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誰も教えてくれなかった英語上達のコツ

今回はゆるく肩の力を抜いて英語学習や海外生活を楽しむヒントになればと思い、長い海外生活の中で見つけた英語上達のコツをシェアします。

私自身は高校卒業まで日本生まれ日本育ち、いわゆる『純ジャパ(ハーフ、帰国子女、インター通いでない日本人)』で、アメリカにきた当初は周りが何を話しているか全く聞き取れず、話しても伝わらない経験をしています。でも現在は普段日本語話者が周りにいない環境で過ごし、『選挙行った?』と聞かれるぐらいにはアメリカに馴染んでいます。仕事では上司も部下もアメリカ人で、同僚にも日本語話者はいません。

そんな英語力を培ってきた中で誰も教えてくれなかった、誰かもう少し早く教えてくれていたら、ということをまとめました。
(注:アメリカ以外の国には当てはまらないかもしれません。)

ネイティブを目指すな

まずは目標設定の話ですが、ネイティブを目指すのはやめましょう。『ネイティブのように話すとかっこいい』というのはきっと英語学校から植え付けられた必要のない強迫観念です。日本人として伝わる英語を話し、やりたいことを不自由なくこなせる、英語で人間関係を築ける、ぐらいの目標設定でいいような気がします。発音も、アクセントがあって初対面の人には聞き直されることもあるけど、慣れた相手には問題なく伝わる、ぐらいの目標でいいです。

時々英語圏文化大好き発音マスターみたいな人がいますが、その人たちはライフワークが比較文化学、言語学な人達です。大抵の人が目指してるのはそこではないはずです。また幼少期の環境のおかげで英語と日本語が堪能な人は羨ましい限りですが、そういう人たちにも違う悩みがあります(アイデンティティ、人間関係、日本語力など)。ないものねだりはやめましょう。

言語は奥が深く、帰国子女、インター出身で英語ペラペラだけどネイティブではない、という人もいます。日本語で考えるとわかりやすいですが、日本に幼少期5年いた非日本人(両親非日本語話者)、海外の日本人学校にずっと通っていた非日本人(同上)の日本語がネイティブレベルかどうかは意見が分かれるかと思います。そんなハードルが高すぎる目標を掲げる必要はありません。

ネイティブになるのは簡単で、英語圏で生まれて英語圏の学校に行ったら(家庭の言語が英語だと尚良い)みんなネイティブです。でも英語しか話さないネイティブよりも、第二言語の外国語として英語を使えるようになった人の方が、教養があります(少なくとも外国語に関しては)。発音にアクセントがあったり慣用句を知らないというだけで引け目を感じる必要は全くありません。自信を持って堂々としているほうがよっぽど大事です。

大きな声でゆっくりと話す

外国語として英語を話す覚悟ができたら次に大事なのは話し方です。英語を話してもきちんと伝わらなくってコンプレックスがある人の大抵の場合は、単に音量の問題です。学芸会かな?と思うぐらい大きな声で話してみましょう。アメリカ人はお腹から声を出し声量が大きい人が多く、そんな中か細い声で自信なさげに外国人が喋っていると英語以前の問題で音が聞こえないのです。

ネイティブを目指すばっかりにスラスラと早く英語を喋ろうとする人も多く見受けますが、これも聞き返される原因だと思います。例えばアイルランド人は英語ネイティブですがアクセント(訛)が強く、早口で喋られると理解できないアメリカ人は多いでしょう。アクセントのある英語が理解されないのは、英語力の問題ではなく相手の慣れの問題なのです。アクセントに慣れてない相手でもゆっくりだと伝わる事が多いので、0.75倍速かな?と思うぐらいゆっくりと大きな声で話してみましょう。

徐々に話が伝わると自信がついてきたら音量も速さも適当なところに落ち着きます。

やる気・愛嬌を全面に出して根回しをしていく

アメリカに来た当初は、アメリカ人全員に自分の英語の採点をされている気がして、とりあえず恥をかきたくない一心で、あまり積極的にコミュニケーションを取ろうとしない時期もありました。

