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サブカル大蔵経322沖田瑞穂『マハーバーラタ入門』(勉誠出版)

イデオンか!という結末。富野由悠季は『マハーバーラタ』を読んでいたのか?

インド神話を精力的に紹介されている著者が、この巨大長編をポイントごとに凝縮して、各国神話との比較コラムを付随。本当にありがたいです。まさかこんなにあっさりと読めちゃうとは。

インドらしい描写と普遍的な説話が織りなされていく物語に、最初引きながら、徐々に引き込まれていきます。

『マハーバーラタ』はどの物語よりも現代的でした。

すべて12年ごと。

羅刹を使い魔のように。

正義側も最後はおごりで皆死ぬ。

残りはひとりと犬。

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大地の女神の重荷が戦争の原因p.4

 今の地球を予言…?

もてなしで敵についた将軍p.127

 正義側とヒール側、どちらに味方するか属性は定まっていない。ヒール側の精一杯の努力に人が集まる。

戦争は悪だがクシャトリヤにとっては法、戦争は自己のダルマ、スヴァダルマp.130

 クシャトリヤのダルマは守護の戦か…。お釈迦様もクシャトリヤ出身…。

マーヤーによってタマス(闇)出現。敵も味方もわからなくなる。p.149

 私たちの日常にもすぐ訪れそう。

「象の(アシュヴァッターマン)が殺された」という不明瞭な言い方で欺く。p.161

 ごまかし返答の正義側。これも智恵か。

アルジュナが手にした矢はアンジヤリカ(合掌)p.164

〈最終兵器〉の名称が〈合掌〉…!

ブラフマシラスが放たれた地域は呪われた地になる。p.171

〈ブラフマンの頭〉という〈武器〉。これ、原発、核、放射能…を表しているような…。

36年後の呪い。クリシュナも死す。p.177

 エピローグも容赦がない。人の怨念の連鎖。インドの輪廻的時間感覚は、女性の怨念がベース?

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