『ガス抜きプロレス』であってほしかった論

どうもこんにちは。海原雄山です。

今回は、巷を賑わしている上申書騒動についてと、私自身がポストした『ガス抜き論』について、備忘録的に書き留めておきたいと思います。

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ことの顛末

このnoteにたどり着いたみなさんはだいたいわかっているとは思いますが、一応簡単におさらい。

①今年4月の衆院補選において、維新は東京15区に金澤ゆい氏を擁立。
②当該選挙区における選挙期間中の機関紙配布について、足立康史衆議院議員が法令違反の可能性があることをX(旧Twitter)上で指摘。
(→金澤氏の選挙スタッフは機関紙配布を中止)
③金澤ゆい氏の選挙結果は3位と惜敗。改めて足立康史衆議院議員から当該機関紙配布についてX上で言及。

そして、事態が大きく動いたのが週刊誌による報道です。

④一部週刊誌において、当該選挙における足立康史衆議院議員の一連の投稿について、東京維新代表であり日本維新の会総務会長の柳ケ瀬参議院議員が激怒し上申書の提出を検討していると報じられました。

⑤上申書を受け、党紀委員会を招集される見込みとなってしまいました。

論点

この事態については2つ論点があると思います。

1 そもそも公選法違反なのか
2 1だったとして身内の議員から公で指摘することの必要性

まず、1については、当方は公選法に詳しくないので、当該行為が公選法違反なのかどうかのジャッジは控えたいと思います。

ただ、状況として、党本部も総務省確認の上この手法にOKを出したようですが、途中で止めたというところに引っかかりがあります。途中で止めたのは、身内同士で撃ち合うことを避けた、現場の混乱を避けたかった旨藤田幹事長から説明があったようですが、公選法違反じゃないなら堂々と続ければいいわけであって、足立康史衆議院議員の指摘が間違いならその旨を堂々と選挙スタッフに説明すればいいだけの話。

なので、あくまで状況から考えると、100%OKとは言い切れないくらいかむしろ少し黒寄りだったのかもしれないなという心証はぬぐえないです。

では、仮に足立康史衆議院議員の方に法律論的に分があるとして、今回SNS上で指摘することは必要だったのか。(論点2)

私は、それこそSNSで言うべきではなかったと思います。

問題点があるなら、直接選対や党本部に申し入れればいい話であって、X上でやるような話ではないのです。それこそ、選挙で一生懸命だった人たちから後ろから撃たれたと言う感想を持つでしょう。

選挙中に味方から攻撃されることほどつらいことはありません。候補者を押し上げるため、みなさん自分の時間を犠牲にして応援に駆けつけているわけです。ましてや、今回の東京15区補選では、東京維新の議員、スタッフがほぼ総動員くらいの感じで応援していたわけです。(←私にはそう見えましたが、事実じゃないなら優しく教えてね)東京維新のみなさんとしては、良い気はしないでしょう。本部が、事前に役所に確認の上、実行したのが、例の機関紙配布なので、その思いはなおさらでしょう。

もっとも、足立康史衆議院議員は事前に藤田幹事長らに本件について申し入れをしたとのことです。(ただし、どのような場面でどのように申し入れしたのかは現時点で明確になっていません。)

ガス抜きプロレス論とは

当方、上記の論点について考えた上で、これはどうしたものかと考えあぐねました。

自分の中では、足立さんにも理があったとして、一方で東京維新サイドの気持ちもよくわかる。

そこで、仮に週刊誌報道が事実であったとして、私としてはこういう推論を立てました。

・東京維新内で足立康史衆議院議員の投稿内容に対して、不満が溜まっていた
・しかし、法律論の主張としては足立康史衆議院議員に分があるので
・東京維新内の不満を抑えるべく、上申書を作成し、一定の処罰感情に報いた。(本部に上申書持って行ったとしても、却下されることを見越した上で)

まだ、上申書の中身も見ていない段階でしたが、お互いの顔も立つ形で穏便に終わるので、私はここらへんが皆が傷つかず丸く収まるストーリーなのかなと。また、党本部執行部もそこらへんを落としどころとしているのかと。

