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映画・ドラマレビュー

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映画やドラマ作品のレビュー記事をまとめております。邦画が多めです。
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記事一覧

映画『不死身ラヴァーズ』を観てきた話。#映画感想文

人間の記憶って曖昧で本当に当てになんない。それは例えれば砂の器を脳だとして、僕らの記憶は水。毎日その器にドボドボ水を注ぐけど、どんどん砂が溶けて底から水が漏れちゃう。そして、その水は下に行けば行くほど自分が忘れたいことになっていく。 嫌なことってさ、都合よく器から漏れちゃう。 なんというかそんな映画だった。 映画『不死身ラヴァーズ』。漫画家・高木ユーナ氏の初連載作であった同作を実写化。監督は『ちょっと思い出しただけ』の松居大悟監督。主演には新進気鋭の見上愛を迎え、「思い人

映画『四月になれば彼女は』を観た話。#映画感想文

「大人の恋」ってどんなものかね。 自分はまだあまり想像がつかない所がある。 気持ちとか、仕事での経験とか、考え方とか、自分の中で完結できることばかり大人びたものになっていって、肝心のコミュニケーションが、人との向き合い方がなんだか今ひとつ成長できてない。そのことが、自分にとってはウィークポイントになっている気がする。 女性と真っ向から向き合って心を通わせていった。そういう経験だけがなんだか少ないような気がして。いつまで経っても子供じみた恋愛ばかりしてる自分を、たまに恨みた

ああ素晴らしき『虎に翼』 #テレビドラマ感想文

最近10時に寝て5時に起きるとかいう高齢者並みの健康的な生活を送っている瑞野蒼人。会社に出かけるのが大体8時半なので3時間半もやることねぇわって毎朝なってます。おかげで家はとても綺麗な状態をキープしています。 そんな私が今毎朝楽しみにしているのが この4月からスタートした『虎に翼』。 NHKの朝ドラですね。 伊藤沙莉さんがヒロインを務める今期のテーマは『女性と法律』。日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリーだそう。(詳しいことは置

映画『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛を込めて〜』を観た話。

はい。帰ってきました。まさか帰ってくるとは思ってませんでした。しかも他に飛び火すると思ってませんでした。空前絶後の埼玉県ディスり映画『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛を込めて〜』。 ーあらすじー 前作で差別解放を成し遂げた埼玉解放戦線。連帯を生むために県内に『武蔵野線敷設』を提案する壇ノ浦百美(演・二階堂ふみ)だが、一向に話はまとまらない。そこで、敷設を加速させるため麻実麗(演・GACKT)は『埼玉に海を作る』とぶち上げ、沿線に大きな海岸とビーチを作る計画を提案する。そして、和歌

佐賀県出身者が【翔んで埼玉 佐賀県編(仮)】を超真剣に提案してみる試み。

翔んで埼玉Ⅱ見てまいりました(感想別記事で上げます)。 バカ面白かったです今回も。腹ちぎれるかと思いました。 それでですよ、今回実はサラッと「魅力度ランキングアンダー40位以下」とくくられて迫害された佐賀県。我が地元佐賀県を何とかかんとか次回の第三弾の舞台にするべく、私考えました。そう「翔んで埼玉〜佐賀県編〜」の構想を!ガチで本気で練りました!! 少ない出身有名人とあまりに多いディスりネタを網羅して、かなりキャスティング的にも内容的にもベストを尽くしましたので、どうか温か

映画『零落』を観た話。 #映画感想文

たまに「人間失格」を無性に読みたくなる時がある。 幸い今の時代は、たった二百八十円で文庫本が手に入れられる。何ならネットでは無料で読むことすらできてしまう。一体なぜそんなに無性に読みたくなるのか。それは何というかうまい言葉で説明ができないのだが「心がザラザラしたくなる」。 忙しいが故に日常で荒波を立てたくない。取り敢えず生活をスムーズに進めるために穏やかさをキープしようとする自分を、わざとメチャクチャに荒れさせたいというか、深い思考の海に浸っていたい時間があるのだ。 映

梅田行き芸バスから、もう映画は始まっているんだ。 #映画にまつわる思い出

#映画にまつわる思い出 というタグ企画への参加作品ではあるが、かなり特定の層に的を絞った記事である。具体的に言えば「大阪芸大に通ってる映画好きの生徒」にだけ響く記事だが、それでもよければぜひ読んでいってほしい。 前置きはさておき。 映画は、映画館の席に座ってシアターが暗くなってからがスタートなのではない。映画館でどの作品を見ようか迷っている時。制作が発表されて心ときめいている時。それぞれに映画の始まりと言うものがあって、ずーっと心がときめいてるというか、期待値が高まって

