01 睡眠のメカニズム
1.体内時計とは
「体内時計」は1日周期で動いており、自律神経と連動して体温、血圧、ホルモンの分泌などの生体リズムを調整しています。
体内時計が乱れると自律神経のバランスが崩れてインスリンなどのホルモンの働きが落ちるため、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、眠気、頭痛、倦怠感、意欲の減退などの不調を引き起こします。
体内時計には中枢に存在するものと、末梢に存在するものとがあります。
全体をコントロールする中枢の体内時計は脳の視交叉上核にあり、眼の網膜を介して日光を受け取ることで毎朝リセットされます。
一方で、末梢の体内時計は身体上のすべての細胞に存在しており、朝食を取ることでリセットされます。
中枢と末梢の体内時計が同期されないと、交感神経の働きが悪くなり眠気や疲労感を招きます。
体内時計が最も正常な生活リズムを生み出しやすい睡眠時間は7〜7時間半といわれています。
長く眠りすぎても健康を害することが明らかになっており、睡眠時間が9時間半以上になると病気による死亡リスクが男性で1.75倍、女性で1.92倍高まります。
2.成長ホルモンについて
「成長ホルモン」は睡眠中に脳下垂体から分泌され全身に働きかけます。
子供の身長を伸ばす作用に限らず、人間の一生にわたって脳の認知、糖の代謝、免疫、脂肪の分解、骨や筋肉の発達などに関与しています。
また、美容観点では肌の水分保持、ターンオーバー促進、シミやしわを減らすなどの効果があります。
成長ホルモンは入眠直後の深い眠り(ノンレム睡眠)の中で最も多く分泌されます。
これまで22時から翌2時までが睡眠のゴールデンタイムという定説がありましたが、成長ホルモンの分泌量は就寝時刻には左右されないため、この説は誤りということがわかっています。
一方、医学的な文献を見るとほとんどのデータが示しているのは遅くとも23時までに寝るということです。
十分な睡眠をとっても、昼夜逆転している場合はがんの発生率が30%高くなるという研究結果が出ています。
3.幸せホルモン「セロトニン」について
「セロトニン」は精神を安定させて安心感、幸福感をもたらすため「幸せホルモン」と呼ばれています。
セロトニンが不足すると精神的に不安定になり、攻撃性の高まり、協調性の欠如、抑うつなどが見られるようになります。
女性は男性に比べて52%セロトニンを生成する能力が低く、またセロトニンは女性ホルモンとも同調しているため生理前や更年期などのタイミングで減少しやすいです。
女性は意識してセロトニンを活性化させる必要があるといえます。
4.入眠ホルモン「メラトニン」について
「メラトニン」は脳の松果体から分泌されるホルモンで、セロトニンから作られます。
メラトニンには体内時計に働きかけて眠気を起こす働きがあります。
また、ビタミンCやEを超えるほどの強力な抗酸化作用があり、老化の原因となる活性酸素を取り除いてくれます。
メラトニンは強い刺激によって分泌量が減ります。
夜はメラトニンの生成を妨げないようカフェイン、アルコール、強い光、ブルーライト、激しい運動などの刺激を避けましょう。
5.睡眠と肥満の関係
睡眠時間が不足することで、食欲を増幅させるホルモン「グレリン」が増え、食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減り、過食するようになります。
食事の嗜好も変化し、糖や脂質を欲するようになります。
睡眠不足によって増加する摂取カロリー量は1日あたり385kcalという研究結果があります。
6.睡眠と自律神経の関係
自律神経は体内時計と連動して動いており、朝から日中は「交感神経」が優位になり、夕方から夜は「副交感神経」が優位になります。
睡眠不足、夜更かし、ストレスなどによりこのバランスが乱れると、血流の低下、入眠障害、疲労感などの不調があらわれます。
7.まとめ
睡眠不足の状態は心と身体の不調を引き起こし、生活の質を低下させます。一方で、十分な睡眠時間を確保するだけで多岐にわたるメリットを得ることができます。
「睡眠を見直せば人生が変わる」と言っても過言ではありません。
日々、良質な睡眠を心がけていきましょう。
以上です。
お読みいただきありがとうございました☺︎
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