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ベトナムチーム起業日記:#41. 再び癒やしのバーへ、マスターと再会

怒涛の一週間が過ぎた。
銀行口座開設に始まり、オフィスのWifi契約者の名義変更。
こちらで出会った人、お世話になった人たちとの会食、
オフィス玄関口に貼るネームプレートを探しに問屋街に行き、名刺も発注した。
ビール工場の見学に、メンバー全員との会食、その他いろんな打ち合わせを挟んで、その間僕は新しいプログラミングフレームワークの勉強もしていた。
滞在の目的も全て果たした金曜日の夜、僕はまた一人であの癒やしのバーに向かった。
記憶を頼りにあの細い路地に入っていくと、バーがあってホッとした。
暖簾をくぐると大将か、あの赤い髪の女将さんがいるのかと思ったがふたりともいない。女将さんにめちゃくちゃ怒られながら働いていた若者もいない。

経営者が変わったのかなと心配になった。

席に通されて、ビールのメニューを見ると同じ銘柄が並んでいるのでおそらく同じ店のままだろう。

昨日見学に行った工場で生産しているIPAを注文した。
やっぱり生産現場を見てくるとビールの味も一段と美味しく感じた。

今日は赤髪のちょっとぶっとんだ感じの女将ではなく、エレガントな感じの美しいマダムが店を取り仕切っている。
どこから来たんですか?と話かけてきたので、大将のことを聞いてみると、

いますよ、さっきどこかに出かけて今はいないけど、もう少ししたら帰ってくると思います。

と教えてくれた。
ウイッキーおじさんのホテルのスタッフもいなくなってるし、ここでも知っている人がいなくなっていたらと思っていただけにホッとした。

あまりお腹が減っていなかったので最初はマダムがおすすめしてくれたピーナッツを食べていたが、メニューを眺めていると、はるか昔僕が19歳のときにベトナムを旅していた時にダナンで食べたすごく小さい貝の身を大量に炒めて、ぱりぱりに上げた薄く広いせんべいみたいなものに載せて食べるあの料理の写真が載っていた。

すごく美味しかったがあの後ホーチミンでもハノイでも、はたまた日本のベトナム料理屋さんでも見たことがなかったので嬉しくなってこれを注文した。

IPAのあと、ビアサーバーから生で提供されている別の生ビールを頼んだが、これも驚くほど美味しい。

しばらくしてそろそろ帰ろうかと思ってお会計を頼んで男の子が伝票を持ってきたところで、大将が帰ってきた。

向こうも覚えていたみたいで、

「しばらく来なかったね。」

と言いながら笑顔で近づいてきた。
「帰ろうと思ってたけど、じゃあもう一杯飲もうかな」と対象に伝えて、Pale Aleのビールを頼んだ。

大将がビールを持ってきてくれて向かいの席に腰を下ろす。
どのビールを飲んだのか聞かれ、例のIPAを飲んだよと伝えると、あれは美味しいんだよ、あとこれも美味しいとさっき飲んだばかりの生ビールの名前を言った。で、これも俺のお気に入りなんだ、と今持ってきたビールを指さした。

どうやら対象おすすめの3銘柄を幸運にも僕はセレクトしたようだ。

前回この店はコロナが始まる直前にオープンして大変だったと言っていたのを思い出し、大将は店を始める前は何をしていたのか聞いてみると、

「おれはツアーガイドだったんだ。」

と意外な答えが買ってきた。

「おれはツアーガイドをやりながらベトナムの各地を回ったんだ、そこでいろいろな地方の郷土料理を学んで、今それをここで提供しているんだよ。」

なるほど、だからこのお店にあの24年前ダナンで食べたあの料理があったのかもしれない。
確かにここはバーにしては食事のメニューが充実している。最初僕がピーナッツしか頼まなかったのも、メニューが今まで食べたものがほとんどなくてぱっと見ただけですぐに味を想像できなかったからとりあえず何も注文しなかったのだ。

前回大将が直々につくってくれた豚の内臓のアソートもどこかの郷土料理なのかもしれない。

でも自分の故郷の料理でもないもののレシピはどうやって分かったの?
と聞くと、

「だいたい食べてみればどうやって作ったのかだいたい推測できる、で、自分で作ってみて、うまくいかないときは作り方をお店の人や現地の人に聞きながら作り方を覚えていったよ。」

と語っていた。

僕の妻も調理師で鼻と舌が繊細で、一度食べた料理をかなりの再現率で再現することができる。実に羨ましい能力だ。

ツアーガイドとしてベトナム各地を周り、そこで出会った郷土料理を学び、それを提供するバーをオープンするなんて最高の人生だなと思った。

「この裏路地にお店を作ったのも、ここまで路地の中に入ればバイクの音もクラクションの音も聞こえない。外を歩いている人が窓越しに見てくることもない。そういうところで仕事終わりにみんながゆっくりお酒が飲んでリラックスする場所を作りたかったのさ。」

。。。

失礼ながら前回はお酒好きのイージーゴーイングなおじさんだと思っていたけど、マスターはすごいかっこいい考えで人生を生きている人だったのだった。

このバーに初めて入ったときから何か”当たりだ”と感じたのはこういう大将の考えがあってできて店だからかもしれない。

続く。

稚貝を炒めたものを薄く平たい胡麻せんべいのようなものに載せて食べる料理。

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