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Webtoon(縦スクロール漫画)動向・予測に役立つ記事のまとめ  <1>

2021年の年始に、「Webtoonは日本でブレイクするか?」と題した記事を公開しました。


予想通り、Webtoon(縦スクロール漫画)が日本においてもめざましい発展を続け、状況は日々刻々と変化しています。


それに伴って、Webtoonに関する記事も増えてきました。

良質な記事や気になる記事を、随時、リンクを貼っていくことにします。

上記の記事と合わせてご覧いただければ幸いです。

■LINEマンガ、ピッコマの圧倒。 日本のマンガはガラパゴス化していくのか?

気になる箇所をピックアップしていきます。

●「LINEマンガ(LINE)」が615万人(前年比123.5%)、
「ピッコマ(Kakao Japan)」が511万人(同168.6%)
の2強が他マンガアプリを圧倒しています。

3-5位は「少年ジャンプ+(集英社)」が229万人、
「マンガワン(小学館)」が182万人、
「マガポケ(講談社)」が181万人と、いわゆる3大出版社が並びます。

●不思議に思ったのは、2強の着実なユーザー数の伸びに比べて、
3大出版社の伸びが鈍化していたことでした。

鈍化の理由は「3大出版社のほかマンガアプリにユーザーが流れている」かもしれない

●もし「アプリの総ユーザー数・総ダウンロード数」が重要と考えているなら、それは間違った勝利の条件です。見過ごすことはできません。繰り返される日本の「失敗の本質」です。

●日本法人のカカオジャパンが企業価値8000億円超の評価で、約600億円を調達したことでした。日経新聞は「フリマアプリのメルカリの時価総額と並ぶ規模」と報じました。マンガアプリはメルカリと同じぐらい有望だと市場から判断された

・マンガアプリ「ピッコマ」は、なぜ市場から高く評価されるのでしょうか? 私は次の3つに集約されると考えています。

絶妙な「待てば無料」:フリーミアム
「作品専用チケット」という切り札:マッチング
ウェブトゥーンの衝撃:グローバル化

全体のボリュームよりも、作品1つひとつを管理、運営していくことを理念としている

・「再閲覧誘導」です。ある作品で離脱した約36万人に、その「作品専用チケット」を送ったところ、46%がチケットを使って約441万円を売り上げました。

まだ作品を読んでいないけれど「読む可能性が高いユーザー」を約30万人を抽出して「作品専用チケット」を送った実験結果です。13%がチケットを使い、約161万円を売り上げたそうです。

この話のポイントは、ピッコマが「作品専用チケット」を巧みに運用することで、
(1)ユーザーの離脱を防ぎ
(2)潜在的読者と作品を出会わせる(マッチングする)ため、
切り札として利用している

●デジタルコンテンツのプラットフォームにおいて最も重要なのは、作品とユーザーが出会う機会を提供するための「マッチング(Matching)」

●ピッコマには、韓国生まれの縦読みマンガ「ウェブトゥーン(Webtoon)」が約600作品ほどありますが、全体の1%に過ぎません。ところが、ウェブトゥーンはピッコマ全体の販売額のうち45%程度を占める

●約600億円の資金調達を終え、カカオジャパンはこれからグローバル市場にマンガアプリを広めていくと見られています。
しかし、国内市場でさえ販売額の約45%がウェブトゥーンですから、海外市場では日本の作品がほとんど売れないという悪夢を思い浮かべてしまいます。
これから先、日本のマンガはガラパゴス化していくのでしょうか。


■WEBTOONは時間の表現に特化している

気になる箇所をピックアップしていきます。

・マンガが紙からデジタルに進化したのは石板がパピルス(※)になったみたいな進化ですかね。
でも石から紙への進化は100年とか200年とか、長い時間をかけての進化だったはず。デジタルは急激な変化なので、皆どうしようとなってます。

※古代エジプトで使用された文字の筆記媒体のこと。パピルス紙とも呼ばれる。「紙」を意味する英語の「paper」やフランス語の「papier」などは、パピルスに由来する。

・例えば子育て中の人も、紙の単行本は両手が空いてないと読めなかったけど、電子だとスマホで片手で読める。買いに行くにしても、お店までいかなくてこの場で買えたりする。この手軽さが起因しているんですよね。

