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芥川賞まわりの読書録

創作熱と読書熱!

🎥ジャクソンひとり/安堂ホセ

黒人ミックス、同性愛者のマイノリティ中のマイノリティの青年の話
「褐色」って言葉が不愉快な表現にあたるとは考えもしなかった
そういう控えるべき言葉って時代によっても変わるとホセさんがラジオで言ってた
ラストシーンはあんまりよくわからなくてアイズワイドシャットの儀式シーンを想像しながら読んだけど多分作者が描きたかったのと私の想像全然違うかも……

📰日曜日(付随する19枚のパルプ)/福海隆

もう一つの受賞作「私は無人島」はレイプって単語出てきてから拒否反応、読めなくなって中断……くやしい
男性同士のカップルのご陽気な日々と侵入者のおはなし
れいちゃんみたいな態度は「ゲット・アウト」っていうジョーダンピールの映画で見たことある
ゲットアウトの黒人の主人公に「黒人応援してるで」的なことをこちら側から何も言ってないのに一方的に言ってきた白人を思い出した
マイノリティ頑張ってな!!みたいな態度はジャクソンひとりでも見たし、一見誇張されているかに見えるれいちゃんのような人ってほんとに世の中にたくさんいるのかも
ただ、なんで鬱陶しがってるのにれいちゃんのゲイカップルインタビューを請け負うのか??が違和感だったんだけど選評で「アウティングを恐れているからかも」とありすんごい納得した

✍️ハンチバック/市川沙央

難病を患いながら文章を連ねつつ生きてる女性の話
自分の知らなかったことがたくさん書いてあり、広く読まれるべきだと思う
書籍化が少ない文學界新人賞ですぐさま書籍化が決定したのも、是非とも芥川賞にという計らいが読み取れる
ただ、市川さんの新作を読みたい気持ちと気後れする気持ちが半々。。
平和ボケの健常者に対する怨嗟に近い説教が見られ、新作でもまた怒られるのでは?と怖い先生の前でビクビクする生徒の気持ち。。でも、市川さんの小説にこれからも向き合っていきたい。

👧母影/尾崎世界観

「精神障害者で性風俗で働く社会的弱者の母とその子」の話。キツくて斜め読みした
尾崎世界観は曲の歌詞が差別的で前から無理なんだけど、やっぱり気になるから読んだ
まあ、なんか彼への印象が変わることはなかったかも
障害者でも社会的弱者でもない作者がこれを書く意味として、文章の中で女性を加害しているように受け取れた。
サドの文体を極限まで画質を落として、悪辣とした世界観はそのままに悪質なサンプリングをしたような作品
保坂和志的に言うと小説じゃなくて物語
でも来月の文學界でおそらく芥川賞候補を意識したと思われる新作が出るから読んでみたい

🎹アイスネルワイゼン/三木三奈

いろいろな問題を抱え人間関係にもストレスを抱く女性の話
三木さんはアキちゃん同様、謎めいててじゅくじゅくした不穏ないやーな感じを表現するのがとても得意な人なんだなあと思う
ミステリーとか書いてほしい
小説を読んでるというより知り合いからクソな人の話を聞かされて自分も最悪な気分になっちゃう、みたいな感覚になった
キャリーが重いと泣き崩れるラスト、自分の生を背負って生き続けねばならない辛さの発露のように思えてけっこう好きだった
一見他人からすれば全然重くないっていうのがまた良い、カタルシス感じて最近読んだ本の中で一番好きなラスト
すごく読みやすくて好きな作者かもって今作で思った

最近のヒットは「ハンチバック」!

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