よる

絵画と猫とお芝居と将棋がすきです。@goooo_yoru

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最近の記事

ばあちゃんの存在と私の半生④

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- (13)姉への怒り 結局、私は適当な会社を見つけ、就職をした。電話営業の、ちょっとグレーなやばめな会社だったが、そんなことはどうでもよかった。 在籍確認のおおよその予定から逆算し、小さな安アパートの一室を借りた。在籍確認のみで保証人不要のアパートだからか、外国人の人やちょっと怪しげな人がちらほら見えたが、それもどうでもよかった。 徐々に荷物を持ち出していく。やることがあれば、気持ちが少し楽なこともあった。 それで

    • ばあちゃんの存在と私の半生③

      -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- (9)キャラクターと自分 姉が出て行ってからの、家のバランスはとにかく危うかった。 いつ父が怒り出すか分からない。 いつ母が見て見ぬふりをするか分からない。 いつ祖母が父の地雷を踏むか分からない。 姉の名前の件から、その理不尽な雰囲気は蔓延していった。 姉の名前の件だけじゃなく、色々な地雷が増えていった。 いつでもグラグラしていて、皆が誰かのせいにする。そんな中で大学生だった私は、家の中で生き抜く方法と、ばあち

      • ばあちゃんの存在と私の半生②

        -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- (5)ばあちゃんと、”何”か 祖母が母にキツいのは知っていた。 そんな部分は好きじゃないが、それでも私はばあちゃんが好きだった。 私を優先してくれる時が多くて、私の味方でいてくれることが多かったし、私と多くの時間を一緒に過ごしてくれたのはばあちゃんだったからだ。 そしてばあちゃんは、私にとってかけがえのない心の拠り所だった。 小学二年か三年生の時に、特に思い入れが強くなった。 それは私が、知らない男性に性暴行を受

        • ばあちゃんの存在と私の半生①

          ばあちゃんが死んで、2年半。 そろそろ墓前に行ってもあまり号泣しなくなった。 こうやって記憶が鈍くなっていくことで、乗り越えるのだなと改めて実感。 わたしにとって、大事な、特別な存在だった。 いつかばあちゃんの存在と私の半生について、まとめ程度に穏やかにつづりたいと思っていたが、なかなか文字数が多くなりそうで書けなかった。 ばあちゃんが死んで、2年半。 もうそんなに経ったのだ。 そろそろ大事な感覚も徐々に薄れてきているので、乱雑に残そうかと思う。 気持ちの赴くままに書

        ばあちゃんの存在と私の半生④

          マスクがとても好きなひとの話

          この間マスクをして買い物をしていたら、知らないご婦人が、「いつマスク外していいのかしらね?」とお隣の人に言っていた。 マスクを外したい人は大勢いる。 私はもちろん関係ないので、静かに通り過ぎた。 まぁ、そんなもんだろうなと思いつつ。 私はコロナ禍になる前からずっと、ほぼ毎日マスクをつけて生活していた。 私は普段の生活でマスクをするようになったのは、15年くらい前。 医療系でもなんでもないが、仕事の時はほとんどマスクを着けていた。 その時は、某メーカーのコールセンター部署の

          マスクがとても好きなひとの話

          じいちゃんの手記(シベリア抑留)

          じいちゃんは、私が物心をついたときには既に寝たきりで発語ができない状態だった。 人一倍大柄な体で、優しくて真面目でお酒が大好きなお医者さん。結婚してすぐに戦争に行き、捕虜になって、ようやく帰ってこれた時にはすっかり細く、小柄になって帰ってきた。それでも帰国後も精力的に医療に従事し、脳梗塞で倒れるまで立派なお医者さんだったらしい。 昨年、ばあちゃんが死んだとき、じいちゃんの手記を見つけた。 手記は短歌で綴られていた。町の開業医だったじいちゃん。往診で診ていた患者さんたちの

          じいちゃんの手記(シベリア抑留)