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出産レポート④〜脅威の回復編〜



ぶよぶよに腫れた瞼の重みで目が塞がり、気絶するように眠りにつくも、尻の穴に違和感を覚えて目が覚める。尻の穴を内側からいたずらにくすぐるそれは、間違いなく屁の赤ちゃんの胎動であった。
このチャンスを逃してなるものかと全神経を尻と腹部に集中させ、フーッと痛みを逃しながらいきむ。比ではないことは承知の上だが、『経膣分娩ってこんな感じなのかも』と思いながら何度目かいきんだ末に、赤ちゃんは「ピッ!」とかわいらしい産声をあげた。

やった、これでようやく普通の飯にありつける。先ほどの死闘もあり、これ以上は1mmたりとも動きたくなかったので、身を捩らないよう細心の注意を払いながらナースコールを手繰り寄せた。

「すみません、ガスが出ました」

普段なら決して口にすることのない、よそいきの言葉で生まれたばかりの屁を包む。ナースコールの向こう側では、私の屁の誕生をキャッキャと喜ぶ看護師さんの声が聞こえた。

「よかったですね〜!明日からは普通食をお出ししますね!」

後にも先にも、他人様から祝福される屁をこいたのはこれが初めてである。

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