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ガザでの「ジェノサイド」を観て戦争マシーンからの脱却をアピールするアメリカの大学生たち

 アメリカの学生たちは大学が軍需産業からの投資撤退(divest)することを求め、ガザ住民たちと同様にテント生活を送ることで、アメリカとイスラエルの軍事協力に対する抗議の意思をアピールしている。ブラウン大学、ノースウェスタン大学、エバーグリーン州立大学、ラトガース大学、ミネソタ大学、ウィスコンシン大学などでは、大学当局から投資撤退を検討するという言質を引き出すのに成功した。  ガザでの大量虐殺は、若者たちに、アメリカの戦争マシーンに対する疑問の声を上げさせることになっている

    • EU加盟国のパレスチナ国家承認と、どうする日本?

       欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表(外相)は9日、スペインやアイルランド、スロベニアなど複数の加盟国が21日にパレスチナを国家承認する予定であることを明らかにした。これにベルギーなどが続くという。  パレスチナ国家を承認している国は、国連加盟193カ国のうち世界139カ国、EU加盟国ではスウェーデン、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ポーランドと多いとは決して言えないが、フランス国民議会(下院)やスペイン下院、またイギリス下院も

      • パレスチナ人の「ナクバ(大災厄)」をもたらした19世紀欧米宗教の狂信的エゴと植民地主義

         今日、5月15日は、イスラエル建国によってパレスチナ人たちが難民になったことを嘆く「ナクバ(大災厄)」の日である。今年はイスラエルのガザ攻撃によって、ガザでは記念行事を行うことはまったく不可能な状態だ。ガザ地区220万人の総人口の4分の3は、難民とその子孫が占めている。 国連総会決議194号(1948年12月)では、現在のイスラエル領から難民として逃れたパレスチナ人たちにはイスラエル領への帰還する権利が認められているが、イスラエルはこれを一切認めていない。2018年3月から

        • 原爆投下を正当化するアメリカの上院議員と、核兵器をめぐる人種主義

           12日、アメリカのリンジー・グラム上院議員はイスラエルのガザ攻撃を自衛権と正当化する中で、「広島・長崎への原爆投下を負けられない戦争を終わらせた。正しい決断だった。」と述べた。  アメリカは広島・長崎の原爆投下で、今のイスラエルと同様に非常に多数の市民を殺害した。アメリカが原爆投下した時、日本はアメリカの存亡に対する脅威ではなかった。  イスラエルは同様に現在存亡の危機に直面していない。イスラエルの見積もりによれば、ハマスのカッサーム旅団の兵力は3万人、他の武装集団は数

        ガザでの「ジェノサイド」を観て戦争マシーンからの脱却をアピールするアメリカの大学生たち

        • EU加盟国のパレスチナ国家承認と、どうする日本?

        • パレスチナ人の「ナクバ(大災厄)」をもたらした19世紀欧米宗教の狂信的エゴと植民地主義

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          ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」とパレスチナ人への「人種差別」

           ジャズ・ボーカリストのビリー・ホリデイ(1915~59年)が1939年にレコーディングし、ミリオンセラーとなった有名な「奇妙な果実(Strange Fruit)」は、ユダヤ系アメリカ人のエイベル・ミーアポル(1903~86年)が1937年に書いた詩をもとに曲が作られたものだ。アメリカの残忍な人種差別の情景が描かれていて、南部ののどかな情景と白人たちのリンチによって樹に吊るされた黒人の遺体を対比させるような内容となっている。  ビリー・ホリデイの歌は差別される黒人の哀切な情

          ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」とパレスチナ人への「人種差別」

          「母の日」にあらためて知るイスラエルのガザ攻撃の非人道性

           今日は母の日だが、ガザでは戦争中、ガザでは平均して1 時間ごとに2人の母親が亡くなり、家族は大きな衝撃を受け、子どもたちは孤児になるなど子どもへの保護も希薄になっている。  10月7日のガザでハマスの奇襲攻撃があって以来4カ月の間、世界中でそれまでの4年間で亡くなった子どもよりも大勢の子どもたちがガザで亡くなった。多くの母親は栄養失調のため、新生児のために乳が出ない。スーク(市場)には粉ミルクもなく、それを混ぜる清潔な水も獲得が不可能だ。  ガザでは毎日180人の女性た

