記事一覧

詩人ロルカの愛したスペイン・グラナダの共存 ―グラナダ大学はジェノサイドに強く抗議する

 5月28日、スペインのグラナダ大学は、大学が平和や、社会正義、人権擁護、人々の間の協力に対して強く関わってきたことを強調しながら、イスラエルによる虐殺を停止さ…

宮田律
11時間前
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ノルマンディー上陸作戦が教える侵略、歴史の修正、植民地主義 ―Ⅾデーから80年

 第二次世界大戦で連合国を勝利に近づけることになったノルマンディー上陸作戦から80年が経った。アメリカのバイデン米大統領はフランス北西部コルビルシュルメールの米…

宮田律
1日前
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イスラエルを平和記念式典に招く広島市の「ダブルスタンダード」

 広島市が8月6日に開かれる平和記念式典にイスラエルを招待するのだという。  松井一実市長は、昨年ロシアを招待しない理由として、「ロシアによるウクライナ侵攻を挙…

宮田律
2日前
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モハメド・アリのヒューマニズム ―伝説のボクサーはイスラエルの占領の下に置かれるパレスチナ人に強く同情した

 6月3日は、アメリカのボクサー・モハメド・アリの命日だった。アメリカのイスラムのイマーム(導師)オマル・スレイマンは昨年末、インスタグラムへの投稿の中で、「ベ…

宮田律
3日前
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「安保闘争 燃え盛った政治の季節」とクレージーキャッツの「赤とんぼ」

 3日放送のNHK「映像の世紀バタフライエフェクト 安保闘争 燃え盛った政治の季節」を観た。冒頭坂本九の「上を向いて歩こう」の作詞の経緯について永六輔が語ってい…

宮田律
4日前
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ガザの惨状や子どもたちを思いやるエリック・クラプトン

 有名なイギリスのシンガーソングライターで、ギターリストのエリック・クラプトンは、昨年10月にハマスの奇襲攻撃があってからおよそ1カ月後に“Voice Of A Child”と…

宮田律
5日前
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アメリカ議会に招待されたネタニヤフ首相とフランス歌謡シャンソンに表現されたパレスチナ

 イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカ議会に招待され、スピーチを行うのだそうだ。首相府を通じて「上下両院でイスラエルを代表し、我々を破壊しようとする者たちとの正…

宮田律
6日前
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スペイン・バレンシア大学理事会はイスラエルに国際法の遵守と人権侵害の停止を訴える

5月30日にNHK・BSで「アナザーストーリーズ 東大安田講堂事件 あのとき学生は何と戦ったのか」の再放送を観た。 (番組全体は https://www.dailymotion.com/vi

宮田律
7日前
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イスラエル極右は歴史を知らない ―ナチス傀儡のヴィシー政権からユダヤ人を救ったムスリムたち

 イスラエルの極右閣僚イタマル・ベンビール国家治安相はエルサレムのイスラムの聖地であるハラム・アッシャリーフをユダヤの神殿に変えると主張し、ハラム・アッシャリー…

宮田律
8日前
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パレスチナ人への同情や共感を表す世界の著名人たち

 イスラエル軍が26日夜に行ったガザ地区最南部ラファの北西部の空爆によって避難民が密集して生活していたテントなどが焼失し、45人が死亡したが、そのうち子どもや女…

宮田律
9日前
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ヨーロッパはラファの難民攻撃に起ちあがる ―2つの国家なしに2国家解決はあり得ない

 イスラエルのガザ地区ラファ攻撃に対してヨーロッパ諸国では憤りや反発の声が上がるようになった。フランス・パリでは、1万人規模の抗議集会がパリのイスラエル大使館近…

宮田律
10日前
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ジェノサイドを許さない ―ナチスのホロコーストに由来し、平和を訴える長崎四種のバラ

 イスラエル軍が26日にガザ地区ラファで行った空爆で少なくとも45人が死亡した。イスラエル軍は国際司法裁判所(ICJ)攻撃停止命令を出した後も攻撃を継続している…

宮田律
11日前
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ガンジーの平和観と、シオニズムはイギリス帝国主義の一環と考えたガンジー

