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#186 家具のリメイク、最近の私のあれこれ


英国は厳しい冬の真っ最中なので、ここしばらくの私の制作日誌のようなものを書いていませんでした。
とにかくサンドペーパーで擦る作業が多いので、外が寒いと士気が上がらないというのがあります。
いえ、それ以前に、雨降りが多いのです。
でも自分の忘備録として写真が残っていたものを並べていきたいと思います。



まずは義母の家から不要になったランプ。
ついになっていますが、この手描きの模様がどうしても好きになれない。

自分用にであれば、一度無地にしてから、思い通りの絵を描くということも楽しいと思ったのですが、我が家にこれ以上ランプは必要ないので、これらは手放します。売れるためには、極力個性を押さえようと思いました。


右側をサンドペーパーで擦り始めたところ

サンドペーパーを使うのは、絵を消すというよりは、ペイントが載りやすくなるように表面に凹凸をつけるためです。
プライマー(下地)コートの後、ペイントのなかに重曹を混ぜて、ブラシをポンポン押すようにしてテクスチャーをつけていきました。

乾燥させて、表面がザラザラになった上から、シナモンを乾いたブラシでところどころ付けていきます‥‥
重曹もシナモンも、キッチンにあったものだというのがいいですよね。
そうやってできあがったのがこんな(↓)ランプベースでした。
ランプシェードもチャリティーショップでお揃いのを買って、さらりと主張していないペアのランプが出来上がりました。

ひとつずつが大きいので、大きなリビングスペースがないと映えません


実は、「欲しいけど、ベッドサイドに置くにはランプシェードが大きすぎるのよね~」という方が居たらしく、マネージャーから「ミズカ、ランプシェードを付け替えてみたら?」という提案もありました。

しかし、ランプベースとランプシェードのマッチング問題、結構大きいんです。あらゆるサイズと形をとっかえひっかえしたのですが、このままが一番しっくりくるようです。

数か月かかりましたが、ようやく大きな家の方が気に入ってくださったのでしょう、揃ってお嫁に行きました。ホッ



ReSTOREのワークショップ内では、ショーケースのようなものを手掛けました。
それはびっしりとオレンジ色が塗られていました。

スタンレーナイフの刃で削ったり、サンドペーパーで擦ったり‥‥

なんとオレンジのペイントの下には白も現れました。

とにかく、擦る、擦る。

木目が現れていい感じ

今度は、中のむき出しの鉄底にちょっとゴージャスな布をしつらえたいと思いました。
青のビロードを使い、綿わたのシートを載せた厚紙に巻き込み、裏は針と糸で緊張させました。

ジャ~~ン!

出来た!はずだったのですが‥‥


どうでしょう⁉
表面が反射していてとても分かりにくいのですが、実はこのショーケース表面のアクリル板が、きれいになったら変に目立ってしまったのです。

こんなに頑張って素敵なものができた、と思ったのに、アクリル板の傷や曇りまではどうしようもできず、がっかりな仕上がりに‥‥

ところが、
「これ、ガラスに付け替えられないかなあ‥‥」と私が言ったのを受けて、フレンチポリッシュ職人のR氏が一肌脱いてくれました。
まず一度裏側から枠を壊して、アクリル板を取りだし、倉庫にあったガラス板を同じサイズに切り、取り換えてくれたではありませんか!

ああ、今度こそ、本当に素敵なショーケースの出来上がり


私がお店屋さんだったら、中に何を入れて飾ろう‥‥ってワクワクしゃうだろうなあ。
本当は自分が欲しかった!

誰かと一緒に仕事するっていいなあ、と感じたプロジェクトでした。
みんなのチームワークの結晶が光ったのか、これはすぐに売れました。



次に取り掛かったのは、目の前のなにやら大きめの家具。

私、『こんなものを買ってください』とリクエストした硬いプラスチックブラシのアタッチメントにほくそ笑んでいます。

いざ、これを回しますよ

こんな細かい手掘り部分に溜まった汚れに使います。

この状態が‥‥

汚れがするする取れて、艶がでました。

ここまできれいになるのです

おお~、いいぞいいぞ。

こんな感じで一人、黙々と作業を続けていきました。
手掛けているのは、またもやビューローです。
机部分を下げるとこんな感じ。

作業する皮の部分の汚れが目立ちます


それをどうしたか‥‥

ええい。塗ってしまえ~!
ということで、持ち主さんだけがわかるペイント、普段見えない場所にだけ施してみました。

真鍮の取っ手も付けました

上の画像で抜けている、キーボックス部分にはR氏が自宅ワークショップからキーボックスにマッチする古い鍵を探して持って来てくれることになっています。こういう細かい部分でチームワークがまた発揮されています。

引き出しの中にはピッタリ色がマッチした布がみつかり大喜び


今回のビューローは前回手がけたものに比べ、目立った故障はなかったのですが、真ん中の引出しと机を開けた時の小さな引出しのどちらも、収まるべき場所に入りません。長い間放置されると、湿気で膨張するのですね。
この『引出しが収まらない』問題はしょっちゅう起きています。すました顔でお店に並ぶまでの、知られざる裏の努力はなかなか大変なものでした。
おかげでカンナ使いにも慣れました。

こうして、鍵が付けば完成というところまで来ました。
before画像を付けなかったのはなぜかというと、画像上ほぼ変化がわからないからです。
こうして見ると、全然完璧じゃないし、古さは残ったままなのです。だけどトップの部分に光が反射しているのわかりますか?
仕上げにニスを塗って終わりではなく、その上を320番の細かいサンドペーパーでそうっと撫でることを教わりました。
そうして触れた木目の、なんときめ細かく艶々なことでしょうか。
それをさらにワックスで仕上げます。

鍵がついたら、あとはお店に並ぶだけ


古い家具の再生は、とかく時間と根気の要るものです。
それでもチャリティーがこれを手掛けているというイギリスのゆとりが好きで、ボランティアとして関わることができて、幸せだなと思います。

ひとつの記事に入りきりませんでした。
一息ついた後次の投稿では、チャリティーが運営するReSTOREというお店の様子をお届けします。



家具の再生、これまでやってきたことなどをマガジンにしています。よろしければ見てみてくださいね。


【投稿後記】
ビューローは古くて作りもしっかりとしていたため、前回のものよりグンと高めの値段設定でした。

ピッタリの鍵が納まり、キー🗝にはタッセルも付けられました

でも旅行中の老夫婦が気に入り、ホリデー最終日に買いに来てくださいました。
まだまだこの家具は未来へ受け継いで行ってもらえそうな気がします。

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