檀一雄「埋葬者」に登場するオフイ婆アについて
太宰治研究で有名な相馬正一の著書に、厚さが辞書ほどもある檀一雄の評伝『檀一雄 言語芸術に命を賭けた男』があります。太宰治と違って現在でも刊行されている文庫本が多いわけではない檀一雄の作品の引用を頻繁に挟みながら、檀一雄の生涯と文芸について批評を交えつつ紹介した労作です。
その中で「檀文学の最高傑作と評されている」と紹介されているのが、太平洋戦争中に檀一雄が陸軍報道班員として中国を巡っている間に結核に感染してしまった初めの妻リツ子の看病とその死を描いた「リツ子・その愛」「