・WEBでマンガを読む勢と本屋さんでマンガ買って読む勢は結構断絶がある気がしますよね。
逆に新しい市場をWEBTOONさんが取ってきたっていう感じ

・まだ縦スクロールを読むべき人に縦スクロールマンガが届いていない可能性があるという認識のもと、縦スクロール作品をどんどん募集していきたい

・韓国では日本よりもページマンガの世の中からの衰退が早かったんですね。経済危機もありましたし。経済危機が起こったあとWEBの進化がすごかった。それで韓国のゲーム会社とかすごい伸びていたりっていう中で、今までマンガ描いていた皆さんがじゃあどうやってマンガを表現しようってなったときにWEBに行きついたんじゃないかと思います。

・WEBTOONは時間の表現に特化していて、コマの距離を近くすれば時間を短く表現できる。実は単純なんです。

・これからマンガを始める人にはハードル低いと思います、背景もあまり書き込んでも見づらくなっちゃうので背景を描きこむ技術もそんなにいらないとなると、最初に必要なテクニックが多くない。その分人間の顔が魅力的に描ければいい、顔がより大事になると思います。


『ちはやふる』末次由紀先生の考察が非常に興味深かったのですが、こちらの記事では記されていないこともあるようなので、動画のアーカイブを観ることもオススメです。


倒置法的にその道筋を説明していく

(2021年8月13日に追記しました)

気になる箇所をピックアップしていきます。

・「LINEマンガ」は世界で月間7,200万人が閲覧しています。その中でも、特に北米が急進しています。

・日本で人気が出てグローバル展開する時がきたら、その時に作品のローカライズ化もできるので気にしなくて良いですよ!
ちなみにローカライズ化は地名や名前くらいで作画に大きく影響が与えるものは変えませんし、その際は編集がサポートします。

WEBTOON=グローバル展開って考えてしまうと、自分の作品はどこの国で人気が出るのだろう...と思い悩んでしまいますが、まずは日本の読者に向けて描くことが第一

・ページマンガには静止画の美しさがある一方で、WEBTOONは動画的だなと思います。
例えるならば、WEBTOONは絵コンテのリッチ版。作品の中にカメラワークが常に動いているような印象があります。

・WEBTOOONが物語を深く表現するということが難しく、どうしてもスマートフォンで読むという特性上、テンポが早くよりトレンドを追及した作品が多いですね。
なので、読者の方に単行本1巻買っていただいて丸々読み込んでもらうようなストーリーを描きたいと思っている方は、WEBTOONよりもページマンガで描く方が良いのかもしれません。

・データは取得できますが、正直スクロール率といった細かいところまでは見ていませんね。ただ、何話で離脱したのか大事な指標の1つにしてます。

・マンガ以外のライバルが多いからこそ、最近のWEBTOONは冒頭で衝撃的なシーンを持ってきて、倒置法的にその道筋を説明していく...というものが多いですね。

音楽でも、最近はイントロではなくいきなりサビから入る曲が増えたじゃないですか。マンガでもサビから入る、という作品の方が受け入れられやすい状態になっていると感じます。

・コマ割りではなく絵をどう配置していくかという考えが重要

・「立ち上がりがわかりやすい」ストーリーにすることは大事だと思います。
なるべく1話で大きなインパクトを与えて、それを遡るようなストーリー展開の方が読まれるので。


■ウェブトゥーン作家がタレントのようになっている

(2021年7月9日に追記しました)

気になる箇所をピックアップしていきます。

・「今のウェブトゥーン市場は、20年前のオンラインゲームに似ており、日本まだ黎明期だと思っている」

こう語るのは、先月、アニメイトグループ入りを発表したロケットスタッフの高榮郁(Kou Youngwook、고영욱)氏だ。
創業時はモバイルアプリの開発やマーケティング、その後には、マンガの無料アプリをヒットさせ、シャットダウンしてしまったがブロックチェーンを使った分散型アドネットワークまで手がけていた高氏。儲かりそうなビジネスに次々と適応していくスピードには舌を巻く。

・「スタジオリボン」というプロジェクト
韓国でウェブトゥーン作家を発掘し、日本市場に彼らの作品を投入していこう、という計画だろう。

・韓国ウェブトゥーンの制作ノウハウを蓄積し、日本でウェブトゥーン制作アカデミーを開業し、日本発のウェブトゥーン制作を目指したい。
(NiziU を生み出した)Nizi Project のウェブトゥーン版を日本でやれるのではないか。

・韓国ではウェブトゥーン作家がテレビ出演しタレントのようになっている。日本でも人気の「女神降臨(여신강림)」の作者である yaongyi(야옹이)氏は芸能人並みの人気だ。

・高氏は将来、日本のウェブトゥーン市場が韓国のそれの3倍に相当する3兆ウォン規模(約2,800億円)にまで成長すると見ている。


★こちらの分量が増えてきたので、別記事を立てました。


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