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アラバ記

楽園なんて存在しない ヤバい 知らないまま大人になった


と、w.o.d.サイトウは"楽園"という曲で歌っていたが。


4月27、28日の宮城県川崎町、ARABAKI ROCK FES.24の会場、あれは紛れもなく楽園だった。


ということで感想をここに書いていこうと思います。


4/27(土) 1日目

12時前に会場入り。毎年激混み道路をノロノロ走るシャトルバスだが、この日は比較的スイスイと走ってくれた。


会場入りして酒も飲まず、一目散に向かったのはブランデー戦記のステージ。最近の新人バンドの中でも個人的にかなり注目していた3人組で、アラバキにエントリーされた時から楽しみにしていた。

なんと出囃子がPixiesの"Where Is My Mind?"だった!その時点で優勝である。


PixiesをSEにしてるだけあって、音楽性はど直球のオルタナ。小柄なベースの女の子はゴリゴリに歪んだ音を出しまくり、金髪垂れ目ギャルのギタボは赤いジャズマスターを抱えてジャキジャキ鳴らす。

MCは一転してぎこちない感じだったのも逆によかった。"Musica"は名曲。「私に足りないのは人生経験とあと何かしら?」「私がクラシックをわかるようになったら結婚してくれる?」などキラーフレーズ満載。良かった!!

ブランデー戦記のあとは飯と酒と煙草を味わいつつ、KOTORIを遠目から観た。"トーキョーナイトダイブ"、素晴らしい名曲だ。
最後の方ではダイバーが発生したり、ボーカルが客席に飛び込むなどとすごい盛り上がりだった。


移動し、w.o.d.のサイトウタクヤ氏の弾き語りを見に行く。

"オレンジ"、"サニー"、"バニラ・スカイ"など、w.o.d.のなかでもメロウな楽曲を披露してくれた。
以下、サイトウMC集。
「(チューニングしながら沈黙が訪れ)………どうすか?」(何が??)

「俺、こんな髪型やけど…陰キャなんすよ…」

「みんな酒ばっかり飲んでたらあかんよ。水も飲まんと。脱水起こすから」

「去年バンドで出て。ヒートテック着てライブしたら次の日熱出た」

後半、SIX LOUNGEのヤマグチユウモリがゲストで登場、ビールとハイボールか何かで乾杯したあと、SIX LOUNGEの"メリールー"、そしてw.o.d.の"1994"を2人で披露。"1994"、やっぱりすごく良い曲だ!!

そのあと、アラハバキステージにて観たのは1日目の本命、MO'SOME TONEBENDER

先に言ってしまうけど、2日間のベストアクト。

リハの段階から思わずのけぞってしまうほどの爆音。

SEと共にギターボーカル百々氏、ドラム藤田氏がまず出てくる。あれ?ベースの方は?と思っているとなんと裸に祭り法被を羽織り、巨大な「祭」と描かれたうちわを抱えて登場!!まずそのオープニングから度肝を抜かれたのだが、百々氏が足元のペダルを踏んだ瞬間、とんでも無い轟音が空を切り裂く!!

初っ端から"ロッキンルーラ"が炸裂。もはや仙台駅あたりまで届くんじゃないかという轟音。
周りの観客もモーサムガチ勢、ファズ大好き、ファズでご飯を3杯は食えるみたいな人たちが集結。百々氏がギターを振り上げたり、花道に躍り出て(アラバキで唯一花道があるステージがアラハバキステージなのだ)ギターをかき鳴らしたり、何かするたびに歓声、いや悲鳴をあげまくる。なんて最高な空間なのだ!!


ベース武井氏が「1,2,3,4!!」と威勢よくカウントしてなだれ込んだ"冷たいコード"、ドレミファソラシド〜の同期がループしてどこか呪術的な"Shining"…爆音で頭がくらくらする、最高の時間である。"Have you ever seen the stars?"がマジ最高だった。夜になりかけのあの時間にあまりに合いすぎていて。

武井氏は森高千里を蹴って集まってくれてありがとう、と感謝を告げ、「おっさんバンドだけどよ…まだまだやるぞー!」と宣言。
百々氏は「天気良くてよかったねぇ」とさっきまでの暴れっぷりが嘘のような朴訥としたトーンで語る。「アラバキは2011年ぶり…そうあの年は震災で、夏にやったのよね。それぶりだよね。呼んでくれてありがとー!」
「それじゃ、最後の曲」と言って"Green&Gold"のアルペジオが鳴らされる。
ああ、やばい。たまらない。

