日本国民がいつまでも豊かになれない四つの要因~属国・内需減少政策・利権中抜き・海外バラマキ~
戦後80年近くの間一度も戦争や内戦をしたことがなく、毎日長時間勤勉に働き、高い税金を必死に納めている日本国民が豊かになるどころか、日に日に窮乏の度合いを強めている主要な原因は大きく分けて四つある。
理由1 日米安保条約と地位協定によって日本が米国の新植民地にされている事
GHQ時代の米国の基本的対日統治方針
米国の属国日本に対する基本方針の柱は、日本の弱体化。これは、GHQ以来一貫した方針だが、戦後の東西冷戦の激化と朝鮮戦争の勃発に伴う「逆コース」の加速によって、一時的ではあったが方針変更を余儀なくされた。
1950年に起きた朝鮮戦争は、米国の対日統治方針に大きな影響を及ぼした。日本を国連軍の後方兵站基地にするため、それまでの再工業化抑制方針の転換を促したのだ。
朝鮮戦争特需は1950年~休戦後の55年までの累計で36億ドルに達し(当時の通常年間輸出額10億ドル)、日本の産業界は「ドッジ・ライン」実施後の深刻な不況から脱して急速に息を吹き返した。
空前の好景気によって1951年には鉱工業生産が戦前の水準を回復。同じ年にGNPも戦前の水準を超え、その後の高度経済成長につながる原資を蓄積することが出来た。
朝鮮民族にとって大災厄だった朝鮮戦争は逆に日本にとってはまさに天の助け、干天の慈雨で、もし、朝鮮戦争がなければその後も産業抑制政策は継続され、日本の再工業国化は大幅に遅れた可能性がある。
しかし、一方で、特需への過度の依存体制は日本経済の米国への従属・依存を強めるという副作用も生んだ。朝鮮特需終了後、余剰生産力は米国へと向かうようになり、安価な日本製品(メイド・イン・ジャパン)の洪水のような大量輸出と米国側の大幅入超は、後に日米間の深刻な経済摩擦へと繋がって行く。
東西冷戦の間、敗戦で壊滅状態となった焼け跡からいち早く復興。資本主義陣営の優等生として目覚ましい経済発展を遂げた日本は、反共の防波堤であると同時に共産圏に対する西側の「ショーウィンドー」として、米国にとって大いに利用価値のある国だった。
また、当時は社会党が強かったためへたに圧力をかけると反米感情が高まり、保守政権が転覆してソ連寄りの社会主義政権が誕生する恐れもあった。米国は日本の経済発展を内心苦々しく思いながらも仕方なく大目に見ていた。
日本経済に対する米国の寛容的態度が一変するのは、日本がGDPでドイツを追い越して世界第2位の経済大国となり、米国の経済覇権を脅かす存在になり始めた1980年台後半。
同時期にソ連の急激な衰退が明らかになると、米国は手のひらを返したように「ブラザ合意」(1985)、「日米構造協議」(1989~)等で日本経済に対する締め付けを強化する。
この背景には、日本製品の強すぎる国際競争力と米国経済が抱える財政赤字・貿易赤字と言う慢性的な「双子の赤字問題」が絡んでいた。
東西冷戦が終わった1980年代末以降、新たに加えられた日本統治方針
米国と日銀が仕組んだバブル崩壊
日本経済破壊の極めつけが、米国の意を受けた日銀による人為的バブルの生成と意図的な崩壊。これは強くなり過ぎた日本経済を一気に叩き潰すために仕掛けられ「ショック・ドクトリン」(経済的クーデター)だった。
米国と日銀の目論見は見事に成功。バブル崩壊の大打撃とその後の深刻な経済不況ですっかり自信を喪失した日本は、自国の強さの源泉だった「戦時経済体制」と「日本的経営」をあっさり捨て去り、米国の望む「新自由主義体制」(株主資本主義)の国へと進んで構造転換する道を選んだ。
日本の国富収奪の強化
米国の許可がない限り売却できない米国債の大量購入とその永久的保持(2024年3月の残高1兆1880億ドルで世界一=1ドル150円換算で178兆2000億円)、「防衛装備品」と言う名の米国製ポンコツ兵器の言い値爆買い(相場の2~3倍)、毎年一兆円を超える思いやり予算その他の「在日米軍関係経費」(自衛隊に言わせると「同盟強靱化予算」)、輸出企業の米国へのドル建て還流再投融資等によって巨額の国富が毎年米国に吸い取られ続けている。
【実例】 米国から購入する「防衛装備品」の場合
米国に一方的に有利な契約方式である「有償軍事援助(FMS)」による米国製兵器の言い値爆買いを始めたのは例のごとく安倍晋三。2012年の第2次安部政権発足以降、それまで500~1000億円前後だったものを一気に増やし始めた。
総理になる前は宏池会=ハト派のイメージがあった岸田文雄も安倍の方針をそのまま受け継ぎ、総理になった途端本性を現して元に戻すどころか契約額は年々増加の一途。
