みずのほ

物語や詩を書いています|なべてすべてよ、うつくしくあれ

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足跡

(好きな詩を自分なりに訳してみました。誤訳や掲載に問題等があれば教えてください。) ∞ 足跡 マーガレット・フィッシュバック・パワーズ ある夜、わたしは夢をみました。 わたしは神さまと共に渚を歩いていました。 暗い空に、わたしの人生の場面場面が、映し出されていました。 どの場面でも、砂の上に、二人分の足跡があることに、わたしは気づきました。 一つはわたしの足跡であり、もう一つは神さまの足跡でした。 わたしの人生の最後の場面に差しかかったとき、わたしは砂の上の足跡を振り

    • 羽ばたきは歌

      歌えぬ鳥は 羽ばたきつづけ 飛べない鳥は 歌いつづける あなたへと かなたへと 見えない羽根が 散り落ちて 聞こえぬ歌が ながれゆく あまつちへ かたわらへ 羽ばたきは 歌 歌は 羽ばたく

      • 心が憶えている

        手が憶えている きみに そっと ふれたことを 心が憶えている 熱と熱とが 通い合ったことを 繰り返され 積み重ねられた日々は 心を貫いている 忘れたくなくても 忘れてゆくばかり でも 忘れたくないものは もう 心が憶えている

        • 喪失は邂逅だった

          花の頃、最愛の、敬愛する先生を亡くした。まだ、ふとした瞬間に涙が出る。 訃報を聞いてから十日余りは、文字通り、泣き暮らした。 けれども、そのさなか、先生から学んだことや、先生の思い出を書き始め、毎日数千字、書き続けた。それが、慰めになった。 先生の言葉は、次々と思い起こされた。尽きることはなかった。 また、本を開けば、先生の朗読の声が聞こえてくるようだった。そうして、また泣いて泣いて泣いた。 これまで、わたしにとって、過去とは、忌まわしいものでしかなかった。思い出したくない

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        マガジン

        • 詩集 ことばすくい
          35本
        • 詩集 こころね
          32本

        記事

          さいわいにして ここにあり しあわせのため ここにある 小祝いにより 仕合わせにより 個々に 此処に

          真影

          深手の傷は 深く癒え 深く生きた者は 深く死ぬ 透明なかたわらの 影は濃く 影なき者を 憩わせる 日陰の者を 慰める

          花の雨

          花の頃ゆくひとに 花の雨の降るように 花の頃ゆかぬひとにも 花の雨は降るでしょう 花の雨の降るときは 門出となるときばかり 受難の日も 復活の日も 降臨の日も 婚姻の日も あなたに 花の雨は降る

          人間である

           ガザの惨状には、言葉を失う。目を覆いたくなる。人間とは何か、いのちとは何か、絶望の底から問われるように感じる。  葬られるどころか、覆われもせず野ざらしにされたままの亡骸を、海外のニュースの映像で観て、愕然とした。そのとき、人間が人間であるとは、一つには、死者を弔うことではないか、と思った。  亡骸さえ凌辱し蹂躙すること、されること。人間が人間性を失うこと。それが戦争なのだと、思い知らされる。人間はどれほど地に落ちるのか、落とされるのかと、暗澹とする。  どんな死も尊い。ど

          人間である

          あなたへと消えゆくものは すべて愛

          あなたへと消えゆくものは すべて愛

          アデュー

          こころは ここそこに散り落ちている いのちを懸けて生きたから おもいは おくそこに降りつんでいる ことばにされなかったから 一つずつ 拾い上げ 僅かずつ 掬い上げ 日の目見るよう 天へ掲げる 見よ この美しいものを 空の星ほど 輝けるもの 照らせ この比類なきもの 朝露のごと 妙なるものを

          青のうた

          青色をすきなひとには わるものはいないけど 青色をすきなひとには さみしがりやが多すぎる 青色をすきなひとには さみしがりやが多いけど 青色をすきなひとには さすらいのものばかりです 青のうたは あいのうた 青く青い あいのうた

          もうわたしのなかにしかいないから もうずっと一緒なんだ 一人ひとりの心のなかに降りてきた まるで聖霊降臨のよう

          もうわたしのなかにしかいないから もうずっと一緒なんだ 一人ひとりの心のなかに降りてきた まるで聖霊降臨のよう

          一生ぶんの涙

          ふと この水たまりは わたしの一生ぶんの涙だと思う ならば 全人類の一生ぶんの涙が海か 流れるものは 水も時も星も血も すべて涙だ 世を代を夜を余を 浄めてゆく涙だ

          一生ぶんの涙

          師である高橋巖先生が亡くなりました。 奇しくも、3月30日、シュタイナーの命日と同じ日に。 公式に発表がありましたので、ここにも記します。 高橋先生には感謝しかありません。 先生を、ほんとうに、いまなお、心から敬愛しています。 またいつか、いまのおもいを、言葉にさせてください。

          師である高橋巖先生が亡くなりました。 奇しくも、3月30日、シュタイナーの命日と同じ日に。 公式に発表がありましたので、ここにも記します。 高橋先生には感謝しかありません。 先生を、ほんとうに、いまなお、心から敬愛しています。 またいつか、いまのおもいを、言葉にさせてください。

          黒い犬

          先日、カウンセラーさんから、「生きること自体に疑問を持ち、悩むのも、希死念慮に苦しむのも、人間のほんの数%」と聴いたのだが、ほんとうだろうか? わたしは10代から、ずっと、生きること、そもそも生まれてきたこと自体、疑問であり、苦しみだった。 だからなのだろう。 「わたしのほんとうのお父さんとお母さんは別にいる。早く月へ帰りたい」と思い、『かぐや姫』は、「わたしのための物語」と思って憚らぬ幼少期だった。 親子の葛藤はそれなりにあったとはいえ、両親は、わたしを虐待したり育児

          生きることがとても苦しい。 生活も苦しいが、生きることそのものに喜びがない。 色もない。花もない。 世の美しさに憧れながら空を仰ぎ、己の重みに沈みながら空の底を深くしていく。 わたしはこれまで、なにを学んできたのだろう。

          生きることがとても苦しい。 生活も苦しいが、生きることそのものに喜びがない。 色もない。花もない。 世の美しさに憧れながら空を仰ぎ、己の重みに沈みながら空の底を深くしていく。 わたしはこれまで、なにを学んできたのだろう。