繊細なアルペジオと轟音サウンド。あまりにも美しい音に思わず空を仰ぐと一面の藍色。
良いライブ見た時特有の「今、ここで俺の人生やめにしてくれ」という感情が湧き起こる。
アウトロではさらに激しい演奏が繰り広げられる。ノイズ大量放出のギター、ブチ叩きまくるドラム、巨大なうちわで観客を扇ぎまくる武井氏。
ギター壊れるんじゃないかというほど激しくかき鳴らし、ウォールオブサウンドがアラバキに出現、辛い現実と我々とを分断する壁だ。
ギターからシールドをブチっと抜いて、あっさりとステージをあとにした百々氏。ステージには轟音フィードバックだけが残ったのだった。


そして、最後は9mm Pallabellum Bulletである。20周年をお祝いする記念のステージ。

おなじみのSE、Atari Teenage Riotの"Digital Hardcore"が爆音で鳴り、メンバー登場。なんと初っ端から"Black Market Blues"。いきなり売り飛ばされる荒吐の民。

20周年ということでゲストを続々招いてのライブだった。サウシー石原の声でめっちゃ爽やかになった"Supernova"、アレキサンドロス川上が大暴れした"Discommunication"、滝さんがイントロを奏でるなか、紹介なしで10-FEETタクマが駆け込んできて演奏された"RIVER"。歌詞の中に「名取川」「広瀬川」「最上川」を織り交ぜるアラバキ仕様。僕も「北上川〜」って歌いたい。

そしてものすごかったのが徳澤青弦カルテットを招いてストリングスアレンジがなされた"The World"。いや、あの曲にストリングスとは!この手があったか!!という思いだ。めちゃくちゃ良かった。
"生命のワルツ"もストリングスアレンジ。9mmの鬼早い曲を決死の形相で弾く徳澤青弦カルテットのみなさんカッコよかった。

そしてゲストパートが終わるとここからはもう名曲の乱れ撃ち。"ハートに火をつけて"、"Cold Edge"、"新しい光"、"Talking Machine"、"Punishment"。

なんですかねこの、餃子出てきて、麻婆豆腐出てきて、チャーハン出てきて、ラーメン食べて、〆た、と思ったら最後カツカレー出てくるみたいな。盛り盛りのセトリであった。

最後のPunishmentでは滝さん、ステージ横の鉄骨に登り始めるとかいう奇行。サビの前に慌てて降りてたのがめちゃくちゃ面白かった。これが9mmなんだよ!!

アンコールではふたたび徳澤青弦カルテットを呼び込んでの"カモメ"で締め。素晴らしかった!


4/28(日) 2日目

2日目は11時半頃会場入り。

すでにめちゃくちゃ暑かった。この日は完全に夏だった。


エルレの物販がものすごい列になっているのを横目にドミコのステージへ。

King Crimsonの"Easy Money"をSEに登場し、早速バカスカドラムをブチ叩く長谷川氏、「ドミコですよろしくううううううううう!!!!」と絶叫するさかしたひかる。"不眠導入剤"でライブスタートさせると早速さかしたひかるの奔放なギターで酔わしにくる。
からの早速"ペーパーロールスター"!!観客、ぶち上がりだ。昨日のモーサムの時と同じく、ギターの轟音大好き人間が集い、さかしたひかるのギタープレイの一つ一つに大歓声。ひかるもフォォォォォォ!!みたいなスクリーム連発。この日のドミコ2人は気持ちテンション高めだった。テンション高すぎてペーパーロールスターの、「ハローあたしは怖がりもしない…」という歌い出しが「ハロォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」という絶叫になってしまうほど。
長谷川さんもドラムぶっ壊れるんちゃうかってほど激しく叩きまくる。なんども椅子から立ち上がって、親の仇のようにぶっ叩きまくる。
この曲ではラスサビ前に音源にないセッションが追加されるのが恒例なのだが、この日も存分に楽しませてもらいました。もっとこいよ、と長谷川さんを挑発するさかしたひかる。2人の演奏にどんどん吸い込まれていき、頭の中がドミコ成分で満たされていく。それがMAXになったところでラスサビが鳴らされる、この快楽よ。もはやセックスである。

そこからもキラーチューン連発。そもそもドミコにはキラーチューンしかないのだが。"てん対称移動"、"のらりつらり"、"なんて日々だっけ?"と、どの曲もメロディが頭から離れない。薬物音楽だ。国が規制を始める前にみんな聴いといた方が良いよ。

「センキュウ、ラスト1曲」と、MCは一切無しで駆け抜け、ラストは"問題発生です"。この曲でもアウトロセッションが繰り広げられ、爆音でアラバキを満たして終了。「センキュウ〜」と言い残しあっさりステージを去っていった。


そのあとはあまりの暑さに音を上げ、日陰で座りながらtricotを見る。演奏がうますぎる。

tricot後、同じくアラバキに来ていた大学時代の先輩と合流。一緒にいいちこ飲んだあと「HYDE最後の曲だけ観に行かない?」と誘われ、メインステージである陸奥へ。

