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「きみのお金は誰のため」ボスの正体

灘高の宇宙人

先週1ドル160円を超えて、止まらない円安に世の中がざわついていたが、今週、一気に152円台まで下がった。

今回の値動きは、政府と日本銀行がドルを売って円を買う「為替介入」に踏み切ったことによるもので、その額はおよそ5兆円だったのではないかと噂されている。(公表はされていない)

今回のようなドルを売る介入は、財務省が外貨準備として保有している200兆円分相当のドル資金を切り崩しており、無限に行えるものではない。先週、「止まらない円安、政府の借金よりもヤバいこと」という記事を書いたが、根本的な解決には、国際市場で競争力のある製品を作ることが必要だろう。

とはいえ、今回の介入はGW中というドル円市場が薄い絶好の時間帯に行われており、152円台まで押し下げることができたのは、大成功と言ってよさそうだ。
この為替介入を決めているのは、財務省の中で財務官という立場にある神田眞人氏だ。

この神田氏は、財務省では、”宇宙人”と呼ばれているそうだが、灘校時代から”宇宙人”と呼ばれていたという話を聞いたことがある(年が離れ過ぎていて直接知っているわけではないが、僕の高校の先輩にあたる)。

たしか、その話をしていたのは、倉石先生だったと思う。倉石先生は、僕が灘校に通っていた頃の教頭であり、卒業後も教科書作りや番組の対談などでご一緒させてもらっている。
倉石先生が灘校で教鞭を取っていたのは40年。”宇宙人”こと神田財務官をはじめ、さまざまな生徒を見てきたそうだ。

”ボス”のモデル

その倉石先生に、以前に一度こんな質問をしたことがある。
「日本の未来を、一番変えてくれそうだと思った人は誰ですか」
灘の卒業生には、国会議員や県知事など政治の世界で活躍している人が多数いる。その中から誰を選ぶのだろうかと思って尋ねたのだ。
先生は、悩む間もなく答えてくれた。
「やっぱり谷家やな。あいつにはビジョンがある」

谷家さんは、個人投資家としても有名で、軽井沢のインターナショナルスクールUWC ISAC JAPANの発起人でもある。

「あいつも、高校の時は、よう授業をサボっとったわ」と倉石先生はうれしそうに話していた。

ゴールドマン時代の上司にも言われたことがある。
「僕の知っている灘の卒業生は目先のことしか考えない奴が多いけど、谷家さんは人格者だよ」

当時は、どんな人か全く知らなかったのだが、数年前に初めてお会いして、すごい人がいるもんだなと思った記憶がある。

拙著「きみのお金は誰のため」に登場する”ボス”が、手紙の中でこんなことを言っている。

だから、僕は同じ目的を共有することが大事やと思っている。誰もが共有できる目的は未来や。

「きみのお金は誰のため」p217

谷家さんは、投資にしても教育にしても未来のことを考えている人で、この”ボス”のモデルにした人物でもある。

小説に出てくるボスは「お金の向こう研究所」の代表であり、エンジェル投資や教育支援を行っているが、それはまさに谷家さんが行っている活動そのものなのだ。

投資熱が高まっている日本では、ファンドを立ち上げる人が増えているが、谷家さんみたいな人が増えてくれることを願うばかりです。


(この先は有料部分。今週の活動記録やこぼれ話)

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