月ぞ流るる 澤田瞳子著 その二
頼賢の生まれや育ちに哀れを覚える朝児だった、帰邸し拳周と大鶴に小鶴が寺での出来事と慶円が朝児にした頼み事を話した。荷が重いと断ったにと聞き拳周によくぞ断った、道長様の甥、だが、藤原一族の恥部関われば我が家の興隆に障りが出る。弟子取りを頼まれた朝児に、そんなことより写経や読書、社寺参詣など寡婦らしい暇つぶしがありましょうと言われる。朝児はそれを聞いて暇つぶしだと、なんということをかっと胸に熱いものが来、妙悟尼に頼賢のこと引き受けると文を届ける。さっそく慶円に伴われて頼賢がやって