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玉置玲央さんと吉田羊さんが光っていた『光る君へ』

大河ドラマ『光る君へ』第18回「岐路」

この回で印象的だったのは玉置玲央さんと吉田羊さん。お二人の真に迫る演技は圧巻でした。

藤原道長(柄本佑さん)の腕の中で泣きと笑いの混じった表情で壮絶な最期を見せた藤原道兼(玉置玲央さん)。

輝かしい功績といえるものはほとんどなく、崇拝する父・兼家(段田安則さん)の命令のままに闇の仕事を担う羽目になる。最初は父に騙され不本意ながらも、父に認めてもらいたい一心で汚れ仕事を受け取っていた。それが父の逝去により失意で堕落したものの、道長に叱咤激励されてからは、疫病が流行る民たちのもとへの調査にも自ら「汚れ仕事は俺の役目だ」と言って進んで出向くほど自分の果たすべき役目を納得して引き受ける道兼。

7日間とはいえ、関白の座に就いた時には凛々しい表情を見せるその心境の変化の表現は見事でした。

一方、一条天皇(塩野瑛久さん) の母で皇太后・詮子(吉田羊さん)は道長の姉でもあり、道長が幼い頃から道長には本音を漏らしていて、心の拠り所のような存在だったのでしょう。

亡き関白・道兼の後継者を巡って、一条天皇と詮子が対峙する場面。
一条天皇は寵愛する定子(高畑充希さん)の兄・伊周(三浦翔平さん)を関白にと考え、弟である道長を推したい詮子は必死に一条天皇に「次の関白は道長に」と懇願。その時の激しい感情をあらわにしながら涙を流し訴えるシーンには圧倒されました。

自分の思うようにはならない、嫌なことも受け入れなければ前に進めない、と大人になるにつれ悟っていき諦めたりするものだけど、人の親になってからも「どうしても嫌なものは嫌」「こうしてほしい」と取り乱してしまうほどすがりつくのはよほどの強い思いがあるのでしょう、と詮子に思いを馳せる私。

安易な言葉に置き換えると駄々をこねる状態ともいえて、自分に重ねると思い起こせば子どもの頃まで遡る。どうしても嫌なこと、というのはたくさんあったな。小学生の時に仲のいい子とクラスが別になってどうしても嫌だった、逆に苦手な子と同じクラスになって嫌だけどその決定は1人の子どもの力では覆せるわけもなく⋯

大人になっても仕事とか異動とか、決定事項を受け入れ難いけど我慢して受け入れざるを得ない状況は誰にでもあって。凡人は「仕方ない」と割り切って現実を受け入れるところだけど、詮子は一条天皇の親であり、まつりごとによって世の中を先導していくお家柄にある立場。
先のことを考えるほど並々ならぬ強い意思があったのでしょうな。自分本位の願望であったとしても。

とにかく、玉置玲央さん、吉田羊さんの素晴らしい演技、よかったです。今週の光る君へ賞を差し上げます。

Xでも玉置さんの投稿にはすごい数(4.5万)のいいねがついていました。

また、道長との最後の別れのシーン、リハーサルを経て台本から演技が変わったとのことでした。
「美術展ナビ」にあった記事(玉置玲央さんインタビュー)も載せておきます。


本ドラマの主人公は紫式部(吉高由里子さん)ですが、彼女自身の登場シーンは今のところ控えめ、といった感じですね。

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