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熱量(詩)

飛行機が鉄の重りを引きずりながら低空飛行する。
悲しみを失った海は、君の優しさを忘れたように、ウインドサーファーの体を飲み込んでゆく。
過去をいっぱいに積み込んだトラックが、ハイウェイの境界線を飛び出して炎上する。
君の悲しみは重さを失い、君は風に乗って次に根をはる場所を探す。
僕は君を失ったまま、公園の砂場を掘り続ける。戻って来るはずのない君が戻って来るのを期待しながら。
熱が空から降ってくる。コンクリートは溶け、人間を巻き込んでいくつもの彫像を建てながら、海へと向かっていく。
ああ、僕の情熱よ。
僕は君を探すために、頭の中を旅する支度を始める。

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