私がこの論を披露したとき、自民党的なガス抜きともいわれましたし、やや批判的な反応も正直ありました。

ですが、組織を上手くまとめていくには、いかにして組織内の不満にこたえ、かつ組織内のリソースの棄損、パフォーマンスの低下を防ぐかということが重要だと思います。その点、自民党はすごく上手い。伊達に50年以上政権を維持しているわけではないなと。

私は、維新にもそうした知恵を持ったオトナな組織になってほしいと、かねてより願っていました。維新支持層には腹芸とかそういうのを嫌う方も多いかと思いますが、これから先、政権を獲得し維持していくには、そういう知恵も必要なのかもしれません。

話を元に戻すと、このガス抜きプロレスこそが、誰も不幸にならず最悪のシナリオを回避する筋道だったと思います。仮説を立てた後のことの成り行きを見れば、なおさら。

急転直下

ところが、事態は私の想像よりはるか先に進んでいました。

ぶすじまさんのポストを勝手ながら拝借させていただきます。

なんとすでに上申書は提出されており、上申書の作成を検討としていた週刊誌報道よりかなり先まで事態が進んでいたのです。しかも、2通も。

一度口頭注意を受けているにもかかわらず、足立康史衆議院議員は選挙後にさらに繰り返し同様の批判を繰り返したことも問題視されています。

従前の足立康史衆議院議員の発言が問題となったケースと状況が異なるのは、それまでは誰かしらが助け舟を出していましたが、しかし、今回は足立康史衆議院議員は、維新政治塾同期で古くからの縁があった藤田幹事長らと連絡が取れない状況となっています。

藤田幹事長は、粛々と規則に則って党紀委員会にかけると言っており、恐らく話合いに応じることは無いということでしょう。

つまり、今度は足立康史衆議院議員のことは助けないよという意思表示が暗黙の裡に見え隠れすると言うことです。

馬場代表も同じく当選同期として幹事長時代から足立康史衆議院議員のかばってきたわけですが、今回は冒頭で引用した記事からはやや突き放した発言が飛び出しています。

ことここに至っては、もうすでに公選法違反がどうとかプロレスがどうとかというフェーズではないと言えるでしょう。

繰り返しの暴言や味方を刺すような発言、そしてそれを注意しても本人に直す姿勢が見えないことから、身内に三行半を突き付けられたという状況であると言えるでしょう。

一方、足立康史衆議院議員は、柳ケ瀬裕文参議院議員、音喜多駿参議院議員を除名するよう上申書を作成したとのこと。

最早、妥協の余地のない党内抗争に発展しそうです。

しかし、これは正直あまり良い手ではないと思います。

ことの論点はとっくに公選法違反から離れていると考えられます。

まずはご自身の主張を引っ込めて、『ひとまずは』大人しくしておくことが肝要な段階だと思います。


最悪のシナリオ

さて、すでにガス抜きなんて求めるべくもないような段階に来ているわけですが、ここでこれから先起こり得ることをを記載しておきたいと思います。

・党紀委員会を経て、除名、または党員資格停止処分が下る。
・自らの正当性を訴えるべく足立康史氏が大阪9区から無所属又は他党から出馬
・大阪において維新の選択肢を用意するべく維新公認候補を別に擁立
・結果維新と元維新で同士討ちとなり、第三者たる政党が9区で議席を獲得

こうなると、この騒動で誰も得しないという事態になるわけです。

私はこの事態をどうしても避けたかった。だからこそ、ガス抜きプロレスであってほしかった願っていました。今でもそうです。

しかし、繰り返すように、もうすでにそのようなことを叶うべくもない状況。

果たして、維新を箱推しする人も、足立康史衆議院議員を支持する人も、こんな結果を望んでいたでしょうか。

終わりに

何かトラブルがあったとき、組織の人間はコミュニケーションを密にして対応に当たらないといけません。

今回、当事者たちにそこが決定的に欠けていたことは言うまでもありません。

また、SNSは便利なツールですが、使い方を違えば味方との感情的なもつれにつながります。

そして、今回のように、もう後戻りも、適当な理由をつけて穏便に済ますこともままならない事態へと発展していってしまいます。

今後このようなことで、大事な仲間同士が傷つけあうようなことが起こらないよう、祈っています。

何度も言います。『ガス抜きプロレス』であってほしかった。

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