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ロングトレイルの歩き方ー装備編(携帯回線と電子機器とカメラなど)

今回は装備編の電子機器、カメラなどを解説していきます。

ロングトレイルの歩き方についてまとめ

ロングトレイルの歩き方ー準備編(パーミット、ビザ、保険、仕事を辞める前にすることなど)
ロングトレイルの歩き方ー装備編(ギア、ウエア、アクセサリーなど)
ロングトレイルの歩き方ー装備編(携帯回線と電子機器とカメラなど)
ロングトレイルの歩き方ー歩く編(怪我、メンタル、買い物、ハイカーフード)

四部構成にしています。

前回の記事はこちら

意外とあまり語られない電子機器類ですが必須装備です。それに電子地図も頻繁に使います。携帯回線なども含めて説明します。


電子機器

昔は必要も存在もなかった電子機器。現在ではスマートフォンの電子地図だけ登山をする人もいるほどで紙地図を持ち歩く人から苦言を言われてしまいそうですね。

ロングトレイルでは通訳も地図も決済も全てやってくれるのでスマートフォンがかなり重要な装備となります。
常時使う必須装備なので電池が切れてしまうとかなり不便です。安全にも関わるので予備のスマホがあってもいいレベルです。

スマホと予備スマホ

デジカメを持ち歩かないならスマートフォンが唯一のカメラですね。できるだけハイスペックなスマートフォンを購入しましょう。

重視すべき点
・信頼できるブランドのメーカーであること
・カメラの性能がいいこと(広角、標準、望遠があると便利)
・防水であること
・SIMフリー機種であること

あらゆるアプリを動かすので最新のスマホが絶対に楽ですし綺麗に写真を残せます。3-4年機種を変更していないならロングトレイルに向けて買っちゃいましょう。

2022年の日本人ハイカーは2-3人スマートフォンが壊れていました。
水没したり、GPSが動作しなくなったり、症状はそれぞれです。

私はiPhone13Pro 256GBのみで歩きました。しかし、予備のモバイルバッテリーを持ち歩くぐらいなら予備のスマホの方が便利だと感じました。

ネットで買った靴が変なところに届いたので、居合わせたハイカーに事情を話して電話してもらってるところ。電話越しだと英語が出てこないのでこの時は助かった…

1台目を充電しながらYouTubeを流し、2台目で作業をしたり計画を立てたり、写真を取り込んでいる最中にもう1台で情報を漁ったりできます。
壊れた時の予備としても使えて便利です。

スマートフォンの違いがよくわからない人はとりあえずiPhoneの最新機種を買っておけば大丈夫です。
iPhoneは最新機種ならほぼ全て最新のチップとカメラを搭載していますし、操作もしやすく、トラブルにも対処しやすいと思います。

日本ではiPhoneのシェアが高いですが、世界的にはAndroidの方がシェアが高いです。Androidでも問題ないです。

私はメイン機種をiPhoneにしていますが、iPhoneはセキュリティが厳しくできない機能があったりするのでサブ機種はAndroid Google Pixel6aにしています

海外での通信回線 SIMカード

かなり大切な項目なので出発前に日本での契約から見直すべきだと思います。

国内で契約できるほとんどの回線は海外でも使用できます。しかし回線によっては海外通信が有料だったり別の手続きが必要だったり面倒です。設定を間違えると膨大な費用がかかる場合があります。
docomo,au,SoftBankや格安SIMなど色々と調べましたが、結果としては長期間海外へ行くのなら楽天モバイルが1番お得です。

これまではahamoがよかったのですが数年前に改悪されてしまい、最大2週間までしか使えず一度帰国する必要があります。
楽天モバイルであれば帰国不要で2GBさらに超過後は制限付き通信ができます。SMSも受信できてパスワードなど認証番号なども受信できます。
海外でiPhoneを初期化する時もSMSが必要な場合があります。

ハイカーは楽天モバイル一択だと思います。
それに帰国後別の回線へ変更する際も違約金もめんどくさい費用もないため簡単に変更可能です。

楽天モバイルで契約する場合はeSIMにして契約をしましょう。(もしすでに物理SIMを契約済みでも簡単にeSIMに変更も可能です)
日本回線をeSIMにして、アメリカSIMをプリペイドの物理SIMにして運用しましょう。こうすることで予備スマホにSIMを入れ替えて使うことができます。

さらに毎月2GBでは足りないのでアメリカでは容量無制限のプリペイドSIMがおすすめです。

ロングトレイルでは基本的にWi-Fiは掴めないと考えてください。Wi-Fiがあったとしても結局劇遅回線だったりしますし、Wi-Fiの有無で行動を制限されるのがストレスです。
個人的には必須インフラだと思うので通信容量の無制限プリペイドSIMがお勧めです。

