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たま
2021年2月7日 21:17
金村《かなむら》屋夫妻が去った後、伊八《いはち》は襖《ふすま》を開けて押し入れからそっと出た。その顔は涙で泣きはらしていた。「なあ、おさん。かねてより繰り返し言っていていることだが、先ほどの親方たちとのやりとり、何と美しい絆《きずな》であろう。そなたの神仏の加護が末恐ろしい。どうか悪く思わないでくれ。俺はいつまでもここにいても仕方のない身だが、そなたは一刻も早く病を治し、ここで働き続けるべきだ