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Book review

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過去に書いた書評を順に公開していきます。 私自身、何冊分あるのか把握できていないので、ファイリングするつもりでやってみようと思っています。 過去20年分、いや、もっと以前のものも… もっと読む
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記事一覧

ある視点 オオカミの選択  book review

『パップという名の犬』 ジル・ルイス・作 さくまゆみこ・訳 評論社  犬は人とともに生活す…

わたしでいること  book review

『イルカの歌』 カレン・ヘス・著 金原瑞人・訳 白水社  人はなぜ話すのか。なぜ笑うのか。…

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友情物語の続編  book review

『ルーム・ルーム』 コルビー・ロドースキー・作 金原瑞人・訳 長崎訓子・絵 金の星社  失…

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1冊の本に書けること  book review

『HOOT』 カール・ハイアセン・作 千葉茂樹・訳 理論社  すべてのパズルのピースが、あるべ…

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大人の行為と存在  book review

『あの空の下で』 フランシスコ・ヒメネス・著 千葉 茂樹・訳 小峰書店 2005  メキシコか…

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自分を見つけるために  book review

『シェイクスピアを盗め!』 『シェイクスピアを代筆せよ!』 ゲアリー・ブラックウッド・著 …

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それぞれが向かうところ  book review

『ほとばしる夏』 J・L・コンリー・作 尾崎愛子・訳 福音館書店 2008  人がよりよく生きるために何が重要かと訊かれれば、私は迷わず『決めること』と答えると思う。自分の言動を自分で決める。そのため自分を知り、自分に正直であること。でも、自分一人だけでは決められない物事は多い。どうにもならないことは、人生にはつきものかもしれない。  この物語の語り手、シャーナは作家を夢みる十三歳。両親、十二歳の弟コーディーとヴァージニア州、ウォーレンスバーグに住んでいた。祖父母の代から

知っている本 book review

『ジェリコの夏』 文・ジョハナ・ハーウィッツ 絵・メアリー・アゼアリアン 訳・千葉茂樹 BL…

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自分自身であるために book review

『赤い鳥を追って』 シャロン・クリーチ・著 きも かずこ・訳 講談社 読み終えた後の充実感…

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幸福と悲しみと book review

『ノック人とツルの森』 アクセル・ブラウンズ・作 浅井晶子・訳 河出書房新社  私は本書を…

実感すること、言葉にすること book review

『デビルドリーム』 長谷川集平・作 前田秀信・絵 理論社  何かの本で読んだ一節を思い出し…

熱風が吹いてくる book review

『国境まで10マイル』 デイヴィッド・ライス・作 ゆうきよしこ・訳 福音館書店 「これが好き…

空気を書く book review

『ニューヨーク145番通り』 ウォルター・ディーン・マイヤーズ・作 金原瑞人・宮坂宏美・訳…

船乗りにあこがれて book review

コンパス・マーフィー スティーヴン・ポッツ・著 佐々木信雄・訳 求龍堂  船で働きながら世界中を旅できればと、子どもの頃は船乗りに憧れた。船が好きで、海が好きで、見えない海の向こうに思いを馳せた。  実際のところ、数時間乗る船は爽快だけれど、一昼夜船で過ごすと疲れる。私は船酔いがひどくて、港に降り立ってからも頭がくらくらする。  それでも船には憧れる。今も港にめずらしい船が寄港するたび出向いては乗り込んだりしている。たたまれた帆を見上げながら、帆が風を抱いて滑るように海