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          「ふたりの天使」が教えるユダヤ教の義の世界 ―天使、チョムスキー、アインシュタイン、アーレント

           国連総会でパレスチナの国連加盟が採択された。イスラエルの国連大使は国連憲章をシュレッダーにかけてみせた。ガザで3万5000人の人々が殺害されているが、イスラエル人が信仰するユダヤ教の本来の姿はこれらとは異なってヒューマンなものだと信じたい。  1970年にダニエル・リカーリの歌で大ヒットした「ふたりの天使」はすべてのバージョンを合わせて1500万枚の大ヒットを記録した。ダニエル・リカーリの歌の動画は https://www.youtube.com/watch?v=5Oj

          「ふたりの天使」が教えるユダヤ教の義の世界 ―天使、チョムスキー、アインシュタイン、アーレント

          戦争と花 ―今は本当にひどい時代だが希望はある(ガザ戦争)

           昨晩、ベトナム戦争の際に1967年10月21日に、警官隊に花を差し出し反戦の意思を示す女性の写真をあらためて見た。この写真は「戦争と花」というテーマの写真展でもメインの展示となったことがあった。この日はワシントンDCリンカーン記念堂から国防総省(ペンタゴン)まで行進が行われ、参加者のベトナム反戦の意思が強烈に示された。この集会でもカリフォルニア大学バークレー校でベトナム反戦運動を率いていたジェリー・ルービンが中心的役割を担うなど、現在ガザ反戦運動と同じように、ベトナム反戦運

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          日本の大学の「ダブルスタンダード」を非難する東大パレスチナ連帯キャンプと、アメリカの学生運動に希望を見る人々

           東京大学駒場キャンパスでもパレスチナに連帯するキャンプが張られるようになった。運営委員の学生は大学が虐殺とアパルトヘイトを行うイスラエルを非難すべきだと主張し、ロシアのウクライナ侵攻を非難した大学がイスラエルに声を上げないのはダブルスタンダード(二重基準)だと述べた。(東京新聞、毎日新聞)  アメリカの大学から始まったテントを張ってパレスチナとの連帯を訴える運動は、イスラエルの攻撃によってテント生活を余儀なくされるガザの人々の境遇や心情に連帯するものだ。  ダブルスタン

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          アルジャズィーラを禁止するイスラエルと、エドワード・サイードが語る「イスラム報道」

          私は君の意見に賛成しない。 しかし、君がそれを言う権利は命を賭けても守ろう。  これはフランス啓蒙主義の思想家ヴォルテール(1694~1778年)の言葉である。啓蒙思想には人間の理性の力でもって世界の秩序を肯定的に変えるという確信があった。  イスラエルは、このヴォルテールの言葉に反するように、その国内におけるアルジャズィーラの活動を禁止した。「世界報道の自由デー」の2日後のことだった。イスラエルのテレビ局はガザでの戦闘を報じないために、イスラエルの特にアラブ系市民にとっ

          アルジャズィーラを禁止するイスラエルと、エドワード・サイードが語る「イスラム報道」

          フランス「革命の5月」 ―ガザでの即時停戦を求める運動はフランスの高校生にまで波及

           イスラエルのネタニヤフ政権がラファ侵攻を行う構えでいる中で、フランスでは高校生にもガザでの即時停戦を訴える運動が広がっている。5月5日、高等学校連合のマネス・ナデル副会長はBFMTV(フランスのテレビ局)で、「明日からかなりの数の高校が閉鎖される」、「およそ数十校」になるだろうと語った。その動画は https://twitter.com/BFMTV/status/1787147113391943953 にある。あどけない表情ながらも自分の意思をしっかりと伝えている様子が見

