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宮崎県が経済変動・伝染病等対策資金 貸付限度額を1000万円に引き上げ。農業だけにこういう制度を設けるのはどうなのか、という話。

UMKで以下のようなニュースが流れていました。

重油や飼料、肥料価格の高騰で影響を受けている農家を支援するため、県は、対策資金の貸付限度額を300万円から1000万円に引き上げました。

経済変動・伝染病等対策資金は、経済環境の急激な変化で経営に支障が生じている農家が低金利で融資を受けるため、県が独自に支援している制度です。

この制度の貸付限度額はこれまで300万円でしたが、1000万円に引き上げられました。 貸付金利は0.6%で、6年目以降は2.35%、償還期限は7年以内となっています。 最寄りの融資機関や農林振興局などで問い合わせを受け付けています。

UMKのニュースから引用

最近、このNoteは農業に対しての批判ばかりしているような感じになってきていますが、何度も言いますが、農業という産業が嫌いなわけでもなく、必要不可欠な産業であることは疑いはないです。

それでも、宮崎県独自で農業だけに設定しているこの制度もなんだかな、と思います。

同じ日に宮崎財務事務所が県内の経済情勢は緩やかに回復していると判断を据え置いた、というニュースも流れていますが、伝染病による行動制限が完全に解除されてからおよそ1年が経ち、この段階においてもなお経営状況が変わらないのであれば、今後一層の円安進行や近いうちに必ずある利上げには対応できないということになるでしょう。

原料高や燃料高で苦しんでいるのは農家だけではないわけで、先日の記事でも書いたように、JA宮崎組合員一人あたりの(所得ではなく)販売額が平均100万円にも満たない産業に対して、これほど貸付額を引き上げたとしても、それが予定通り返済される見込みも非常に低いのではないかと思います。制度は作ったけど応募がなかったのであれば、「貸付額が少ない」というよりも、「農業での将来の返済計画が立たない」という理由じゃないでしょうか。

むしろ返す気もない政治に近い誰かがこういう制度を作ったのかもしれませんが。

社会状況として人余りでなんとか農業でも仕事を確保しなければならない状況であれば、雇用の維持などのためにこういう公金の使い方も良いのかもしれませんが、現在はここ数十年間でも空前の人手不足でタクシーの運転手などでさえ不足するの状況です。

この労働環境において、全産業の中でも労働生産性の最も低い農業に縛り付けるための制度ではなく、むしろ農家をスムースに負担が少ない形で、別の産業への就業に向かわせるような制度のほうがより必要ではないかと思います。

宮崎県では、県内で最大の売上を上げる団体で、かつ構成員も最大のJA様向けの「農業だけのための制度」が次々できていきますが、宮崎の生産性を上げるためにはむしろ、農業から別の産業への展開を支援すべきではないかと思います。


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