中田満帆

1984/07/03 兵庫県西脇市生まれ、神戸市出身在住。 詩人・童話作家=森忠明に…

中田満帆

1984/07/03 兵庫県西脇市生まれ、神戸市出身在住。 詩人・童話作家=森忠明に師事。 文藝、写真、絵、音。  HP https://mitzho84.wixsite.com/ampp Blog https://mitzho84.hatenablog.com/

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記事一覧

おれの徒然〈17〉「ギターの悲劇」篇

 4時10分に起きる。朝餉の支度。うたた寝。4時43分まで寝てしまう。朝餉。蕎麦は不味かった。眠れない。時間だけがたっぷりある。ようやく6時まえ。あと2時間半だ。ひと眠…

中田満帆
6日前
3

Cabbage-Head’s Delusions

★ きのう病院でアテロームの処置をしてもらった 陰嚢にできたそれはデカくて外科で対処し切れずに皮膚科に代わってもらったんだ 局部麻酔をかけて5mm切って、なかの膿をだ…

中田満帆
8日前
2

中篇小説集『犬を裁け』のための著者解説

 去年だした、著作『犬を裁け』を内容を変えて再出版しました。エッセイと批評を排除し、新たに2篇の未収録作品を追加しました。以下、収録作。  ・犬を裁け(2018) …

中田満帆
2週間前
6

おれの徒然〈16〉「滝への長い小径」篇

   *  きのう、大滝詠一のラジオ動画を流しながら、『大滝詠一レコーディング・ダイアリーvol.1』を読んでいた。ふいにおもいたって配信番組のための追加録音をした…

中田満帆
2週間前
3

おれの徒然〈15〉「フレットレスベース、到着」篇

 きょうの13時、おれは午睡していた。呼び鈴が鳴って起きると、こいつが届いていたわけだ。人生で2度めのベース購入。まえは10年くらいまえに買って、すぐに売ってしまっ…

中田満帆
3週間前
2

猫──あるいはイギリスの夏

 レイモンド・チャンドラーの猫はタケというなまえだったのだが、  来訪するアメリカ人たちの発音によってタキとゆがめられ、  図らずも、bambooからwater fallへと変身…

中田満帆
1か月前
7

a son of subhuman

まえの土曜のツイキャス配信から、 Youtubeの投稿動画のアイデアに繋がった、 おれと歌誌「帆」広報の三浦果実氏とトーク番組を始めるということだ いまさらYoutuberと…

中田満帆
1か月前
4

呼び声 04/26

   *    夏妊む幹のやさしさなどを識るかたわれもない存在のなか  いつわりのわが家わが妻遠ざかる水のなかにて自己見失なば  ひたさわぐ葉桜通り指をもて16ビ…

中田満帆
1か月前
8

拳闘士の休息《無修正版》

 試合開始はいつも午前3時だった  父にアメリカ産の安ウォトカを奪われたそのとき  無職のおれはやつを罵りながら  追いまわし  眼鏡をしたつらの左側をぶん撲った …

中田満帆
1か月前
1

voice of a familiyless man

    *父という帽子を探す一輪の花などあらぬ野にたちながら  きのう、歌誌『帆』の広報担当の三浦果実氏がわたしの父と話した。録音を聴いた。当たり障りのある話じ…

中田満帆
1か月前
1

かの女たちにはわからない

   *  秋声のうちにおのれを閉じ込めてつぎのよるべの夜を占う  道を失う ひとの姿をした夜を突き飛ばしてまた朝が来る  なぜだろう どうしてだろう わからな…

中田満帆
1か月前
1

おれの徒然〈12〉「人生浮上作戦」篇

   *  以前にPDFで電子書籍を入稿したのだけれど、「読めない」というクレームがついて出版停止にしていた。いろいろと験したものの、PDFをEPUBにはできなかった。と…

中田満帆
1か月前
1

things for nothing

★ 幻冬舎ルネッサンスの人間と喋った 送った本について話す予定だった おれは長篇小説を以前、 講評してもらい、 その完成版を送ったんだ ついでに詩集と掌篇集、歌…

中田満帆
1か月前
7

窓のある風景

 叫びのない窓が額装されるまでに  まずは県民会館で  エッチングとして公表された  田舎者たちにかこまれ、  曝された色彩が  夜ごとかれらのなかで這入って  やが…

中田満帆
1か月前
3

Alone Again Or

 折れた、  夏草の茎の  尖端から  滴る汁、  突然静かになった水場  あのひとが愛の、  愛の在処をわかっていると誤解したままで  おれは死ぬのか  麦を主語に従…

