森会長の女性蔑視発言で分かった、考え方アップデートの必要性

2月3日に行われた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議委員会での森会長の女性蔑視発言が今、日本だけでなく、海外でも物議を醸している。

森会長の発言の内容は、女性がいる理事会は時間がかかる、女性は競争意識が高いといったものだ。これらの発言は逆から言えば、女性がいなければ物事は円滑に進み、社会も豊かになるという風に聞こえる。

現在、女性の社会的差別を見直すため、また女性の活躍を促進するためにさまざまな国や企業ではD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)やSDGsに関する取り組みが行われている。その結果女性の管理職の数は年々増加し、女性起業家、女社長という言葉にも耳慣れた時代となった。

森会長はこの現実を知っているのだろうか。私はこのニュースと森会長の記者会見を通して彼の考え方のアップデートの必要性を感じた。第二次世界大戦以前、女性は学校で「良妻賢母になるための教育」を受けていた。男性を立てて、陰で家庭を支えるのが女性のあるべき姿としてあったのだ。しかしアメリカによる日本の法制度の改革により、男女平等の民主主義国家という考え方が広まった。1985年に男女雇用均等法が制定されてから女性の社会進出が大きく進んでいった。アメリカによる法制度の改革がなければ日本の男女平等への道は遠ざかる一方であったのではないか。森会長のような未だに女性を蔑む文化が根づいている日本を想像すると、私は女性として生まれたことを後悔していたかもしれない。

さまざまな機械のアップデートというものを想像してみて欲しい。自分が使っている携帯やパソコン、電化製品。アップデートしなければどうなるだろう。もちろんアップデートせずともその機械を使用することは可能だ。しかしアップデートが行われていないと不具合が起きやすくなる。もしかしたらその不具合によって重要な写真やデータが消えてしまうかもしれない。これを社会に置き換えて考えて欲しい。周りの団体、企業、国々ではどんどん新しいバージョンへのアップデートが行われ、画期的な技術や斬新な考え方を身につけ、発展をとげている。その中で未だ古いバージョンがあれば悪い意味で浮いてしまうのではないか。誰も古いバージョンを使いたがらない。世界の人々はいい意味で新しいものが好きだ。

オリンピック・パラリンピックは1896年から始まり、多くの選手の目標、国民の注目になってきた存在だ。1964年以来、57年ぶりとなる東京オリンピック・パラリンピックでは日本という国が世界中から注目されるまたとない機会である。その時に古いバージョンの日本では世界はどのようなイメージを残すだろう。今回の森会長の騒動により、考え方アップデートの必要性が明確となった今、日本がやるべきことは男女平等への取り組みを今以上に行うことであるのではないか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?