捨てられないんだ『青ブラ文学部』

普通オルゴールは小物入れなどの中に仕込まれてることが多いと思う
だけどウチにある小さなオルゴールはむき出しのままだ

それは彼女がこの部屋を去った時の忘れ物であり、二人の思い出の品でもある
そのオルゴールは櫛が１本欠けてしまい、鳴らしても間の抜けた音楽にしかならない
なのにずっと棚の一角を占めたまま存在を消したようにそこにある

捨てればいいのにと知人は言う　自分でもそれが正解だと思う
でも出来ないんだ　それが彼女との思い出の品だからじゃない

僕はモノが捨てられないんだ

見てくれ！このゴミ屋敷同然のいらないモノだらけの部屋

どうやったらモノが捨てられるんだ？
そうだ新しい彼女に全部捨ててもらおう

新しい彼女はすぐにできるのにこの部屋を見た途端
僕は捨てられるんだ

捨てるのはできないけど、捨てられるのは得意なんだぜ
なんて自虐ネタはいいとして
まずは彼女にこの惨状を見てもらって対策を考えようか

どうしたのこの部屋？
これを汚部屋っていうのかしら

それはキツイな
でも何とかならないかって相談なんだ

私にすべて任せてくれる？

最初からそのつもりだよ

じゃあ始めるわよ
まずはあなたね

俺？

そう、最初に捨てるのはあなたよ

そんなぁ

今週も参加させていただきます
山根さま　よろしくお願いいたします

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