Mリーグオフィシャルガイドブックの協力のお話

2020年9月某日、新シーズン開幕を心待ちにしつつ2019シーズンのデータのチェック修正に没頭していた頃、仕事の昼休み中にDMの通知に気づく。

差出人はなんとKADOKAWAサクラナイツオフィシャルのアカウントである。

実はこの頃、別件でU-NEXT Pirates オフィシャルより「おしえてパイレーツ」のシーズン開幕直前恒例のデータ振り返り企画の依頼を受けており、はてサクラナイツさんも何かやるのかなと思いながらDMを開く。

「オフィシャルガイドブックを発行します。非公式さんのデータをご協力いただけないでしょうか?」

時が止まる。そして画面をもう一度見る。間違いない。
頭の中に一言言葉が浮かぶ。


・・・・え゛ぇ゛?マジっすか??


自社出版のオフィシャルガイドブック刊行。そして、その紙面を飾るデータを何個か下さいとの依頼であった。

Mリーグ成績速報(非公式)(事務職)、どこにでもいる一般人である。
そのフツーの一般人に対して、出版大手・(株)KADOKAWAから記事の話が来るというミラクルが起こったことに思わず仰け反る。

なにはともあれ、話を聞かないと進まない。

どうも文面を見るとリミットも近い模様。この膨大なデータから求めているデータの内容がどんなものかと聞かないといけないのと同時に、最も大事なことを確認しないといけない。


果たして公式ガイドブックに非公式のデータを載せてよいのか?


2年間、ただただ趣味の範囲で380半荘の記録を取り続け、本人でもよく分からないうちにな何か大ごとになってしまった輩が麻雀界の一大リーグの公式ガイドブックにデータを掲載する許可が下りるのか?
それでもデータの量は自身を持つ。ただし、非公式ではあるが。
仕事をぱっぱと終えて連絡先へ電話をしてみる。電話に出られたご担当の方は何とも腰の低そうな方で、ひとまず挨拶。そして本題。

「データを載せていただくのは全くやぶさかではないのですが、コレ果たして機構の方でOK出ますかね?ただの一般人が趣味で集めたデータですよ?めっちゃ非公式ですよ??御社ほどの規模を持つ企業でしたら、専門の方から記事を書いて頂くのも可能性としては・・・」
『あ、機構からもOK出ていますし、何なら全チームの担当者からも非公式さんのデータだったら是非!とも言っています。』


え゛ぇ゛ぇぇぇ・・・??


呆然である。何せ、【Mリーグ機構公認の公式ガイドブックに業界に縁もゆかりもない事務職のMリーグ成績速報(非公式)が趣味で集計した非公式データを掲載することについて公式が公認した】という、はっきり言って謎の状況にOKが出ているというのだから。

なるほど、機構からもOKが出ているのであれば後で怒られる可能性は低そうである。好き勝手に「バードキャッチ白キュア」とか「一人ムーンライト伝説」とか「頭脳慶応、髪型東京藝大」とか大変失礼な情報発信をしていたが、そもそもそんなデータは求められていないので安心して紙面を飾れそうである。

こうして、一個人がオフィシャルガイドブックの作成に携わることが決まった。
やるからには本気でやる。大好きな麻雀とMリーグがもっと楽しくなる本を作る現場に携われるのだから、データの厳選は大事である。
頂ける紙面は2ページ。この2ページに載せるデータは限られる。「公式では持っていないようなデータ」、そして何より「ガイドブック片手に見ながら楽しめるデータは何か?」この二大テーマを叶えるデータを考える。

ここからはデータをチョイスする裏話。
当初の担当様からの案ではランキング8テーマ&レア事象ランキング2テーマという案で頂いていた。
8テーマもあるかという話は二の次にして、最も掲載してもらいたいデータとして『Mリーグレコード』の項目を推させていただいた。
各種スポーツの連続記録の達成・更新は盛り上がる山場であり、事実2019シーズンにおける近藤誠一選手の70局連続無放銃、23試合連続ラス回避の速報ツイートは大きな反響をもらいながら、公式ではほぼアナウンスが無かった実に勿体ないポイントであった。ガイドブックを見ながら試合観戦をするというのであれば、こういった金字塔のデータは載せないと勿体ないと激推ししたところ、担当様の方もご理解いただけて掲載が決まったものである。

そして、最終的には「連荘率」「親番平均収支」「一発和了率」「裏ドラ的中率」の4項目が紙面を飾ることとなるのだが、構想段階でのランキングテーマとしては「親番平均収支」「親番/子 各平均打点」「流局聴牌率」「平均裏ドラ枚数」「裏ドラ3枚以上和了回数」といったデータも提案をしていた。これらの公式では持っていないデータということで挙げたが、紙面コンセプトと非公式性なデータのバランスを取って先の4項目のチョイスとなる。
時期は9月上旬、あらかたのデータのまとめは終わっていたのでデータの再チェックを終えて担当様へお渡ししたのはDMを頂いて3日後であった。

その後約1か月以上のデータの説明文の細かい表記の校正に次ぐ校正を重ねて、やっとこ完成したのがこのMリーグオフィシャルガイドブックであった。渾身の168頁と169頁はあの神出鬼没・何なら選手よりもメディア出演が多いことで定評のある森井監督からもオフィシャル番組で紹介をして頂いてパソコンの前で小躍りしていたのがたった半年前の出来事であった。

今でも自室の本棚に大切に飾っているサイン入りオフィシャルガイドブック。もしも2020シーズンのデータを反映させるなら、どんなデータが良いのか、あるいはこんな記事も載せてほしいなと思うところもありながら、6月のMリーグロスの期間を過ごす。

来季開幕に胸躍らせ、データチェックの合間の小話として最後までご覧いただきまして、感謝申し上げます。