を込めて。

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