見出し画像

3つの好きな映画|東南アジアのクレイジージャーニー[ベトナム、フィリピン、シンガポール]

心惹かれる映画、量産に必要な年月、20年説

映画レビューサイトのFilmarksで、国別の登録本数が一覧できる。一番多いのは、もちろんアメリカで約3.7万本。次に、日本の3.3万本。そして、フランス、イギリス、ドイツと続く。

制作本数の上位8カ国の顔ぶれをみると、偶然にも20年前のGDPランキングとまったく同じ。経済が発展し、20年の熟成を経て、良質な映画が量産される、という仮説が成り立つ。

20年前のGDPと現在の映画登録本数

なので、今現在のGDPランキングで上位に食い込むインドロシアは、20年後のFilmarksで登録本数上位に食い込むと予言できる、、はず。

ということで、先週に引き続き「東南アジア」で好きな映画TOP3。

前回が「」なら、今回は「」。独裁、スラム、格差、移民、孤児、、、未知なる東南アジアを垣間見る、クレイジージャーニーでもどうでしょう、という話。

東南アジアの経済と映画

世界ランキング同様に、東南アジア編をつくってみたけど、やっぱり上位国の顔ぶれはまったく同じ。インドネシア、タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシアの大国は映画本数も多く、ミャンマー、カンボジア、ブルネイ、ラオスは同じASEANでも、かなり小国。

20年前のGDPと現在の映画登録本数

インドネシアシンガポールは、今後の経済成長も著しく、益々いい映画に出会えるチャンスが増えていく、、はず。

疾走感溢れる映像で、ベトナムの闇を照らし出す
孤児の少女と盲目のギター弾きのロードムービー
シンガポールで働く、フィリピン人メイドの物語

フィリピン マニラのストリートチルドレン

走れロム|ベトナムの闇くじ

疾走感溢れる映像で、ベトナムの闇を照らし出す

賑わうサイゴンの裏町。違法な闇クジ「デー」の仲介で日銭を稼ぐ14歳の孤児。発展するベトナムで、弱い者がさらに弱い者から搾取する、格差社会をタブーを描く。

共産党の一党独裁下にあるベトナムには、言論や表現の自由はない。しかし、海外の映画祭であまりにも評価が高く、ベトナム当局もさすがに上演中止にはできず、罰金と一部シーンのカットで上映を認めた意欲作。

サイゴンのスラム

むせかえるバイタリティと、スタイリッシュな映像

闇くじは違法であるにも関わらず、「庶民なら、家族の誰かは必ずやっている」というほど、日常に溶け込んでいる。警察への賄賂と汚職が蔓延しているため、まったく取り締まることもない。

日本に滞在する外国人で、中国の次に多いベトナム人。日本でも身近な国の、観光では気づかない社会のタブーを垣間見る。


ブランカとギター弾き|フィリピンの孤児

日本人監督がスラムの人とつくりあげた感動作

舞台はエネルギーに溢れたマニラのスラム街。ストリートチルドレンの少女は、ある日テレビで、女優が自分と同じ境遇の子供を養子に迎えたというニュースを見て、“お母さんをお金で買う”というアイディアを思いつく。

大人は子どもを買うのに
なんで子どもは大人を買えないの?

マニラのスラム

少女の素朴でありながら、魂を揺さぶる言葉。出演者の殆どは路上でキャスティングされているため、スラムでの立ち振る舞いがとても自然。

スペインをルーツにした素朴で温かいフィリピン民謡とともに、孤児の少女ブランカと、盲目のギター弾きの“幸せを探すロードムービー


イロイロ ぬくもりの記憶|シンガポールのメイド

人生には、あなたを救ってくれる出会いがある。

1997年のシンガポール。共働きの両親と一人っ子の中流家庭。彼らのもとで働き始めたフィリピン人メイドの交流を綴る。

突然の部外者に、なかなか心を開かない息子だったが、母国に残した我が子へ想いを抑えつつ必死で働くメイドに、自分の抱える孤独と同じものを感じて心を開いていく。。。

そんな折、父親がアジア通貨危機による不況で会社をリストラされてしまう。また、メイドに心開く息子の様子に安心する母親の心にも、嫉妬にも似た感情が芽生えはじめる…

少年の成長、移民の問題、階層の問題、、、文化や国境を超えた普遍的な価値観を散りばめ、世界中の映画祭で絶賛された良作。


関連記事

映画|インド

本|未来は良くなる

旅|湿った空気


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?