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平田オリザ 作・演出 『転校生』 のデザイン制作は小さな奇跡に満ちていた。

たじま児童劇団/平田オリザ 作・演出『転校生』のポスターとフライヤーのデザインを制作させてもらうことになった。

「教室に差し込む光、残された誰かの気配、
廊下に響くチャイムの音、校庭から見上げる青空、
流れる雲、交わされる会話の痕跡、光との戯れ。」

フォトグラファーの井垣真紀さんに、そんな内容を伝えると、
「山陰地方のこの時期は殆ど日が差さないので、イメージ通りには難しいかも‥ 」

最初の打合せで写真を撮り下ろしたい旨を、制作担当の尾形典子さんに相談したところ、すぐに手配をしてくれて、本当にあっという間に、会場の江原河畔劇場のある兵庫県豊岡市内の学校で撮影をしてもらえることになり、
東京と豊岡市での遠隔のコラボレーションに臨むことになった。

週間天気予報は「曇りのち晴れ」
山に囲まれているので、日照時間も限られているとのこと。
撮影時間帯は曇りか‥ 差し込む光は、あきらめて曇天も想定した上で
前もって撮影して欲しいイメージのやり取りをした。

撮れた写真を見てデザインを調整すれば、なんとかなるだろう!と自分に言い聞かせて、目を閉じて眠りについた。

撮影の朝、LINEに連絡が来る。

 「珍しく晴れています◎ やった!」

そして、イメージ に ぴったりな写真が、次々とLINEに送られてくる。
これは、ちょっとした奇跡!?

限られた僅かな撮影時間、この瞬間の判断で全てが決まってしまう…
その場で、デザインに写真をはめ込んで画角や色温度などの確認と調整をしイメージがカタチになって現れて来る。


光に溢れた一瞬の光景が、まるで永遠の中に包み込まれているかのようだった。

『転校生』フライヤー(表面)
『転校生』フライヤー(裏面)


後日、フォトグラファーの井垣さんから
「撮影後のお昼頃には、もういつもの曇天に変わっていたんですよ」
と聞いて、

 「あぁ、このビジュアルには本当に奇跡が写り込んでいるんだ!」

デザインに取り入れていた「ペンローズの三角形」のように偶然と必然が反転して、私の目にもう一度、新たに景色が開けたような気がした。

「きっと、舞台の上でも、かけがえのない瞬間が
 奇跡のように立ち現れるんだろう‥ 」

そんな、確信を得たような不思議な心持ちに包まれた。

たじま児童劇団  第3回公演
 『転校生』
作・演出  平田オリザ
2024年1月6日(土)- 1月8日(月・祝)
江原河畔劇場

ある朝、目覚めると少女は一人の転校生になっていたー
フランツ・カフカの『変身』をモチーフに、ティーンエイジャーたちの不条理で危うい生を描き出す。
1994年初演時に衝撃を持って登場した名作戯曲を、たじま児童劇団が平田自身の演出で再演!

https://ebara-riverside.com/play/play_5375/


撮影:井垣真紀(イガキフォトスタジオ)
https://www.igakiphoto.jp/

宣伝美術:水色デザイン
https://mizuiro-design.com/



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