陸奥ステージ、それはもうとんでもねぇ人集り。僕の地元の町の総人口超えてた、たぶん。
HYDE、遠目でもわかるほどオーラバリバリ。なんと観客席に飛び込んでいた。マイクにお客さんの絶叫が入っちゃってた。

そのあとは先輩とストレイテナーを観た。
なんの曲やるかなぁ、最後はMelodic Stormかシーグラスかなぁ、なんて話していたらなんと1曲目メロスト、からのシーグラスという予想大外れも甚だしい、神のような幕開け。
MCほぼなしで駆け抜けるストイックなステージ。聴けて嬉しかったのは"TRAIN"。あまりにかっこいい、最高の1曲で、これがメガヒットしない日本はどうかしてると思う。先輩は"彩雲"に歓喜していた。
最後の曲でシネマスタッフに向かおう、と打ち合わせしていたのでそっとステージを抜け始めると、背中越しに聞こえる"ROCKSTEADY"。

「旅立ちのときはすぐに訪れた」……

ああ、ずるいぜ、ホリエ…


ということでcinema staff
やっぱり演奏が抜群にうまい。そしてボーカルの声が良すぎる。ギターの辻さんの暴れっぷりがたまらない。そして何気に下手のベース三島さんも暴れまくってる。
行こうぜアラバキ!というコールからの"シャドウ"を聴いて、ああフェスっていいなぁ、と改めて思った。
勿論、"great escape"もやってくれた。前の方にいた外国人の兄さん2人も歓喜していた。無事僕らは駆逐されたのだった。

最後の曲のアウトロでは全員ファズを踏み(たぶん)、轟音の壁を立ち上らせて終わった。

それを観た先輩が「さいご9mmみたいだったね〜」と。

ちなみにギターの辻はこの日が誕生日だったとか!おめでとう。

シネマスタッフ終わりに急いで陸奥ステージに舞い戻る。もうとんでもない人口密度で、2人でなんとかステージ内に入る。人の波に押されながら開演ジングルが鳴り響き、ELLEGARDENがアラバキに降臨した。

行こうぜ!という細美さんの叫びから、反則級のベストヒットパレード。"Supernova"とか聴きながら、うわぁ……と。エモすぎる、と思った。あの時間は完全に軽音楽部員時代に戻った、心が。

僕はけしてエルレの大ファンというわけではない。のに、心が揺さぶられて仕方なかった。"チーズケーキ・ファクトリー"で飛び跳ねながら、幸せだ、と心底思った。

"Space Sonic"久々に聴いたけどやっぱかっこよすぎるし、"風の日"からの"ジターバグ"なんて、ずるすぎる。逮捕しろ、今すぐ。なんていい曲なんだろう。なんていいメロディなんだ。
細美さんのあの、ロック的な激しさとポップな甘さが絶妙にブレンドされた声。ずるいなぁ…。

後半では上半身裸になった細美さん。"Make a Wish"と"金星"を最後叩きつけて帰っていった。

いやあ、見れて良かった。

人混み嫌いなので、見れなかったら見れなかったでいーや、なんて思っていたけど、一緒にいた先輩がエルレ行こう!と言ってくれたので観にいった。ほんと観てよかった。ありがとう先輩。
その先輩はエルレ終わり、神聖かまってちゃんを少しでも聴くため、じゃーね!と僕に別れを告げて走っていったのであった。

そして僕はカレーを買って2分で早食いし、最後the pillowsのステージへ。ピロウズで締められるフェス、なんて素晴らしいのだろう。メニューにちっちゃい中華そばがある居酒屋並みに素晴らしい。

いつもどおり、SALON MUSICの"Kely's Duck"が気だるく鳴り響く。メンバーが登場すると、アラハバキステージの花道へと4人でふらふらと歩いてきて、観客に手を振る。この上なくかっこいい、かつピロウズらしいオープニングだった。ちなみに花道の使い方がわからなくてこうなったのだとか。

1曲目何で来る?と思ったらまさかの"Advice"!!そうきたか!!!!

さわおさんの、Pixiesのブラックフランシス的な、様々な声色を使い分けたボーカルが最高。からの"RUNNERS HIGH"。これはもう、最高の夜になるぞと思った。

さわお「言いたいことがふたつある。
まずひとつ、集まってくれてありがとう。

もうひとつ…


なんでVaundy観に行かないの!?」

と、どこまでもさわおイズムに溢れたMCで大爆笑が巻き起こる。そう、裏ではVaundyが出演していたのだ。Vaundy蹴ってまで集まる、生粋のバスターズが揃っていた。

さわお「アラバキにはたくさん思い出がある。きっと今日もそんな夜になるよ」というMCから…

「ああ、今日は新しい僕の誕生日なんだ」と歌い出す。歓喜爆発の"アナザーモーニング"!