 インド独立運動の指導者ガンジーは、「暴力は何も解決しません。愛、お互いを信頼する心、理性が問題を解決します。みんなが共存することが大事なのです」と語り、サティ…

宮田律
12日前
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ヒューマニズムこそ不正への抵抗手段 ―エドワード・サイード

 アメリカのパレスチナ系文学者のエドワード・サイード(1935~2003年)は、アラブ諸国やイスラエルの音楽家から成る西東詩集管弦楽団の設立(1999年)に際し…

宮田律
13日前
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国際司法裁判所(ICJ)のラファ攻撃停止命令と、ICJ無視のイスラエルに日本政府は圧力をかけるべき

 ユダヤ人の詩人ハインリヒ・ハイネ(1797~1856年)は、「人間を照らす唯一のランプは理性であり、生の闇路を導く唯一本の杖は良心である。」(ハイネ 『ドイツ…

宮田律
2週間前
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重大な人権侵害である「冤罪」 ―袴田事件と古今東西の事例は冤罪の非人道性を訴える

 22日、静岡地裁での再審(=やり直し裁判)で検察は袴田巌さんに死刑を求刑した。昨年3月、東京高裁が「袴田事件」について再審開始を認める決定を行い、検察側の「証…

宮田律
2週間前
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詩人ロルカの愛したスペイン・グラナダの共存 ―グラナダ大学はジェノサイドに強く抗議する

詩人ロルカの愛したスペイン・グラナダの共存 ―グラナダ大学はジェノサイドに強く抗議する

 5月28日、スペインのグラナダ大学は、大学が平和や、社会正義、人権擁護、人々の間の協力に対して強く関わってきたことを強調しながら、イスラエルによる虐殺を停止させるために、イスラエルとの教育、研究上の協力を一切停止することを明らかにした。

 過日紹介したバレンシア大学と同様に、グラナダ大学はイスラエルによるジェノサイドや人権侵害を容赦しない強い姿勢を見せた。
 スペイン・グラナダには抑圧された人

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ノルマンディー上陸作戦が教える侵略、歴史の修正、植民地主義 ―Ⅾデーから80年

ノルマンディー上陸作戦が教える侵略、歴史の修正、植民地主義 ―Ⅾデーから80年

 第二次世界大戦で連合国を勝利に近づけることになったノルマンディー上陸作戦から80年が経った。アメリカのバイデン米大統領はフランス北西部コルビルシュルメールの米兵墓地で追悼行事に出席し、「侵略者と闘う義務」を強調し、フランスのマクロン仏大統領も演説で「力によって国境を変え、歴史を修正しようとする者に直面しても、私たちはここに上陸した人々にふさわしい者でいよう」と訴えた。

 これら首脳の発言はロシ

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イスラエルを平和記念式典に招く広島市の「ダブルスタンダード」

イスラエルを平和記念式典に招く広島市の「ダブルスタンダード」

 広島市が8月6日に開かれる平和記念式典にイスラエルを招待するのだという。

 松井一実市長は、昨年ロシアを招待しない理由として、「ロシアによるウクライナ侵攻を挙げ、「日本の姿勢に誤解を生じさせ、式典の円滑な挙行に影響を及ぼすことがないようにする」と説明していた。(中国新聞、2023年6月9日)

 記者会見である記者が松井市長に「ダブルスタンダードではないか」と問うと、市長は「ダブルスタンダード

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モハメド・アリのヒューマニズム ―伝説のボクサーはイスラエルの占領の下に置かれるパレスチナ人に強く同情した

モハメド・アリのヒューマニズム ―伝説のボクサーはイスラエルの占領の下に置かれるパレスチナ人に強く同情した

 6月3日は、アメリカのボクサー・モハメド・アリの命日だった。アメリカのイスラムのイマーム(導師)オマル・スレイマンは昨年末、インスタグラムへの投稿の中で、「ベトナムからガザへ。戦争マシーンに対する批判は容易ではない。しかし、偉大であるということは、真実のために多大な犠牲を払うことを意味する。モハメド・アリはその瞬間を決して逃さなかった、だからこそ彼はパレスチナのためにも戦ったのだ。人道のためにあ

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「安保闘争 燃え盛った政治の季節」とクレージーキャッツの「赤とんぼ」

