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エンドレスヒールⅡ-3.11 #5あさみの場合


「302,04・・・302,1・・・・302、11・・・302,12・・・・」
唯野が浅海を振り返る。
「そうよね。最初は口に出さないと解からないわよね。」
「あ・・・すみません。つい・・・ぶつぶつ うるさいですよね?」
「わからないわよ。初めてだもの。いいのよ。」

「・・・・ひとりごと、言う人間と、思って下さい。すみません。」
ぺこりと頭を下げて浅海は、また本と向き合った。
本当にバラバラだ。さっきから、本を取り出して、ブックトラックで並び変えばかりしている。
書棚に戻す前に、どんどん、また前の本が出てくる。

「二段目もつけてね。アイウエオって言っても、「アア」「アイ」「アウ」・・・・と続くから、読み間違えないようにね。」
「わ・・・古い本・・・」
「あら、ほんとね。ぼろぼろだわ。でも・・・あまり古いのは修理も難しいのよね。」

「これ二段目に、02って・・・・」
「あ!これは、1800年代だわ。」
1800年代?
「1800年代。1900年代。2000年代とあるの。区別はこれ。」

唯野がラベルの色を指差した。
「1900年代は青色のラベルだけど、1800年代は黄色なの。2000年代はピンクね。」
ラベルの色が違う?

「1900年代が一番多いでしょ。黄色は少ないけど、ピンクは多くなってるから。2011年だからね。」

2011年6月5日(日)
続く

エンドレスヒールⅡ-3.11 #5あさみの場合

私は泣いていない。理屈で理解しても、感情では納得していない。
私はもう一生、大丈夫にもならないし、落ち着くこともないだろう。

次回エンドレスヒールⅡ #6はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/na981f1f47c2c

前回 エンドレスヒールⅡ #4は こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nd352d4a38d43


②エンドレスヒールⅡ あさみの場合 最初からはこちらから
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https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921

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