そしてまさかの"Ladybird Girl"!!胸が痛くて泣いてるよ、ピロウズのせいでな!!

からの、おなじみのあのエイトビートが鳴り響く。はやくも"Funny Bunny"だ!
サビは当たり前のように大合唱。リアムギャラガーのごとく、後ろで手を組んで歌いました、いえ、絶叫しました。私。

そしてここからはゲストパート。まずはSHISHAMOの朝子ちゃん登場、タイトルコールは朝子ちゃんにしてもらおうか、えっ私でいいんですか、シンイチロウ「俺がやろうか?」、などとわちゃわちゃしてからの、"ノンフィクション"!!!やったー!!!やったーって声に出ちゃった。周りにいた皆さんごめんなさい。ピロウズ節のポップなメロディと朝子ちゃんの声が合いすぎ。

つづいてはグリムスパンキーのレミさん登場。この曲大好きなんです、歌詞を書く時も影響を受けて、と熱弁するレミさんと、「…激渋(な選曲)だぜ?」と観客に念押しするさわおさん。奏でられたのは『Smile』収録の"Vain Dog(in a rain drop)"。レミさんのロケンローな声がたまらない。真鍋さんのトリッキーなギターもたまんない。

最後に登場したのはTOSHI-LOWである。「噛まれることを覚悟して…ドーベルマンを呼んでみようか」というさわおさんの呼び込みを受け登場すると、早速喋り倒す。「裏に鈴木淳(素行不良で首になったピロウズの前サポートベース)がいた」「(バスターズのことを指し)なんだっけ、枕営業の皆さん?」「1曲選べって言われてね、"さよなら第三惑星"っていったら却下された」などなど。ちなみに「枕営業」に関しては「トレンドに載るからやめろ!浸透したらどーすんだ!」とさわおさんがキレてました。

そんなこんなで、「さよなら第三惑星がダメならこの曲、"この世の果てまで"」とトシロウのタイトルコール。ナイス!!最高!!


トシロウを見送った後は、9mmとおなじく名曲連発。"About A Rock'n'Roll Band"、「カモン、リトルバスターズ!!」というお馴染みの口上から"LITTLE BUSTERS"!!僕含めたアラバキリトルバスターズたちはぴょんぴょん跳ねまくる。生き延びてまた会おう、来年のアラバキで、的なメッセージを叩きつける"No Surrender"、そしてこれを聴かなきゃ終われない、"ハイブリッドレインボウ"で本編終了。真鍋さんの轟音ギターが夜空に溶けていく。この二日間、ファズの轟音を聴かされた荒吐の木々たちはきっと来年はもっと綺麗な桜を咲かせることでしょう。


アンコールは"Locomotion,more!more!"。最後、メンバーが去った後、恒例のさわおさんのスピーチ。
「朝子ちゃん、レミちゃん、トシロウ、そして集まってくれたみんな、ありがとう。
この時代になぜロックバンドをやるのか。ロックバンドの存在意義ってなんだ?って考えたけど、わからない。でもなぜやるか?って言われたら、これが好きだからなんだよね。
好きなことやろうぜ!!」

そう言い残し、さわおは去って行った。

かっこよすぎ。



〜総括〜


最高の二日間でした。


やはりアラバキは良い。間違いなく日本一のフェスだ。
飯もうまいし、酒もうまいし、自然も良い。


川崎町の町長が1日目のメインステージで直々に挨拶をしたりとか、町長自ら川崎町のブースに立って販促をしていたらしい。そういう、町もアラバキというイベントを全力で迎え入れてくれるのが素晴らしい。


ベストアクトはモーサム。準ベストは9mm。

モーサムの爆音を聴きながら見上げた、夜になりかけの空と木々の美しさは一生忘れないと思う。

基本的に僕は人間って碌でもないと思ってるし、機嫌悪い時に繁華街とか歩いてるとこいつら全員くたばれとか、思春期の中学生並みのことを思ってしまうのだけど、アラバキにいる間は、会場ですれ違う人、お店の売り子の人たち、スタッフさん、ステージでたまたま近くになった人たち、みんな好きだなぁって思っちゃう。


アラバキ・マジックである。


アラバキにいる時の僕は本当に機嫌がいいので、告白とかされたら誰だろうと余裕でOKしちゃうと思う。そのくらいマジカルな空間なのだ。


ということで来年のアラバキまで生き延びます。


あ、そして二日間で得た音楽的栄養をバンドにも活かすぞ!!活かせるかな!!


そして今回のアラバキプレイリスト作りました。よかったら家事のBGMにでも…


おしまい。

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