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ため息俳句 八十八夜

 5月1日は、メーデーの日である。生憎の雨、それに風もある。こんなでは行進も辛かっただろう。行進解散後に、一杯というのが、昔の我らの毎年の成り行きであった。大体が、新橋駅周辺の居酒屋が多かったが、この頃はどうなっているのだろう。

 さて、今夜は今年の八十八夜である。
 茶摘みの歌のあの八十八夜だ。

夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
あかねだすきにすげの笠

日和ひよりつづきの今日このごろを
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ

 これまた月並に云えば一つの日本の原風景をうたっているような、実際にはこんな風景を見たことはないが、どこかで見たような気分に誘われる。困ったことだ。
 

 八十八夜は春から夏に移る節目の日にあたり、以降は霜もなく安定した気候で、農作物の種まきに最良の時期といわれてきた。
 自分も、買いそろえた苗の定植と、直播きにするゴーヤやオクラ、夏の葉物の種播きを今日以降の作業と予定していた。
 九時過ぎに畑に出ようとすると少し雨が降ってきたが、降ったり止んだりという予報であったから、そのまま畑に出た。今朝は畝にマルチを張るというのが心づもりである。そうして、明日中に苗の定植と種まきをする、夕刻娘夫婦が孫を連れて帰って来る、という段取りであった。
 であるが、何事も思う通りには行かないもので、午前11時前には本降りとなって、作業は中止した。

 以降は、YouTubeなんどを視て、だらだらと過ごしたのであるが、収穫がなかったわけではない。噂に聞いていた最近の中森明菜のセルフカバーをようやく聴けたし、他にこの頃の見知らぬ若い人々の曲を続けざまに聴いて、やはり現在を表現する人材は音楽界隈に少なくないのだなあと、思ったのである。まあ、爺ィの耳だから、何が聴けているのかは、本人にして疑問であるのだが・・・。ちなみに、中森明菜のデビューは、1982年5月1日であったそうな。

 八十八夜の今は、しとしとと雨が降っている。窓を開けてみると、すこし肌寒い。

 明日は、種蒔きだけは、済ませてしまおうと、ゴーヤの種は水に浸けた。発芽しやすくなるとか。


種浸す八十八夜に雨が降る  空茶