          フランス「革命の5月」 ―ガザでの即時停戦を求める運動はフランスの高校生にまで波及

          中村哲医師の精神は生き続ける ―アフガニスタン・ナンガルハル州で新たな用水路の完成

           5月4日、アフガニスタンのナンガルハル州で中村哲医師が現地代表を務めていたペシャワール会の支援で1年半にわたる工事が行われていた新しい用水路が完成して、5月4日、完成記念の式典が行われた。タリバン暫定政権のマンスール水・エネルー相代行は式典で、ペシャワール会がアフガニスタンの人々の困難を忘れることなく、支援してくれることに感謝の言葉を述べた。用水路が完成した地域はかつてISが活発に活動したところで、用水路の完成による民生の安定には暴力を減じることへの期待もある。用水路は1万

          中村哲医師の精神は生き続ける ―アフガニスタン・ナンガルハル州で新たな用水路の完成

          アメリカの大学生に謝意を表明するガザの子どもたち ―日本では子どもの幸福を図る「子供の日」だが・・・

           「セーブ・ザ・チルドレン」によれば、昨年10月7日から今年4月4日までにガザでは13、800人の子どもたちが犠牲になった。まさに現代におけるジェノサイドである。日本では、今日子どもの幸福を図る「子どもの日」だったが、ガザでは毎日のように、子どもたちが殺害されている。  5月1日、ガザ中部のデイル・アル=バラのアル・アクサー殉教者病院の前で医師、看護師など医療スタッフや子どもたちが集まり、「子どもたちへの殺害を止めよ、ジェノサイドへの団結」などのスローガンを掲げながら、ガザ

          アメリカの大学生に謝意を表明するガザの子どもたち ―日本では子どもの幸福を図る「子供の日」だが・・・

          総統閣下と連携しようとしたシオニストたち -ナショナリズムを共通項に似通うナチズムとシオニズム

           パレスチナのアラブ人たちの完全な排除や殺害を考えるイスラエルの極右の主張は、ユダヤ人の絶滅を考えたナチズムのイデオロギーと似通っている。本質的にはナチズムと、イスラエル建国のイデオロギーであるシオニズムは、ナショナリズムを共通項にするために、同じ発想に立つのだから当然とも言える。  手塚治虫の「アドルフに告ぐ」はヒトラーにユダヤ人の血が流れているという機密文書をめぐるストーリー展開だった。この説にはイスラエルは即座に反発するようだ。一昨年5月、ロシアのラヴロフ外相がヒトラ

          総統閣下と連携しようとしたシオニストたち -ナショナリズムを共通項に似通うナチズムとシオニズム

          イスラエルの歴史学者ハラリ氏 ―イスラエルは復讐のためにだけ生き、自滅したサムソンに酷似してきた

           イスラエルの『ハアレツ』紙(24年4月18日付)に歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏の「From Gaza to Iran, the Netanyahu Government Is Endangering Israel's Survival(ガザからイランまで:ネタニヤフ政権はイスラエルの存続を危うくしている)」という文章が掲載された。(『クーリエ・ジャポン』に「孤立したイスラエルは完全敗北に近づいている」として転載。5月1日付)  この記事の中でハラリ氏は、ネタニヤフ首

          イスラエルの歴史学者ハラリ氏 ―イスラエルは復讐のためにだけ生き、自滅したサムソンに酷似してきた

          親イスラエル勢力に襲撃されたUCLAの学生たちと、政府の中東政策を批判するアメリカの学問的良心

           アメリカのブラウン大学では、学生たちのパレスチナ連帯キャンプを受けて、学長がガザ攻撃で利益を上げる企業からの投資撤収を検討すると学生たちに約束した。学生たちのガザ停戦を求める運動は一定の成果を上げ始めている。  カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)では、4月30日、パレスチナ連帯のキャンプを行う学生たちに親イスラエル勢力が花火を撃ち込んだり、強制的に排除しようとしたりするなど暴力的襲撃を行った。BBCは「恐ろしい暴力」という言葉を使用しているが、その暴力はヨルダ

          親イスラエル勢力に襲撃されたUCLAの学生たちと、政府の中東政策を批判するアメリカの学問的良心