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社内広告チェックの厳しさはビジネス成長を阻害する

法令遵守や社内のデザインガイドライン準拠をしているかの確認・審査を目的として、社内で広告チェックを実施している会社は多いです。特に、医薬系や金融系など国が広告掲載基準を設けている業界の場合は通常のチェックに加えて厳しいチェックが行われます。

厳格な広告チェックがもたらす弊害

この広告チェックの厳しさは、しばしばマーケティング担当者の頭を悩ませます。マーケティング活動を円滑に進める上での深刻な弊害があることにはもっと目が向けられるべきです。

広告掲載基準を守っていても攻めた表現は承認されない問題

広告掲載基準をクリアしつつも多少攻めた表現をしようものならリスクがあるとして否認されることは多いため、「社内の広告チェックを通すための対策」という非生産的な業務が都度が発生してしまいます。

CMのように実施頻度が少ない広告であればまだよいのですが、Instagram広告のように多くの広告クリエイティブを投入して検証を繰り返してこそ成果が出る広告であれば毎度の広告チェック対策は工数の無駄が多すぎます。

広告チェック完了までに時間かかりすぎ問題

広告チェック完了までに時間がかかりすぎるのも大きな問題です。チェック担当者のリソースが限られていたとしても、チェック申請から広告チェック完了までに1週間かかっているようでは遅すぎます。

遅くとも3営業日内で広告チェック結果を返すぐらいでないと、PDCAサイクルが鈍化して改善遅延が起きてしまいます。広告チェック完了までのスピードが競合他社に対する優位性になることもある世界なので、チェックリソースを増やすなど極力時間短縮に向けた対策は早期に実施するべきです。

近い将来、AIによって大量の広告クリエイティブパターンが作成されることは確実です。そうなると人間の目によるチェックでは対応しきれないため、広告チェックの自動化は必須になります。「時間がかかるのは仕方がない」という現状維持の姿勢はその場しのぎにしかならないと自覚するべきでしょう。

ビジネス成長とのトレードオフを考慮した広告チェックがあるべき姿

広告チェックの厳しさはマーケティング活動を一定範囲に縛り付けます。個人の成長の機会にも同時に制限がかかります。

クリエイティブな発想ができるマーケターにとっては、それが仕事のやりにくさや物足りなさを生み、離職につながることもあります。優秀なマーケターほどクリエイティビティあふれるため、敬遠されてしまえば人事的には大きな課題になります。

広告チェックの厳しさが生まれる要因

結局のところ、広告チェックの厳しさは、

  • 広告チェック担当者が絶対に怒られないように設計されていること

  • 広告チェック担当者が売上を目標に持ってないこと

によって引き起こされます。

広告チェックの厳しさを現場の実情を踏まえて変えようとしても、これが強固な広告チェック体制(Robust)であると一蹴されることがほとんどです。ですが、上記2点のような厳しさの背景がそもそもあるのでそれはただ単に頑固に突っぱねているだけに他なりません。変えても何のメリットも彼らにはないのですから。

トップダウンしか変える術はない

広告チェックには、法務部や広報など複数の部署が関わります。チェック内容や緩和策を決めていく場合はボトムアップでやっていては前述のようにうまくいきません。

経営層が主導して広告チェックの実態について社内調査を行い、広告チェック体制の改善をトップダウンで行うしか問題を解決する方法がないのが実情です。そのためにはマーケティング部門長が提案を持って経営層に掛け合えるかが試されます。

まとめ

企業色の強い広告は毛嫌いされ、ユーザー投稿のような広告の方がパフォーマンスが良い傾向にあります。これに気付いて広告チェックを緩和できている企業はマーケティング活動に活気がありますし、ビジネス成長もできています。

また、コンプラ違反は絶対にNGである一方で、広告表現は杓子定規にOKとNGを判定できるものではありません。攻めたクリエイティブをリスクと捉えて一切許可しないのではなく、攻めたクリエイティブによって発生するリスクをうまくコントロールする準備に力を注いだ方が時代に合った広告チェック運用ができるかもしれません。

この記事が広告チェックを考え直す良いきっかけになれば幸いです。

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