岸田が防衛費倍増を決めた2023年度のFMSの伸びはまさに異次元で、前年度の4倍近い1兆4768億円に上り、それまで最高額だった19年度予算の7013億円の2倍を超えて史上最高額となった。この金額の伸びを見れば、党内論議さえ吹っ飛ばして唐突拙速に決めた防衛費倍増の目的が何であったかは一目瞭然だろう。
FMSはローンで購入するため毎年「新規後年度負担」が積み増しされ、2022年度のローン残高は5兆6594億円に膨れ上がっている。
その上、①価格は米政府の見積もり(つまり言い値) ②納期はあくまで出荷予定時期であって目標 ③支払いは前払いが原則とされ、米国側の都合が最優先。現物が未納なのに数百億円分も前払いしている実態が判明し、国会でも問題になっている。
首尾よく納入されてもその多くが旧型のガラクタか使い物にならないポンコツ兵器。例えば昨年6月に納入された無人偵察機「RQ-4グローバルホーク」。日本が購入した型は、性能不足という理由で米空軍が2021年に退役を決めた旧型(Block30)。つまり日本は、米軍の不良在庫品を高値で買わされた訳だ。
制服組は使い物にならない事か分かっていたため、陸海空自のいずれも希望しなかったものを背広組(事務方)が手を上げる形で導入が決まったといういわくつきの政治案件。おまけに3機で619億円の本体価格に対して運用・維持コストが20年間に2,600億円(年間130億円)もかかるというとんでもないお荷物。
米国製兵器を買うという事は本体の代金を払ってそれで終わりにはならず、運用費、整備費、交換部品代、修理代、近代化改修費用、搭載電子戦兵器のバージョンアップ費用、米国から送り込まれる技術者の生活費(「グローバルホーク」の場合だけで40人)など、毎年途方もない額の維持管理費を垂れ流し続けるのだ。
因みに米国製武器購入と維持管理費は米ドルで支払うので、円安要因になる。
以上のように軍事関係だけでも日本は毎年巨額の国富を米国にむしり取られているのだが、目下、政府が大宣伝中の新NISAも例外ではない。投資先は主に米国で、国内投資には僅かしか回らない。
要するに米国にとって、日本はいくら引き出しても残高が減らない無尽蔵のATM。
大英帝国に莫大な富をもたらし続けた植民地時代のインドと同じように貧困大国米国の財政・貿易赤字を補填し、米国民の世界一の野放図な消費活動を裏で支え続けているのが、今や米国以上の貧困大国と化した日本なのだ。日本からの投資は、米国を更に豊かにするために使われている。
日本の本当の主権者は国民ではなく米国
それだけではない。サンフランシスコ講和条約で「独立」した後も事実上日本に国家主権はなく、今も米国の間接支配の下に置かれている。
日本政府に米国が望む政策をやらせる対日要求ルートは大きく分けて二系統あり、ひとつは「対日年次改革要望書」、日米FTA、「アーミテージ・ナイ・レポート」などで、こちらは公表もされているので謂わば表ルート。
ふたつ目が日米地位協定に基づいて設立された「日米合同委員会」と米国日本大使館経由で、こちらは実態が全く公表されないので所謂裏ルート。日本政府への圧力団体「在日アメリカ商工会議所」のルートはその中間と考えればよいだろう。
「対日年次改革要望書」は、公式には2009年に鳩山内閣によって廃止されたとされている。それに代わって重みを増しているのが「アーミテージ・ナイ・レポート」。民間シンクタンクCSISのジャパンハンドラーズ(知日強硬派)によって作成された対日報告書(実態は要求書)で、2000年の第1次レポートから2024年の第6次まで平均4年に1度報告書と言う名の命令を日本政府に突き付けている。
四半世紀に及ぶ「アーミテージ・ナイ・レポート」の要求項目は多岐に渡っているが、一定のタイムラグはあれど概ね数年から10年以内に大半が実現している。
日本政府の主要政策はこれらのルートを通して米国及び米軍によってコントロールされ続けて来た訳で、その実行役が米国と財界が資金を出して作らせた自民党という支配構造。その成り立ちからして、自民党は日本国民のために仕事をする政党ではなく、米国と財界に奉仕するための売国傀儡政党。
敗戦後7年間はマッカーサーのGHQによる軍政同然だったものが(形式的には日本政府を間に置いた間接統治)、講和条約以締結降は「米軍=米国➡売国傀儡政党自民党➡日本国民」という支配構造に変わっただけ。
日本が米国の「新植民地」にされているという本質は戦後75年近く経っても何も変わっていない。米国が政府自民党の陰に隠れ、本当の支配構造が見えにくくされただけだ。
在日米軍は外国から日本を守ってくれているなどという認識は幻想であり、日米安保条約の必要性を国民に納得させるための建前に過ぎない。実態は日本の内政・外交を支配するための日本占領軍であり、米国の東アジア戦略の軍事拠点(不沈空母)として日本の国土を自由に使うために永久占領下に置いているのだ。
