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中谷美紀『オーストリア滞在記』読了

女優の中谷美紀さんの日記。
オーストリアには2回行ったことがある。妹がオーストリア人と結婚して、30年向こうで暮らしており、1回目は結婚式のために約1週間を過ごした。
2回目は深夜残業や休日出勤に追われ、自律神経が不調になり、会社を辞めたあと1か月間、療養のため妹の家に泊めてもらった。
著者もウィーンフィルハーモニーに勤める夫とともに、1年の半分をオーストリアで暮らしているとのことで、人生が大きく変わったようだ。仕事をするのは人生を豊かにするためだとするヨーロッパの人たちの生き方は、今の日本が一番学ばなければならない点であろう。
私もうつ症状で、60歳で一度仕事から降りる決断をせざるを得なかった。今は療養を兼ねて、小説や詩を書いているが、ほとんど働いているか寝ているかしていた人生を振り返ると、体を壊してまで働いたことを悔やむばかりで、もっと若いうちから小説を書きたかったと、つい愚痴を言いたくなる。
著者も女優として「仕事のための仕事をしていた」と振り返っている。今、やりたいことに時間を使う生活をオーストリアでしているせいか、言葉の端々に幸せが溶け込んでいるのを感じている。
残りの人生は豊かに生きたいと願っている。

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