見出し画像

とうとう出た…。

断酒20年のヨウスケです。

アルコールが原因でまた振り出しに戻りました。次の仕事のアテもなく危機感は一応はあったのですが、先のことを考えても全く希望が見えず、とりあえずの現実逃避で、また飲んだくれの生活に戻ります。

 季節は夏。ビールの美味い季節でした。結構飲めたということは前のバイトでの稼ぎが残っていたのだと思います。

 どんな生活を送っていたのかほとんど思い出せないのですが、9月のある日、激しい嘔吐と身体の裏側の痛みを感じ、半ば強制的に病院に連れていかれました。

 診断結果はアルコール性肝炎と膵炎。

 今回ははっきりと

 アルコール性肝炎

 の診断をいただきました。

 肝炎は食欲が無いのとだるいというはっきりしない症状なのですが、膵炎は本当にキツかったです。

 結局そのまま入院ということになったのですが、入院当日の夜に出てしまいました…。

 といっても幽霊とかではなく

 出たのは

 アルコールの離脱症状による幻覚です。

 部屋は二人部屋だったのですが、夜にカーテン越しに隣の人がこちらを覗いたり、いろいろと嫌がらせをしてくるような幻覚を見て、

「ここはまともな病院ではない。病院ぐるみで俺を陥れようとしている」

 と本気で思い、打っていた点滴を自分で抜いて荷物をまとめて病院の外に出ました。

 病院の外に出て公衆電話を探し、家に電話をして

「この病院はおかしい。こんなところには居れない!」

と親に報告しようとするのですが、なぜか繋がりません。携帯電話は持っていたはずですが、使わなかったのが不思議です。

 とにかく煙草を吸って正気を取り戻そうとするもライターの火がなかなかつきません。

 ちょうど通りがかりの人がいたので火を借りようと声をかけても、煙草を吸わないので持っていないとの返事。

 持っていたライターで何とか火をつけることができ、煙草を一本吸うと少し落ち着いてきました。

「たしかにおかしい病院ではあるが(本気でそう思ってました。)、看護師さんは親切で優しい人も居たな」と悪い人ばかりではないと思い、病室に戻ることにしました。

 正面玄関の自動ドアは夜中なので、もちろん閉まっています。横に通用門みたいなのがあり、インターホンを鳴らすと守衛さんが出てきて入院患者であることを話すと中に入れてくれました。

 もしかしたらこの一連の行動も幻覚であったかもしれませんが、真相は謎のままです。

 病室に戻ると行方不明になったと大騒ぎになっていたようで、看護師さんにさんざん怒られました。

 その夜は興奮状態に近い感じで全く眠れませんでしたが、病棟中で入院患者が「あんなおかしい奴こんなところに入院させるな!」と私の昨夜の行動を非難する声が聞こえてきたり、外で鳩が鳴いているのが恐ろしく聞こえてくるわで、恐怖とアルコールの離脱症状で身体がガタガタ震えていました。

 その日の午後にドクターもやって来て、色々と根掘り葉掘り聞かれました。

 その後、母親が別室に呼ばれ、内科的には肝機能の数値も前回のようにGOT、GPTが4桁とかの異常値ではなく、どちらも200前後(それでもかなり高いですが)でアルコールを止めれば下がるものではあると思いますが、アルコールの離脱症状に関してはうちでは対応しきれないので、また出るようであれば精神病院への転院も考えておいて下さいとのこと。

 その話を母親から聞かされて、アルコールの離脱症状に関してはこれは黙って我慢しておこうと決めました。

 相変わらず夜は眠れないし、ずっと頭の中に音楽が鳴っていて、時々外で爆音でライブをやっているような幻聴まで聞こえてましたが、それを訴えるとヤバい奴扱いになると思い(口にしなくてもヤバいですが…。)じっと黙っていることにしました。

 1週間ほどするとそういった離脱症状の幻覚もおさまり、眠れるようになってきて身体も回復してきました。

 ちなみに入院初日に隣のベッドにいた方は次の日に部屋を替わったか、退院していったようです。

 当たり前ですが、隣に〇〇〇〇みたいな奴が入院してきたら気持ち悪いし、落ち着いて療養できませんよね。本当に申し訳なかったと思ってます。

 内科的には1ヶ月ほどの入院で肝機能も正常値に戻り、膵炎の方もおさまり退院となりました。

 しかし

 アルコールの飲みすぎが肝臓だけでなく、脳や神経にも影響を与えていくということを、その後、身をもって実感していくことになります。



 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?