でもアメリカ人も人間です。拙い英語力でもやる気が見えて慕ってきてくれる人と英語ペラペラだけどやる気がなさそうで無関心な人、どっちを相手にするかと考えたら前者でしょう。ここでもう一つ大事な視点は、自分では英語に自信がないからあまり話しかけたくないと思ってコミュニケーションを避けていても、相手にとってはただのやる気がなく無関心な人に見えてしまうということです。なので下手な英語でも積極的にコミュニケーションを取ろうとするのは大事です。

例えば学校で授業の内容がわからなかった場合、授業後やオフィスアワーに先生に話しに行って「ディスカッションに参加するのは難しいから他の課題で点数をもらえないか」と相談したり、友達のグループの会話で理解できないことがあった場合、後でその場にいた仲いい人にどういう会話だったのか教えてもらったり、仕事上で口頭でうまく説明ができなかったなと思った場合、またメールで同じ内容を送ってみたり。

大人数でついていけないないなら一対一で会話してみる、口頭での会話を文章で補足するなど、英語を使って自分ができる範囲での周りとの関係の築き方を学ぶにつれて海外生活が楽になった気がします。

自分の意見を考える癖をつける

英語を喋る相手が英会話の先生だけ、という環境だと英語話者はみんな自分の英語力に注目しているという錯覚に陥りますが、大抵の普通の人はあなたの英語力よりもあなたがどういう人間なのかに興味があります。特に、アメリカでは日本よりも個人の気持ちとか考えを聞かれることが多いです。

アメリカで最初に取った生物学の授業で何でもない情報(具体的には思い出せないですが、ミドリムシは動物と植物の性質を兼ね揃えた珍しい生物である、みたいなこと)に対して「どう思う?(What do you think?)」と聞かれ、カルチャーショックを受けたことを覚えています。当時の私は、情報は覚えるもので、自分の考えを述べる対象ではないと思っていたからです。でもクラスメートたちは自然なこととして自分たちの意見を発表していました。

この出来事以降も周りの人はスラスラと意見を言えているのに自分だけ何も言うことがないな、と感じることが多かったので、自分の意見を考える癖をつけるようにしていきました。例えばニュースを聞いたら自分は賛成か反対か、美術館に行ったらどの美術品が一番好きだったか、レストランに行ったら自己レストランランキングのどの位置につけるかなど、とりあえず自分は何を思うのかを意識して考えるようにしました。

これも英語力の問題ではなく文化の違いの問題です。このトレーニングのおかげかは定かではないですが、今では自分の意見を表現するのに抵抗はありません。

グロースマインドセットで小さなレベルアップを楽しむ

グロースマインドセット(Growth mindset)は「自分の才能や能力は、経験や努力によって向上できる」という考え方です。外国語を使って生活をすると、間違う回数や恥をかく場面が格段に多くなります。その度に凹んでいると心が折れるので、草むら歩いてたらポケモンに遭遇、レベル上げでもしておくか、ぐらいの気持ちでいると気が楽です。

他にも、誰かに言うわけではないけど、自分の中でのちょっとした目標を作っておくとレベルアップが楽しめます。例えば私がアメリカに来た時最初の数カ月の目標はスタバでスラスラとオーダーすることでした。その後もL&Rの発音月間とか、映画の慣用句使ってみるチャレンジとか、なんでもいいから自分の中でのチャレンジを作ってレベルアップをしている感じを楽しんでいました。

母国語ではない言語で生活すると失敗が多くなるのは当たり前です。でも、レベルアップすることに目を向けることで、出来ないことが恥ずかしいことではなく、次の目標、レベルアップチャンスとして捉えられるようになります。

まとめ

お気づきだとは思いますが、ここまでいわゆる英語学習に直接関係ないことを挙げてきました。英語学習ももちろん大事で言語習得の近道だと思います。でもTOEICとかの英語の試験では得点を取れるけどコミュニケーションが苦手という人(私もそうでした)は、コミュニケーションスタイルや文化に馴染んでいく努力をしたほうが、結果英語を使う機会が増え、英語の上達を感じられるはずです。なにかの参考になれば嬉しいです。