日本からも買えますし、アメリカで契約もできます。
しかし現地で契約するのはちょっとめんどくさい。場合によっては事務手数料も取られます。

上記プリペイドSIMをAmazonで買えば問題ないと思います。
上記は通話も通信も全て使い放題です。トレイルエンジェルへ電話することもあるので通話があった方が便利です。
90日までですが延長も可能なようです。180日使う前提で一度会社へ延長方法などを問い合わせた方がいいかもしれません。

日本からこのプリペイドSIMを持っていけば空港から通信できるようになって安心だと思います。

アメリカの場合はT-Mobile、AT&T、Verizonと大手キャリアがありますが、AT&T、Verizonがおすすめです。
私はVerizonの現地店舗で契約をしました。1ヶ月75ドルもしました。


必須インストールアプリ

・Farout-地図アプリ
・Google Map-地図とナビ
・Google翻訳-翻訳
・Uber-困った時の個人のタクシー
・Amazon-必要な装備を買うところ
・REI-必要な装備を買うところ

Faroutはロングトレイルの地図を多く販売しているオフラインマップアプリです。事前にダウンロードをして使用します。
PCTではほぼ全てのハイカーがこのアプリを使用していますし、水の情報もPCTAよりもリアルタイムです。必須です。
水の支援をしてくれるトレイルエンジェルも水の状況をこれで調べており、水をトレイルへ届ける目安にしていました。

Google Mapは公共交通機関を検索するのにかなり便利です。気になった場所も手軽に登録もできますし、行き先に困ったらGoogle mapで検索します。

Google翻訳も必須。カメラ入力で翻訳もでき、スピーチまでしてくれる。発音が上手くできないことも沢山あります。英語が伝わらない時はこのGoogle翻訳で翻訳して喋らせていました。オフラインでも翻訳できる神アプリです。

Uberは個人タクシーを呼べますし、ハイカーと遊びに行ったり、トレイルヘッドへのアクセスなどでも使えます。
ただ田舎だとドライバーがいなくて使えないので要注意です。
国際免許でスクーターに乗れると思っていましたが、乗れませんでした。

Amazonは困った時の装備を購入するのに便利ですし、返品も簡単です。僕はAmazonでいつもクリフバーをまとめ買いしていました。スーパーより安く手に入ります。

REIはアメリカ最大手のアウトドアショップです。日本でいうモンベル的存在です。REIはオリジナルブランドの商品も作っており、クオリティも高くておすすめです。50ドル以上は送料無料となります。
ベアキャニスターはREIで買ってケネディメドウへ送りました。

頑なに紙地図を使うクリスおじさん
いつもクリフバー
タンパク質もカロリーもたくさん

充電器関係

スマートフォンやモバイルバッテリーも必須です。そこにケーブル、モバイルUSB充電器も加わるのですが、年々進化が著しく軽量化のしやすい項目です。

モバイルバッテリー、USB充電器、ケーブルに関してはPD充電ができる機種を選んでください。PD充電とは高速充電をする技術で、レストランなどで充電する場面が多いのですが旅ではモバイルバッテリーの容量が大きいため時間がかかります、PD充電だと数時間で充電が終わるので絶対に楽です。

ちなみにソーラーパネルやBioliteなどの発電機は持ち歩きませんでした、重さ的にもモバイルバッテリーの方が軽いです。
それにフィルム状のソーラーは軽量ですが発電効率も悪く電圧も安定しないので重さに見合うような充電は無理です。

USB充電器

Ankerが頑丈でした。大阪の某ブランドは中盤になって壊れてしまい数週間苦労しました。ハイカーボックスでUSB充電器を拾うまでずっと別のハイカーから借りて充電していました。
上記USB充電器は容量もポートも余裕があるので一気にごっそり充電ができるので楽です。私も現在愛用しています。

USBケーブル

ケーブルもAnkerです。
USB-C to USB-Cは今の最新機種はではほぼ対応しているのでかなり便利。
iPhoneのケーブルもUSB-Cの方が充電が早いはず。レストランで使うこともあるので充電は早い方がいいです。iPhoneだけlighteningなのが不便ですが…
でもlightening端子って本体側の耐久性が異常に強いのでなんだかんだで好きです。でもUSB-Cにして欲しい。


モバイルバッテリー

25600mAh

10000mAh

モバイルバッテリーもやっぱりAnker
電子機器は信頼できるブランドが絶対にいいです。AnkerならPSEマークも付いているので日本でも使えます。
私は20000mAhと10000mAhの容量のバッテリーを持ち歩いていましたが。ハードに使わない限り20000mAhで足りると思います

軒下で充電中(右下)