「安保闘争 燃え盛った政治の季節」とクレージーキャッツの「赤とんぼ」

 3日放送のNHK「映像の世紀バタフライエフェクト 安保闘争 燃え盛った政治の季節」を観た。冒頭坂本九の「上を向いて歩こう」の作詞の経緯について永六輔が語っている。「この詞は励ましの詞じゃないんです。前年の60年安保で僕が感じた挫折を歌ったものですから。どちらかというと泣き虫の歌であって。その歌を歌って励まされた気分になるのはなにかの間違いじゃないかと思って・・・。」

 最近NHKではBSで映画

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ガザの惨状や子どもたちを思いやるエリック・クラプトン

ガザの惨状や子どもたちを思いやるエリック・クラプトン

 有名なイギリスのシンガーソングライターで、ギターリストのエリック・クラプトンは、昨年10月にハマスの奇襲攻撃があってからおよそ1カ月後に“Voice Of A Child”というインストルメンタル曲をリリースした。その映像にはガザの子どもたちの不安げな表情、涙をこぼす姿、あるいは破壊が進んだガザの様子、世界のガザ攻撃に反対する人々などの画像とともに、彼らの心情に寄り添うクラプトンの情感が表れてい

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アメリカ議会に招待されたネタニヤフ首相とフランス歌謡シャンソンに表現されたパレスチナ

アメリカ議会に招待されたネタニヤフ首相とフランス歌謡シャンソンに表現されたパレスチナ

 イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカ議会に招待され、スピーチを行うのだそうだ。首相府を通じて「上下両院でイスラエルを代表し、我々を破壊しようとする者たちとの正義の戦争について、アメリカ国民の代表者と全世界へ向けて真実を語るという栄誉に大変感激している」という声明を出した。あらためてアメリカ政界の感覚や認識が世界とはずれていることを見る思いだが、バーニー・サンダース上院議員は「ベンヤミン・ネタニヤ

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スペイン・バレンシア大学理事会はイスラエルに国際法の遵守と人権侵害の停止を訴える

スペイン・バレンシア大学理事会はイスラエルに国際法の遵守と人権侵害の停止を訴える

5月30日にNHK・BSで「アナザーストーリーズ 東大安田講堂事件 あのとき学生は何と戦ったのか」の再放送を観た。

(番組全体は https://www.dailymotion.com/video/x8drdbg

 で視られる。)

 学生たちの運動の発端となった医学部の無給の研修医制度など大学の改革を求める学生たちの声に大学当局が真摯に耳を傾け、警察を使って学生の排除などを行わなければ、入試

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イスラエル極右は歴史を知らない ―ナチス傀儡のヴィシー政権からユダヤ人を救ったムスリムたち

イスラエル極右は歴史を知らない ―ナチス傀儡のヴィシー政権からユダヤ人を救ったムスリムたち

 イスラエルの極右閣僚イタマル・ベンビール国家治安相はエルサレムのイスラムの聖地であるハラム・アッシャリーフをユダヤの神殿に変えると主張し、ハラム・アッシャリーフの敷地内でユダヤ教の礼拝を再三行い、またベングビール氏と同じ極右政党「ユダヤの力」に属すアミハイ・ベン=エリヤフ・エルサレム問題・遺産大臣はラマダンなど消滅してしまえと発言するなど、彼らにはイスラムに対する敬意が感じられない。イスラエルに

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パレスチナ人への同情や共感を表す世界の著名人たち

パレスチナ人への同情や共感を表す世界の著名人たち

 イスラエル軍が26日夜に行ったガザ地区最南部ラファの北西部の空爆によって避難民が密集して生活していたテントなどが焼失し、45人が死亡したが、そのうち子どもや女性が23人いたことは世界に大きな衝撃を与えている。イギリスのシンガーソングライターで、9000万人近いインスタグラムのフォロワーがいるデュア・リパも"#AllEyesOnRafah"のハッシュタグとともに、「子どもたちを焼き殺すことは決して

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ヨーロッパはラファの難民攻撃に起ちあがる ―2つの国家なしに2国家解決はあり得ない

