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働くことで、ますますエネルギッシュになる人と、うつ病になる人の違い

ヒルティの『幸福論』に出てくる、もっとも活動的な人間に一人であるリヴィングストーンは、「神のために働くとき、額の汗は神経強壮剤だ」と言っている。

働くことで、ますますエネルギッシュになる人と、うつ病になる人のように、消耗してしまう人と、どこが違うのだろうか。

それは、自分の本性にそって自己実現している人と、自分を欺いて無理をして頑張っている人の違いである。
うつ病になるような人は後者である。

長い期間にわたって最も活動的な人間は、その年齢にふさわしい心理的に成長した人間である。
自己実現型の人である。
「神のために働くとき、額の汗は神経強壮剤だ」という言葉が当てはまる人である。

「神のために働く」とは、自分が周囲の人から誉めてもらうために働いているのではない。
それは自分への執着がない。そこが強いところである。

「神のために働く」人にはストレスが少ない。
自分のできることを必死でしているだけだからである。
だから活動的でもあるし、持続もする。

うつ病になるような人の努力は、自分の本性を否定する努力だから、努力すればするほど消耗する。
生きるエネルギーを失う。

フロム・ライヒマンは神経症のいち症状としての「神経症的非利己主義」と言っている。
こういう人には愛がない。何をするにも見返りを求めている。

これに関連した症状として、抑うつ、疲労、働くことへの無気力、愛の関係の失敗などを挙げている。
神経症的非利己主義者はこういうような症状に悩んでいるとフロムは言う。

これらは、無理をして自分がなくなることから出る症状であろう。
このような症状の人は憎しみに満たされている。

神経症的非利己主義の人は、なぜこういう症状、つまり生きることに疲れるのか。
それは自分がチューリップなのにタンポポの花を咲かせようとしているからである。
だから自分は努力しているのに、いつまで経っても花が咲かない。

他の人はそれぞれ自分の花を咲かせている。
他の人はそれぞれに自分の目的を持って旅立っている。
しかし、こういう人はいつも同じ駅にいる。
だから、前述したような症状が現れるのである。

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