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短歌

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書いた短歌です
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記事一覧

座標に座る

いたみはずれ毎日は窓をあける肌の向こうの空を空にする

狼の眼に朗らかに根を張った無限を恨む娘の痕跡

数パーセントのスパイと戦闘後吸うパイセンとスーパー銭湯

屋上のこの世で一番の愚か者にだけ吹く春一番で

僕が正しさと暮らしていた時に君は優しさと暮らしていた

数学は話し相手 自分よりも理屈の通った返事をくれる

永遠を綺麗だなって思うのは存在しないものだからだろう

具体的すぎてめちゃくちゃ

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いつの日かこの短歌たちを読み返す僕が笑ってくれますように

もういいよ善とか悪とか正義とか公園のベンチでビスケットを食べよう

味気ない今だとしても生きてれば星の綺麗な夜にも会えるさ

入力の速い彼女はいつだってタンタカタンと短歌をつくる

気分屋で言葉を解さぬ飼い猫とじゃれてるときだけ本当の僕

ことばってナイフになる日もあるけれどときには優しい毛布にもなる

ひとりでもへっちゃらさってひとりごとつぶやくくらいにひとりはつらい

君たちもいつかカエルにな

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再生

再生ボタンを押したら甦る思い出
更生したコンセント

白鍵を昼 黒鍵を夜として
あなたは日々をピアノに乗せる

酒に酔い酷く醜く酩酊し
汀 十九の名を告げる鬼

数多のあなたが私に手渡した
いくつかのいつかの遺失物

泡となっていく終わらない朝に
声のないような感傷でした

晴れやかな空白の部屋
その全部忘れられると信じてたから

濁音や定型文や疑問符で
何かを言った気になっている

先生はいつも

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算数

連続する正のピタゴラス数として唯一無二の三と四と五

腐の数を使ってるから交換法則が成り立たない掛け算

数学は頭痛と楽しさをくれるけど、泣かせてはくれないんだなぁ

微分されても変わらない関数の気分がちょっと分かった気持ち

soo zoo sea

騒々しい想像小僧と象襲う 創造心を掃除しようと

シーソーの思想 小象と僧のゾーン 深層心理早々に沿う

夢を見るあなたもわたしも歩く人 色彩のない花畑をゆく

思い出は消えていくからまたいつかふたりっきりで花を見ようよ

近くにある星

星空の光のなかに一つだけ あなたがいるという言い伝え

水面にまぶしい色を描いている ひかりのように季節はわらう

カラスよけに吊るされたCDが月みたいに光っている 朝の空

世界にはたくさん魚がいるけれど うちの金魚が一番可愛い

この指が 地球も星だということを冷たい夜に思い出している

あの頃の 世界を救うことでしか 自分を守れなかった私

寂しいのは背中に羽がないからで、決してきみがいない

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春は知らせる

無謀にも昔ばなしに難しいむなしい胸の春走らせる。

すいすいとスイーツ棚に吸い寄せられ釣られてしまう。お釣りをしまう。

見たことのない夜が生まれたときに立ち止まってしまったあなただ。

僕たちの死角でねむり、言葉にもならないままに点在している。

目覚めれば眠い瞼で歩いてる。夜と心の境界線で。

凍ってた気持ちが溶けていくような、雪解けみたいな涙があるなあ。

目眩くページをめくりときめいた春め

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学校

学校にどうしても行きたくなくて最寄りの駅で途方に暮れる

試験って、試練なのかもしれんけど 熾烈と言われ修練をして

想像は存在しないから綺麗 白い架空に傷を並べて

文章を切り刻んでは切り刻み切り刻んでは切り刻んでる

人生楽しそうだねって言われれば楽しくなくなるくらいの楽しさ

一年しか通えなかった高校の匂いときどき思い出す鼻

人間に鳴らない文字をはなしては液体になる無音の夜空

幸せな私だ

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口ずさむ

一度しか鳴ることのない音楽を一度だけの私達が聴いた。

正しさなんて知らないからそよ風みたいになんにも言えない帰り。

とうめいなストローをとおっていった 好きって遠目には透き通ってた。

ぼくの目がぼくの世界を変えていく 目に映らない目が此処にいる。

言葉にしてもいい事を知るたびに世界の解像度が上がってった。

かつて歩いていたひとりの居ることが分かる涙に滲んだ光。

数や字や音や形や動きやら

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宝石のように眠たい

眠たくて曖昧になるその日々に黒子のように星が散らばる。

電気信号が信仰した天使 電信柱たちに遺伝子。

根も葉もない花を咲かせて尾鰭付き一人歩きするみんなの肴。

言葉に制圧されている風景を解放するような言葉があった。

想像で造花が増加する現象 幻像のなか減少していく。

この間耳にしたその日に聞いた問い口にして閃いた人。

百億の記憶の遠く、その奥に送り物だけ置いておいとく。

人よりも泥濘

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