ヨーロッパはラファの難民攻撃に起ちあがる ―2つの国家なしに2国家解決はあり得ない

 イスラエルのガザ地区ラファ攻撃に対してヨーロッパ諸国では憤りや反発の声が上がるようになった。フランス・パリでは、1万人規模の抗議集会がパリのイスラエル大使館近辺で行われ、「われわれは皆ガザ市民だ」「ガザに自由を!」などのスローガンが叫ばれた。パリでは先月終わりから今月にかけてパリ政治学院の学生たちが大学施設の一部を占拠して、イスラエルのガザ攻撃を非難したことがあった。

 28日、アイルランドは

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ジェノサイドを許さない ―ナチスのホロコーストに由来し、平和を訴える長崎四種のバラ

ジェノサイドを許さない ―ナチスのホロコーストに由来し、平和を訴える長崎四種のバラ

 イスラエル軍が26日にガザ地区ラファで行った空爆で少なくとも45人が死亡した。イスラエル軍は国際司法裁判所(ICJ)攻撃停止命令を出した後も攻撃を継続しているが、犠牲者の大多数は民間人で、武器をもたない民間人を多数殺害することはジェノサイド(大量虐殺)としか言いようがない。

 2011年4月12日にナガサキピースミュージアムの西側・三角芝生スペースに「平和のバラ園」が設けられた。植えられている

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ガンジーの平和観と、シオニズムはイギリス帝国主義の一環と考えたガンジー

ガンジーの平和観と、シオニズムはイギリス帝国主義の一環と考えたガンジー

 インド独立運動の指導者ガンジーは、「暴力は何も解決しません。愛、お互いを信頼する心、理性が問題を解決します。みんなが共存することが大事なのです」と語り、サティヤーグラハ(真理の把握)運動を推進した。この「真理の把握」に、ガンジーは非暴力抵抗運動という意味を込めるようになった。

「平和は自分の内面にあり、周囲の状況に左右されない」-ガンジー

 ガンジーは、自らが抵抗するイギリス植民地主義が支援

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ヒューマニズムこそ不正への抵抗手段 ―エドワード・サイード

ヒューマニズムこそ不正への抵抗手段 ―エドワード・サイード

 アメリカのパレスチナ系文学者のエドワード・サイード(1935~2003年)は、アラブ諸国やイスラエルの音楽家から成る西東詩集管弦楽団の設立(1999年)に際して「ヒューマニズムは、人類の歴史を損なう非人道的な慣行や不正に対して私たちが持っている唯一の抵抗手段です。人々の間の分離は、人々を分かつ問題の解決策とはなりません。そして確かに他者への無知は何の助けにもなりません。私たちが共に暮らし、演奏し

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国際司法裁判所(ICJ)のラファ攻撃停止命令と、ICJ無視のイスラエルに日本政府は圧力をかけるべき

国際司法裁判所(ICJ)のラファ攻撃停止命令と、ICJ無視のイスラエルに日本政府は圧力をかけるべき

 ユダヤ人の詩人ハインリヒ・ハイネ(1797~1856年)は、「人間を照らす唯一のランプは理性であり、生の闇路を導く唯一本の杖は良心である。」(ハイネ 『ドイツの宗教と哲学』)と説いた。ナショナリズムは、このハイネが説く理性とも良心とも対極にあり、その自己陶酔がどこまで行くかわからない、または果てないことは、シオニズムというナショナリズムに基づく国家のイスラエルによるガザ攻撃を見ればわかる。

 

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重大な人権侵害である「冤罪」 ―袴田事件と古今東西の事例は冤罪の非人道性を訴える

重大な人権侵害である「冤罪」 ―袴田事件と古今東西の事例は冤罪の非人道性を訴える

 22日、静岡地裁での再審(=やり直し裁判)で検察は袴田巌さんに死刑を求刑した。昨年3月、東京高裁が「袴田事件」について再審開始を認める決定を行い、検察側の「証拠」が捜査機関のねつ造の可能性が極めて高いと指摘したにもかかわらずである。

 この事件については静岡地裁の元判事が信念に反する判決書を書いたとことを告白し、袴田巌さんの無罪を涙ながらに訴えた。真実はすぐそこにあるように思えるにもかかわらず

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