中田満帆
1か月前
5

the burn out dreams

   ★  どっかで「書くことによってじぶんを傷つけている」とブコウスキーは書いてる  そうとも、多くの作家志望はそんなありさまだ  文芸は長期的に見ると、とて…

中田満帆
1か月前
10

おれの徒然〈17〉「ギターの悲劇」篇

 4時10分に起きる。朝餉の支度。うたた寝。4時43分まで寝てしまう。朝餉。蕎麦は不味かった。眠れない。時間だけがたっぷりある。ようやく6時まえ。あと2時間半だ。ひと眠り。折坂悠太がでる夢を見た。8時まえに起きる。入金確認。まずはネットで買う食糧から。プロテイン、リンゴ酢、トマト鍋の素。それから貯金代わりにギフト券を¥10,000分チャージする。8時45分に外出。業務スーパーへ。鶏胸肉⁵、燕麦³を

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Cabbage-Head’s Delusions


きのう病院でアテロームの処置をしてもらった
陰嚢にできたそれはデカくて外科で対処し切れずに皮膚科に代わってもらったんだ
局部麻酔をかけて5mm切って、なかの膿をだして洗った
次は金曜日の診察、それまでに何度かガーゼを張り直す必要があった
ロキソニンを嚥みながら、こいつを書いてる
金曜は金が入る
午前中はずっと買いだし、公共料金の支払い
午後2時半に再診がある
夜には芦野夕狩氏をゲストにお喋り

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中篇小説集『犬を裁け』のための著者解説

 去年だした、著作『犬を裁け』を内容を変えて再出版しました。エッセイと批評を排除し、新たに2篇の未収録作品を追加しました。以下、収録作。

 ・犬を裁け(2018)

 ・ソクラテスというポン引き(2018)

 ・倉庫街のタンゴ(2015,習作)



著者解説「事物と愁い」 

 ここに収めた作品群はページ数も内容も半端で、独立した作品集に掲載するにはあまりも発展途上にあり、作品として生彩に

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おれの徒然〈16〉「滝への長い小径」篇

   *

 きのう、大滝詠一のラジオ動画を流しながら、『大滝詠一レコーディング・ダイアリーvol.1』を読んでいた。ふいにおもいたって配信番組のための追加録音をした。番組OP、タイトル・コール、前説用の音楽、エンディング用にベースを録音した。なかなかうまくいったとおもうが、ディレクターの三浦果実氏が採用するかはわからない。

 きょうで20日だ。24日には工賃が入る。食糧はぎりぎり。セルフ兵糧攻

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おれの徒然〈15〉「フレットレスベース、到着」篇

 きょうの13時、おれは午睡していた。呼び鈴が鳴って起きると、こいつが届いていたわけだ。人生で2度めのベース購入。まえは10年くらいまえに買って、すぐに売ってしまったのだけれど、今回はそうじゃない。本気でやるために買った。

 今回はフレットレスということで、そのメリットやデメリットも調べた。それでこれを注文。ほんとうなら近所のバッカス堂で安く買うつもりだったものの、「5月再入荷予定」が待ちきれず

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猫──あるいはイギリスの夏

 レイモンド・チャンドラーの猫はタケというなまえだったのだが、
 来訪するアメリカ人たちの発音によってタキとゆがめられ、
 図らずも、bambooからwater fallへと変身した
 われわれはなにかを誤解すること、
 おもいちがうことによって、
 世界というものの真に近づくのである