映画『ちひろさん』を観た話。 #映画感想文

いよいよ公開されました映画『ちひろさん』。 私も本当に待ち遠しかったです。 『窓辺にて』を鑑賞した時点で『ちひろさん』の公開は既に決まっていて、正直期待値は爆あがりでした。なぜって主演がこれまた大好きな女優の有村架純さん。しかも主題歌は愛しのくるり。こんなもん誰がどう頑張っても外さんやろ絶対おもろいやんけと思いながら、公開日を心待ちにしておりました。 とはいえ、本心ではやはり配信サイトよりもリアルの映画館で一発目は観たいなぁ。と思ってたら、ごく一部の映画館限定で上映を行な

映画『窓辺にて』を観た話。

話は昨年の11月に遡る。 イーロン・マスクに抹殺されてもおかしくないぐらい過疎ってる私のTwitterで、備忘録的に『窓辺にて絶対観に行かなきゃ終映しちゃう』とつぶやいたら、今泉力哉監督ご本人にいいねしていただきまして。 これはもう『絶対行けよ』っていうフリだと思い 仕事帰りに梅田まで行きまして鑑賞してまいりました。 恋愛映画『窓辺にて』。 稲垣吾郎を主演に迎えた、コメディ的なラブストーリー。コメディ?果たしてこれはコメディか?シリアスというわけではないし、かといって

ドラマおぼえがき 『あなたのブツが、ここに』 #テレビドラマ感想文

またしてもやってくれたぜ。NHKドラマ。 ヘビーTVウォッチャー・瑞野蒼人です。 先週最終回を迎えたNHKの夜ドラ『あなたのブツが、ここに』。 夜ドラ枠と対を成す老舗『朝ドラ』が脚本素人が見ても目を当てられないレベルの惨劇を牧歌的な沖縄家族のハートウォーミングストーリーを繰り広げる中、相対的にぐんぐん評価が上がっていくというYouTubeで例えるところのヒカキン状態となったわけであるが、そういったゴタゴタを差っ引いても超良作だった。 主人公のシングルマザー・山崎亜子(演

ドラマ『家庭教師のトラコ』を観ている話。

みなさんこんにちは。 ヘビーTVウオッチャー、瑞野蒼人です。 映画もドラマも多忙すぎてなかなか見られていなかった今季。久々に快作(怪作?)が出てきたので、久しぶりのドラマレビューをしてみようかなと思います。 世にあまたの「お受験もの」ドラマがあるなかで、「人生とお金」というテーマを真摯に取り上げた作品というのはなかなか無いように思う。どちらかといえば、親子の絆や家族・人生の再生、という明るい面がフィーチャーされがちだろう。 そんな中、「家庭教師のトラコ」 (日テレ系・水

拝啓、あと2カ月で無くなってしまう『テアトル梅田』さま。#映画館

テアトル梅田で初めて映画を見たのはいつのことだったでしょうか。私は、茶色い本革の手帳を取り出してペラペラと捲りました。映画の半券や展覧会のチケットがすべて張り付けてある、おもいでが詰まった手帳。その中に、ちゃんと記録されていました。 『浜の朝日の嘘つきどもと』。福島県南相馬市に実在する「朝日座」という映画館を舞台に、寂れ往く地方の映画館の再生とある謎の女の人生を描くヒューマンストーリー。 知人づてに紹介されたその映画を観たのは、コロナという名前の長い夜が明けきらぬ頃でした

お題企画『#映画感想文』で優秀賞をいただきました!!

ふう・・・ようやく言えるぜ。 「再びのビッグニュース」を。 瑞野蒼人、今度は賞を頂いちゃいました。 この度、noteで開催されていたお題企画「#映画感想文 with TSUTAYA CREATORS' PROGRAM」にて、瑞野が応募した記事がなんと優秀賞を頂きました!!あああ~~~ありがとうございます~!!ね、こんなんなんぼあってもいいですからねぇ!! 長い事noteで拙著を投稿してきましたけれど、初めてです!お題企画で賞をいただいたのは!んでしかも、それが自分の大好

授業で見た映画の話⑤「ばしゃ馬さんとビッグマウス」

大学の授業で一年間映画を見続けていたその備忘録として、これまで見てきた映画について複数回に渡って語る『授業で観た映画の話』シリーズ。5回目の今回は2013年公開の映画「ばしゃ馬さんとビッグマウス」である。 主人公は、34歳独身シナリオライター志望の馬淵みち代(演:麻生久美子)。学生時代からまるで”ばしゃ馬”のようにシナリオを書き続けているが、一度も賞を受賞したことがない。ある時、彼女は通っているシナリオスクールで天童義美(演:安田章大)という青年に出会う。彼は、スクールに通