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感動がとま「らんまん」

とうとう半年の月日と共に終わりを迎えた朝ドラ『らんまん』。

ここ何作か続けて見た朝ドラの中では一番面白かった、というか「質のいいドラマ」「満足感のあったドラマ」だったように思います。
もちろん感想は人それぞれなので思うところはさまざまでしょうが。

そつがないし、矛盾や中だるみを感じることもほとんどなく、脇を固める登場人物たちとそのエピソード、バックボーンの描き方も丁寧。
ちゃんと万太郎との関わり方や生き方に繋がっていて、それぞれに影響しあい、無駄と思えるシーンはほとんどなかったかなと。

長屋で生活を始めて住人たちと楽しくわちゃわちゃ過ごす場面も、それが万太郎らしさと素朴な心の豊かさを裏付けるものであったし。

テーマやキャラクターもぶれることなく一本筋がちゃんと通っていました。

ドラマで「あれ?」と違和感抱くようなときは、たいていキャラやテーマがブレブレだったりするとき。「らんまん」はそれがなかったから、軸がしっかりしていたのかなと思います。

要所要所で登場人物から発される美しい言葉も、どれも心にしみました。これは優れた脚本の成せる業なのでしょう。「名言ベスト10」を誰かに作ってほしいぐらいです。

以前も書きましたが、劇判 (劇中の音楽) も良くて、その場面を場面らしく演出し盛り上げてくれました。

最終週 (9月25日~) 、最終回 (9月29日) は特によかったです。時が前後する見せ方もいいですね。

今週のはじめ、時代は昭和33年。万太郎はこの世にいない。次女の千鶴(松坂慶子さん/2役)が父・万太郎の遺品を整理するという、時を経たところから始まり、本作品のナレーションを務めていた宮崎あおいさんが藤平紀子という、遺品整理のお手伝いに来る役で登場、という流れ。

そしてまた
“時を戻そう”  (チッチッチッチッ)

万太郎と寿恵子の時代に戻ります。

最終回の金曜日(29日)は涙、涙・・・。
竹雄と綾が作った新しい酒を家族で揃って飲みながら談笑する幸せなシーンも本当によかった。
らんまんの主題歌が流れるタイミングもいいし、なんといっても万太郎と寿恵子の二人の絆を感じさせる、穏やかで愛のこもったシーン。神木さんと浜辺美波さんのお二人の本当の気持ちと重なっていたのかな、と思えるほど感情が伝わってきました。

寿恵子が万太郎に優しく語りかけます。
「きれい、万ちゃん。こんなにたくさんの草花。万ちゃん、らんまんですね」と。万太郎も「らんまんじゃ」と寿恵子に応え、抱きしめる。「愛しちゅう」の万太郎の言葉も、キザでもなく大げさでもなく心から自然と出たものとしか思えないほど、飾り気もなくシンプルで素敵でした。

第一部 の終わりとも言える回では、万太郎の祖母・タキ (松坂慶子さん) が 「らんまんじゃ」と満足げにつぶやき、その2度のタイトル回収の素晴らしさにまた感動・・・。
寿恵子の名前も「スエコザサ」という植物名として、万太郎の名前とともに図鑑に刻まれ後世へと引き継がれていく。素敵過ぎませんかね? !

寿恵子が病気でこの世を去ることで (具体的なシーン・ナレーションはない) 悲しみの感情がピークになりつつも、決して感傷的な気持ちで終わらせず、寿恵子の言葉を受けて万太郎はまた植物を捜し求めて歩く。
まさに黄金の道を歩んで行っているかのよう。笑顔の万太郎が本当に素敵でした。

キャストの方々、制作スタッフの方々、とても良いドラマをありがとうございました✨

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