 イギリスの夏は遠い
 手のひらが熱くなる午後の港
 たったいま交わした約束がでたらめだったと
 吐きすてるこ

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a son of subhuman

まえの土曜のツイキャス配信から、

Youtubeの投稿動画のアイデアに繋がった、

おれと歌誌「帆」広報の三浦果実氏とトーク番組を始めるということだ

いまさらYoutuberとは古いのだけれど、

ひとと話すことは最近愉しい

というわけで、

きょうはOP曲、ED曲、ジングルをつくった

ガットギター、カシオ・トーンバンク、Volca Beats+tarariraで。

ジングルには声も入れ

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呼び声 04/26

   *

 
 夏妊む幹のやさしさなどを識るかたわれもない存在のなか

 いつわりのわが家わが妻遠ざかる水のなかにて自己見失なば

 ひたさわぐ葉桜通り指をもて16ビートを刻むゆうまぐれ

 まぎれてもなお叫ぶ死者あり書物とは祝祭の一形態なり

 破戒することのよろこび絶えぬなか射撃音すら愛しくおもう

 わかもののふりして晩熟嗤いたるおとこのようなかぜが吹いてる

 なきにせよ 残されたものを

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拳闘士の休息《無修正版》

 試合開始はいつも午前3時だった
 父にアメリカ産の安ウォトカを奪われたそのとき
 無職のおれはやつを罵りながら
 追いまわし
 眼鏡をしたつらの左側をぶん撲った
 おれの拳で眼鏡が毀れ
 おれの拳は眼鏡の縁で切れ、血がシャーツに滴り、
 おれはまた親父を罵った
 返せ!
 酒を返せ!
 おれの人生を返せ!
 おまえが勝手に棄てたおれの絵を、おれの本を、おれのギターを!
 凋れた草のような母たちが

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voice of a familiyless man

    *父という帽子を探す一輪の花などあらぬ野にたちながら

 きのう、歌誌『帆』の広報担当の三浦果実氏がわたしの父と話した。録音を聴いた。当たり障りのある話じゃない。気になったのは三浦氏が使った《父に対する恨み》という辞で、おれ自身はいまや恨んではいない。ただ《嫌悪》とか、《痼り》を感じるぐらいだ。おれの友人を自称するのなら、そこらへん気をつけて欲しかったとおもう。

 でも、まあなんというか

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かの女たちにはわからない

   *

 秋声のうちにおのれを閉じ込めてつぎのよるべの夜を占う

 道を失う ひとの姿をした夜を突き飛ばしてまた朝が来る

 なぜだろう どうしてだろう わからない蟻の巣穴に零す砂糖よ

 みながみなわれを蔑して去ってゆくこの方程式の解とはなんぞ

 旅を夢想する儚さよただわが両手に林檎がひとつ

 あいまいな嘘ばかりなり駅名をひとつ飛び越すわれの贖罪

 鶏卵の高騰 われは斜に見て商店過ぎぬ

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おれの徒然〈12〉「人生浮上作戦」篇

   *

 以前にPDFで電子書籍を入稿したのだけれど、「読めない」というクレームがついて出版停止にしていた。いろいろと験したものの、PDFをEPUBにはできなかった。ところが「一太郎 EPUB エラー」で検索すると、固定ではなく、リフロー設定であれば数秒でできるということがわかった。さっそくデータをつくって入稿。ビューアで確認もしたが、やや構成がずれてしまうものの読める代物になった。たぶん、あ

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things for nothing



幻冬舎ルネッサンスの人間と喋った

送った本について話す予定だった

おれは長篇小説を以前、

講評してもらい、

その完成版を送ったんだ

ついでに詩集と掌篇集、歌誌も送った

日村勇紀の女版みたいな担当者と話した(以前の講評者はもういなかった)

たった15分で終わった

型どおりに褒められ、型どおりに商売の話

終わっておれは失望した

ほんとうに文学がわかる人間なんていないことに

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窓のある風景

 叫びのない窓が額装されるまでに
 まずは県民会館で
 エッチングとして公表された
 田舎者たちにかこまれ、
 曝された色彩が
 夜ごとかれらのなかで這入って
 やがて追放された

 叫びのない窓が額装されるまでに
 イギリスの小さな個展で
 散文藝術に複製されるかたちで
 ひとびとのまえにだされた
 ひどく脅えたガラスのなかで
 膨張するひとびと
 夜ごとかれらのなかで破裂して
 画廊ごと焼き討

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Alone Again Or

 折れた、
 夏草の茎の
 尖端から
 滴る汁、
 突然静かになった水場
 あのひとが愛の、
 愛の在処をわかっていると誤解したままで
 おれは死ぬのか
 麦を主語に従えた季節は終わって、
 世界の夏で、
 いまは微睡む
 そして無線の声
 "The less we say about it the better"
 でもちがうって気づく
 おれはあまりにも
 語りすぎたと
 いままでずっとそう、

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the burn out dreams

   ★

 どっかで「書くことによってじぶんを傷つけている」とブコウスキーは書いてる

 そうとも、多くの作家志望はそんなありさまだ

 文芸は長期的に見ると、とても不愉快だ

 毎回、じぶんが幸福でないことを確かめることなのだから。

 幸福の原感覚を持ないおれに

 いったいなにができるのかという疑問を

 いつも突きつけられている

 遠かれ近かれ、自己洞察や自己限定に接続された文学は

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