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本当に認められたかった相手は自分だった話

この仕事を始めてからずっと悩まされ続けてきた事。それは身内に仕事を理解して貰えないツラさ。
少しずつ、外の世界に踏み出して、色んな人に会い、話し、やっぱり前に進みたいと思った時、「辛い」で終わらせてはいけないと、本気で向き合う決心がついた。その過程を忘れないように残そうと思う。

結婚した先の農家は、生産者だらけで販売部門は空っぽ。売上上げるために始めた販売の仕事。でも、歓迎はされなかった。

 
私は、実家が農家のぱぱさん(旦那さん)と結婚し、現在、ぱぱさんは5代目。私は全然関係ない仕事をしてたので、ハッキリ言って手伝う気はなかった。
 ただ、子供が小さく働けない時期に目につく部分だけと手を出したら見事に「生産オンリー体制」だと気付いた。
 農家では割と当たり前なのかもしれないが、普通に考えて生産ばかりで売る人間が居ないんじゃ売上が伸びる訳がない。そんな話をぱぱさんにしても、「手が回らない」の一点張り。

 お客さんからのメールは無視。新規開拓なんてもっての他。
その一方で手間暇かけて妥協せず良いモノづくりにこだわり早朝から夜中まで畑で作業する。やってる事は素敵だけど噛み合ってない。
 
そんな状況を横目に、「売上が伸びて人を増やせればぱぱさんも少し時間が出来るのでは?」と軽い気持ちで始めたのが今の「販売、広報、運営」

 はじめは、ぱぱさんも歓迎してくれた。
ただ、義両親は大反対。ただでさえ人手が足りないんだからそんな暇あるならこっち手伝え、の一方通行。
気持ちは分かる。
 義両親もかなりの労働を強いられているから。しかし、今は生産を増員するより販売部門強化が先決なのは明らか。そして私は義両親と結婚した訳じゃないので申し訳ないがそこはスルー。(ちなみに未だに言われているし、配達に行く荷造りしてたら泥棒!と怒られた事もある(笑))

理解して貰おうとすればするほど消耗する気力と精神。

 ただ、1番の問題は身近にあった。
最初歓迎してくれたぱぱさんだったが、理解してくれてる訳ではなかったのだ。これが結局私を1番苦しめた。
 マルシェを始めれば「直売所でも売れるモノだから売上が伸びた訳じゃない」と言われ、
 ネット通販が売れても「そんな成果と言える程(の額)じゃない」
 
紹介して頂いたシェフやテレビが来てくれても「時間取られる」と皆が帰った後に怒られ、SNSは「遊び」扱い
(これだけ聞くとスゴイ嫌な奴だけど、ぱぱさんなりに年々考え方は変わっては来ていました)

 その度に、自分達の目指す自立した経営、売上向上のためには、必要な事であり、一発逆転なんて事はない、と説明するが朝から晩まで労働してる人の耳には届かない。
それどころか、年々「生産が1番大変、生産ありき」と言うことが増えていき、衝突する事が増えていった。
 衝突する度にお互い怒りをぶつけ、消耗し、私は「どうせこの人に言っても分かるまい」と諦めるようになっていた。

 私は、割と自分を客観的に見るタイプ。能力も特になければ経験もない。何をしても素人だ。
だから、仕事を邪魔されるのがイヤなだけで、私自身の仕事の成果を軽視されても仕方がないと思っていた。
 だって、「プロじゃないから」「大きな声で言える成果は確かに出してない…」と思ってた。経費を使う時も最低限に、申し訳ない気持ちさえあった。

 何度も心挫けそうになりながら、その根本に気付かず、解決策も分からず、外の世界に出た。
 それは、「こんな能力がない自分にこれ以上伸ばすことは出来ないから助けて欲しい」という、逃げ出しに近い感情。
周りの誰にも仕事の意義すら認められず、認めさせるために結果を出さなければというプレッシャー。限界だった。

外の世界に出て、初めて認めてくれる人に出会い、やっと自分の仕事を、自分自身が認めてあげられた。

 外の世界に出て、好奇心旺盛な私は色んな事を学び、もっと学びたいし、仕事に繋げたいと考えるようになった。
 そして、私はそのための最低限の経費を出したい、そう思うようになった。
しかし、ぱぱさんの反応は「まだ経費をかける段階じゃない」
またか。またダメか。そう思った。
 そんな時、Twitterのフォロワーさんが、DMをくれた。
忙しいなか、私の作ったホームページやSNS、事業の内容を見て励ましと、どうしたら分かって貰えるかを一緒に考えてくれた。
 1番嬉しかったのは「もう十分成果は出てますよ」の一言。涙が出て初めて気付いた。「あー、ちゃんと成果を認めて欲しかったんだ」と。

足りない事なんて山ほどある。でも、自分なりにやってきたじゃん。

 講師として来てた百貨店の取締役さんに突撃アポイント取って(!)お悩み相談させて貰ったじゃん。自分なりに精一杯やってるから今も取引させて頂いてるよ。
 テレビの取材も毎回、出来る限りの対応しどうしたら撮影しやすいか考えてる。
 通販だって全体の売上に占める割合低くても伸びてるよ。
 ホームページも素人感出てるけど見てくれて問い合せもあるしさ。

もっと出来る人はいるよもちろん。でも、自分なりに頑張ってきたことは、自分のスキルじゃん。それを家族だからと平気で奪い、軽視するのは間違ってるよ。と思えたら自分でも驚くほど気持ちがラクになった。

 そして、そのままぱぱさんに伝えた。不思議と怒りはなかった。そしたらぱぱさん、急に反省しだした。きっと、ぱぱさんも少しずつ変わっていたんだと思う。

 毎日の過酷な労働と畑から出れないジレンマ。
隣にいた私はどんどん外に走って行くから置いてかれてく寂しさ。
自分の苦労も分かって欲しい、自分が朝から晩まで頑張ってるからこの野菜たちが出来る事忘れないで欲しい。
そんなぱぱさんの思いも当たり前。

 
私が、苦労しても色んな人に知って欲しいと思うのは、ぱぱさんが本当にひたむきに農業に向き合っているから。
そして、自分だったら、こういう人から野菜買いたいって思うから。
うちの主役は野菜とぱぱさんなのはブレだ事がない。
 だからこそ、最高のパートナーになれるはず。

 自分を本当の意味で客観的に認められた私は、1つ強くなって前に進めそうだ。

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