イヤホン

歩いていると音楽を聴きたくなったり、ラジオを聴きたくなったりします。せっかく自然にいるのだからいらないだろうとも思っていましたが、一度聴きだすと止まりません。
僕は自然の音も聞きたいのでShokz OpenRun Proという骨伝導イヤホンを使用していました。

でも充電式なのがめんどくさく、毎日充電する必要があり、専用ケーブルが必要というデメリットも。
しかし、丸一日無充電で使えるし、装着した時の使い心地がよく一度使い出したら戻れないと思います。
自然の音や足音を聞きながらも、ラジオを聴くことができる不思議なイヤホンです。

環境音の強い場所では音楽は聞こえませんが、アウトドアとの相性はいいと思いました。

充電がめんどくさかったらオープンイヤーのイヤホンがいいです。充電をし忘れた日はApple純正のイヤホンをハイカーボックスで拾って使っていました。このイヤホンが内蔵された時は音質の良さにビックリしたのに今聞くとそうでもない〜って思ってしまった。今では付属もしないし…rip

ただ飛行機や電車では使い物にならない静音性です。

ハイカーネームはキュリオスマペット

キュリオスマペットと音楽の話をした気がする。なんだっけ。でも彼女とは最後までなんだかんだで同じペースで歩きました。アラスカで薬剤師をしてるそうです。

僕はいつもラジオとオーディブルでハリーポッターと池井戸潤を聴いてました。オーディブルはかなりおすすめなので体験入会してもいいと思う。
あとSpotifyもラジオが沢山あっておすすめ。使いやすいし。

そういえば私はNetflixを毎晩見て英語の勉強をしていました。
ストレンジャーシングスおすすめ。


GPS端末(衛星通信)

家族への通信のために使用しているハイカーが多かったです。私も毎日家族へ連絡をしていました。
さらに他のハイカーへも衛星メールを送ることができるため、火事の情報などを共有できます。高額な商品ですし月額の固定費も嵩みますが安全のために持ち歩いてもいいと思います。

ほぼ全てのハイカーがGarmin inReach Mini 2を使用していました。USB-Cで充電もできるし。中には大型のGarminのGPSを使っていたりもしました。

Garmin inReach Mini 2はバッテリー持ちが大幅に改善されたため私はこれでGPSログも記録していました。

SOS信号も発信でき、Garminの保険(GEOSサービス)も加入可能です。
今年のハイカーは山火事に囲まれ、カナダ国境へ行くしか道がなくなり、このSOS信号で救助隊とコミュニケーションをとり、救助としてカナダ入国をするというイレギュラーなことも起きたみたいです。いかなる場合も国境越えは大罪となりますがこの時の救助隊との履歴で問題にならなかったそうです。
iPhone14からは衛星通信でSOS信号が送れるそうですが、日本で購入した機種が対応地域で使えるのかは分かりません。


腕時計

していない人も多いです。私は心拍数や日没時間などを確認したいのでinstinct 2 Dual Powerにしました。約65日間+ソーラーで無制限という超長時間ロングライフスマートウォッチです。非常におすすめです。

ただ、充電端子が露出しているので、私は金属アレルギーがあるため帰国してすぐにApple Watch ultraに買い換えました。(チタンモデルこれだけになっちゃった。)

GarminからApple Watchにすると使いやすさに感動するんだけど、バッテリー持ちが悪い。あとultraはゴツすぎ。ダイバーバンドをもうちょっと小さくして欲しい。

歩き始めて一日目の日焼け
標高3200m付近で血中酸素濃度を測定したとき



Airtag(忘れ物防止タグ)

アメリカの空港はシステム上ロストバゲージしやすいそうです。なので荷物には全てAirtagを仕込んでいました。
こんなに高性能な忘れ物タグはairtagだけだと思います。

超おすすめです。
通常バッテリー類は預け荷物には入れられませんが、コイン電池は認可している航空会社がほとんどだそうです。トレイルエンジェルの家に荷物を置きっぱなしにすることもあるので防犯的にもいいかと思います。
バックパック、財布、パスポート、サコッシュに入れていました。

ヘッドランプ

前回記事にも書きましたが、USB-Cタイプの充電式ヘッドランプにするとケーブルが減ってかなり楽になります。

NitecoreからUSB-Cのヘッドランプが発売されたみたいです。気になる。
やっぱり赤色LEDは欲しいですよね。眩しくないし。
あと峠で野宿する際は絶対に赤色LEDを使えよ!と友達のstixに叱られたこともありました。白色LEDは目につきやすく、峠というアクセスの良い場所では撃たれる可能性があるみたいです。実際に野宿した時は銃声が夜な夜な聞こえて日本は平和だなと思いました。

https://flashlight.nitecore.com/product/nu25


カメラ用品

写真はiPhoneだけでいい人がほとんどだと思いますが、カメラ好きな人も多いはず。それに今年はカメラを持ち歩くハイカーもいるので。
私が持って行ったものを紹介します。

