意味が沢山溢れてくる社会において、意味を受け止めるプラットフォーマーへ

※このnote記事は、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース 「クリエイティブリーダシップ特論II」 の課題エッセイとして記載したものである。

第13回ゲストは、「アフターデジタル」という本を書いた藤井保文さん!

▶︎アフターデジタル概論

最近は行動データの利活用が進むが、活用しきれない人たちが負けていくことが、中国、エストニアなどのIT先進国から分かることなのだという。

また、デジタルが前提になり(デジタルリアル融合時代、デジタルがリアルを内合する)むしろ「リアル接点というレアで貴重な場」をどう活用するか?が論点になってきているのも注目すべきポイントだ。

そもそも、リアルが得意なことといえば、感動体験、目の前、信頼構築しやすいことであり、デジタルは広範囲にばらまける分、目の前の相手との信頼は構築しづらい。つまり、リアルならでは、リアルな体験に対する期待値がより高まっていくのだ。

属性データから、体験全体の価値提供へ
企業競争の属性が「製品」から「体験」へと変遷している。ターゲットだけでなく、最適なタイミング×コンテンツ×コミュニケーションの提供が可能になっていく。タッチポイントもデジタル視点→製品×デジタル→デジタル視点の流れに移行していくのだという。
例)映像コンテンツや音楽も「接点」で売る時代へ(ジャーニーの提供)

Online Merges with Offline
例えば、アレクサへの指示はリアル?デジタル?どちらの体験なのだろうか?正直、ユーザーにとってはどうでもいいことであり、こういったことではなく、ユーザー側に起こることをメインに考えるべきである。

体験品質が生き残りを決めていく
蓄積したデータをより良い体験の形で返していかないといけないため、従来型ビジネスに終始してしまうものであれば、行動データをもらわない限りは適切なターゲットすらわからず、下請けに成り下がってしまい、業界構造が大きく変わっていくのかもしれない。

▶︎アフターデジタル時代のアーキテクチャ設計

行動変容すらも内在化できるようになる中国の評価システム
これまでは社会的な信用履歴を残せなかった一部の人々が、アリババなどの決済プラットフォーム上で行動履歴を残すことができ、その経済圏内では信用情報が貯まっていくのだという。給与が高くてもアリババ内での決済履歴があまりなければ、信用情報は低いことになることが何とも皮肉である。

良い行動が蓄積されていく
「良いことしても騙される」という価値観が変容してきた。元々の社会的ペインが相当大きかった部分もあり、一気に規範や考え方が変わっていっていくのだという。

DiDiはウーバーよりも質が高い?
ドライバーのスコアリングが高いほど単価が高くなる仕組みである。キャンセルしたらものすごく減点される。アプリをつけっぱなしにすることで、わざと遠回りしていないか&運転スキルを把握、ドライバーが儲けようとすればするほど、タクシー体験が良くなっていくというとても秀逸な仕掛けだと思った。

UXはウェブからリアルの場へ
企業や起業家がアーキテクチャを設計できる社会になってきていることで、脱中央集権化が進んでいくのだという。体験デザインが持っている力が民間に開放されてきたことが中国での事例から明らかになってきている。

▶︎Q&A


「自由」と「解放」
便利レイヤーと意味レイヤーに分けて考える。便利レイヤーは指標が決まっており、負から解放されるという定義で考えるので、分かりやすい。

銀行「機能」を使う時代へ
銀行はお金を貯める場所でしかない、法人向けのサービスに帰結しているが、顧客の状況をどこまで把握できているか?によって、溜めているだけの銀行かそうでないかの銀行になる差別化が図られていくのだという。

対話型組織
マルイの社長が言うように、命令型から対話型へ組織の形も変わっていく。これまでの大量生産型では意思の共有は必要なく、体験提供型は対話を重視し、みんなで同じ価値を提供していかなければならないため、各自が言葉を体現していかなければならない

アフターデジタルの社会では、今後ますます意味が沢山溢れてくるだろう。意味を受け止めるプラットフォーマーになれるかどうかが、鍵になっていくのだろう。

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