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Genelec 8351Bレビュー


 Genelecの8351Bを購入して到着して1.5ヶ月ほど経ったので一度まとめておく。

 前提話。
 GLM Kitは買ってあるものの、セッティングが億劫でまだ試していない。
 背面スイッチでゲインのみ下げている。
 スピーカー~頭は1.5mくらいのニアフィールド使用。部屋は床が強靭なこと以外は普通の賃貸マンション。
 DACからアナログで入力。ケーブルはMOGAMIの2549。
 電源ケーブルは付属のキャブタイヤ。PCの付属品みたいなやつ。
 つまりほぼ何もしないままのポン置きである。


 というところで、以下印象の羅列。

 音はとにかくタイトでビビッド。
 わざわざ書こうとしておいてなんだけれど、正直これ以上に言えることもない。

 タイトな音と言っても抑制感や引っ込んだ印象は皆無。
 とにかく音の発生と消失が速いというか、音声信号に対するレスポンスがべらぼうに良いという感じ。アタックの気配からリリースの末端まで、克明に聞き取れる。
 その無駄のなさにはオーディオ的な快楽感もあるけれど、それ以上にリズムの収まり具合が明瞭になる印象。
 音の滲み、ブレ、膨らみみたいなものがここまで抑えられると、原始的なリズムの気持ちよさがグッと向上するんだな……という学びがある。

 そしてサウンドの色彩感や楽器の音色的な描き分けが非常に鮮やか。
 楽器、声、SEに至るまで、音の質感表現のレベルが高い。
 例えばライブ音源で、エレキギターを持ち替えたときの音の違いなんかもスルッと出る。
 結果として曲ごとに全く違う音になるので、「こういう音です」と言えない。
 小音量再生でも音色感がバシッと出るのは、賃貸暮らしにとっても非常にありがたいところ。

 とにもかくにも、発生する音の変化に対する追従性が圧倒的に高い。

 音像は割と前に出てくる。グイグイ寄ってくるような圧はないけれど、スピーカーの向こうから鳴っているということもない。
 音量を上げるほど前後的な飛び出し感は強くなるかもしれない。
 
 外面の印象から受ける冷静さやモノトーン感、大人しさみたいなものは皆無。
 熱のある音は熱っぽく鳴るし、音の隙間の静寂感の漂い方も見事。
 
 あと低域の量感はかなりしっかり担保されている。膨らみはまったくないので物足りないと感じる人もいるかもしれない。

 それなりの音量で音を出すと微かにエンクロージャーが震える。
 スタンドに気を配る必要があるのかどうかは分からんレベル。

 デジタル入力アナログ入力ともにXLRオンリーなので、ケーブルに凝ろうとすると若干高くつくかも。

 このスピーカーを使い始めてから、作り手の意図みたいなものに気づくタイミングがすごく増えた。
 音のミックスのバランスだったり、フェーダーを下げるタイミングだったり、そういうことも“表現”の一貫であることを思い出させられるような気分になる。

 音源に込められた表現を観測するための道具としては、非常に優れていると思う。

 以上、興味がある人の参考になれば幸いです。
 何かあればコメントなりツイッターなりでご質問いただければ。

 この金額のスピーカーを買うにあたっての個人的な色々もあるけれど、それはまた後日。

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