カメラ本体

カメラはNikonが最強だと思いました。
砂漠での砂嵐、火山灰、雨、でドロドロや砂だらけになっても大丈夫でした。汚れたらシャワーで洗っていました。
三脚ごと倒したり、落としたりもしましたが、凹んだぐらいで普通に稼働しています。

PCTではケースなしで、ずっと裸の状態で持ち歩いていました。
塗装も剥げたり、砂がいろんなところに入り込んでいるのでオーバーホールした方がいいかもしれないのですが使えてるので使っちゃってます。

オリンパスやペンタックスも防塵防滴に強いです。

スマホでも撮りたいし、カメラで綺麗に撮りたい、でもレンズ交換はめんどくさいし、楽したい。
という方は1インチセンサー以上のコンパクトカメラがお勧め。


GR3を使ってるハイカー
火山灰でジャリジャリになったZ6II


レンズ

レンズ選びが1番悩ましいかもしれないですね。私はあ単焦点レンズとズームレンズを持って行きました。
軽量重視でエントリーモデルの激安レンズを持って行きました。

この上記二つのレンズは安いのに超高性能でした。Nikonの入門機種はすごい。でもレンズ交換がめんどくさかったり…

望遠側がもう少し欲しかったりしたので標準ズーム一本で良かったかも。でも重たい。レンズは悩ましい。

PCTのためにこのレンズを売っちゃったけど売らなきゃ良かった…
MIYAGEN Trail Engineeringの売り上げが出てきたら買います。今は無理…

今年はクワンという韓国ハイカーがこのレンズを持ち歩いていました。パトロンが買ってくれて〜って言ってた。確かにクワンはモテそうだった。

最近はスマホでも星が撮れちゃうけどやっぱりカメラの解像度がいい
クワンに撮ってもらった



カメラマウント

ずっとピークデザインのキャプチャーを使用して来ましたがPCTを歩いている最中にネジを紛失。それ以来キャプチャーをロープでぶら下げて使用してきましたが、ロープの方が使用感が良かったです。
でも一般的にはどうなんだろう…

いまだに答えがないです。

もはやこのようなマウントは必要無い気もする。

こいうカメラ専用ポーチの方がいいのかも?

田安くんはCamera Pod
キャプチャーをぶら下げた
ぶらぶらしにくいし結構使いやすい


ストラップ

ロープ系のストラップも使いやすいのですが重たいし、臭くなったらなかなか臭いが取れない。ピークデザインのストラップも重たい…なので着脱できるシステムとストラップを自作しました。
でもカメラの責任とか色々と考えてしまってリリースは見送っています。


メモリーカード

512GBのMicroSDカードを3枚持って行きました。でも2枚で十分でした。
撮影データはadobeのクラウドストレージへ全てバックアップしました。

無難にSamsungを使っています。今の所ノートラブル。SanDiskは何度か消えたことがあるのでもう使っていません。

予備バッテリー

Nikon Zシリーズバッテリーライフがめちゃくちゃいいのでなくてもいいですが、タイムラプスなどをすると一気にバッテリーが消えるのでタイムラプス用に持って行ってもいいかもしれません。

三脚

星を撮ったり、タイムラプスを撮ったり、ハイカーみんなで撮ったり、何かと使いました。

私はLeofotoを愛用しています。
軽量でラインナップも多く、剛性も十分です。しっかりとカメラを抱えてくれる感じが信頼できます。
ただ軽量な三脚をパーツを集めて作る必要がありました。

この三つを組み合わせると
・375g
・耐荷重5kg
・全高56cm
の三脚が出来上がります。
耐荷重が5kgというがっしり感あって使いやすかったです。

マザーパスにて
上の写真を撮っているときのカメラ
安定感抜群


まとめ

カメラに関してはニーズが少なそうですが、2023年もカメラを持ち歩くハイカーがいるそうです。参考になったら嬉しいです。

スマートフォンだけはいいやつを用意して、回線があったら大丈夫です。ロングトレイルをやめたくなったら帰り道を調べられるし、ホテルもuberも呼べます。
何をするにもスマートフォンに頼ることになるので信頼できるスマートフォンを買いましょう。

PCTの記事



Masaki Miyazaki
自転車で日本一周、アメリカ Pacific Crest Trail 4200km をスルーハイク、宮源酒店、MIYAGEN Trail Engineering、元アウトドアメーカーのエンジニア、デザイナー、PREDUCTSエンジニア
Instagram:https://www.instagram.com/miyachi0730/
Twitter:https://twitter.com/miyachi0730
MIYAGEN Trail Engineering
WEB:https://www.miyagen.com/
Instagram:https://www.instagram.com/miyagen_corp/


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