理由2 日銀と政官財が共謀した新自由主義に基づく「内需減少政策=国民窮乏化政策」
バブル崩壊後も、日本経済が立ち直らないように日銀と政府は金融引き締めと緊縮財政政策という意図的デフレ政策を継続。民主党政権下の一時期を除き日本経済は順調に衰退し続けた。
経済が少しでも立ち直りかけると、その度に最強の「内需減少経済政策」である消費税増税その他の国民負担増を強行して再起の芽を潰した。
日本経済が再起できない事を見届けた後、日銀は金融緩和に転じたが、その頃には金融緩和のメリットはほとんどなくなっており、逆に円安による副作用の方が遥かに大きくなっていた。
自民党による長期の「各種内需減少政策」により全く経済成長せずどん底状態に陥っていた日本経済に最終的な引導を渡し日本国民を地獄の底に突き落としたのが、現在も継続中の「アベノミクス」。
安倍晋三は、「アベノミクスで日本を回復軌道に乗せ、『成長と分配(トリクルダウン)』の好循環を実現する」と胸を張った。
だが、実際に行ったのは「成長戦略」とは真逆の「日本衰退戦略」であり、最も強力な内部需要減少政策である消費税増税と金融緩和による異次元の円安を強力に推進。日本をどこまでも際限なく衰退し続ける腐敗した三流後進国に落ちぶれさせてしまった。
要するに「アベノミクス」の本質は単なる株高円安政策であり、目的は消費税倍増とセットで大量の日本株を保有している内外の富裕投資家層、トヨタをはじめとする輸出大企業を大儲けさせる事。
「アベノミクス」は彼らに官製株高による空前の金融所得、労せずして手に入る巨額の為替差益、更には輸出還付金をもたらして肥え太らせたが、実体経済の回復には何ら寄与せず経済成長には全く役立たなかった。
2000年からの20年間で投資家への配当を8倍以上に爆上げし、内部留保も大幅に増やしたので労働分配率がさがり、労働者の実質賃金はこの間一貫して低下続けた。国民の可処分所得が減っているのだから、GDPの6割以上を占める内部需要が回復するはずもなくついに長期不況から脱出できなくなったしまった。
アベノミクスは安倍晋三の死で終了した訳ではなく、安倍の日本破壊の執念が乗り移ったかのように菅~岸田政権に引き継がれて現在も継続中。安倍晋三が生前仕掛けておいたいくつもの時限爆弾は今も刻々と随所で爆発して、日本社会と国民を痛め続けている。
〇最早破断界に近づきつつある円の暴落(各国通貨に対する一方的円弱)によって弱体化した日本は、叩き売りのバーゲンセール状態。
〇政府やマスコミはインバウンド効果を盛んに宣伝しているが、インバウンド収入など日本のGDPの1パーセント以下で日本経済を押し上げる効果など0に等しい。むしろ落ちぶれた日本を象徴する現象であり、オーバーツーリズムという観光公害を日本中にまき散らしているだけ。
〇円安と海外資源高のダブルパンチで輸入品価格は天井知らず、急激な物価高騰と国富の流出を引き起こしている。
〇「増税メガネ総理」の異次元の課税強化により税金・社会保険料などに政府累積債務を含めた実質「国民負担率」は年々上昇の一途。2023年には、ついに北欧福祉国家を上回る62.8%に達した。江戸時代であれば5公5民どころか6公4民で、大規模な農民一揆や都市部での打ちこわしが頻発するレベル。
〇円安にもかかわらず日本の輸出製品が国際競争力を失い、貿易収支の大幅赤字に陥ったのも「アベノミクス」のおかげ。唯一残っていた自動車産業もEV化の大波の前では風前の灯火状態。
〇恐ろしい事に実質賃金も24か月連続で下がり続けており、これは世界的な経済的大災害だった「リーマンショック」を超える惨状。
〇最近の小林製薬製「紅麹」による健康被害も「アベノミクス」の三本目の毒矢「規制緩和による成長戦略」として導入された無責任な「機能性表示食品制度」の置き土産。
安倍晋三の置き土産とその後の菅~岸田の悪政のおかげで、日本はお先真っ暗のじり貧状態に陥っている。アジア一の「経済的先進国」と言われたのは遥か昔、今ではアジアどころか今では世界一の「超衰退先進国」。
政府自民党の「内部需要減少政策」と「アベノミクス」については、こちらの記事で詳述している。
本稿であまり触れられなかった日本の「新自由主義政策」については、次の記事を参照願いたい。
理由3 義務的経費以外の予算が国民のためではなく、主に自民党支持層へのバラマキに使われている事
政官財が共謀した「公金横流しシステム」によって巨額の公金が自民党、大企業財界、パソナや電通・吉本など自民党と癒着した縁故企業、大資本家層、高級官僚、自民党に献金している外国グローバル企業などの懐に吸い込まれて消えている。
この他、政権党である「売国自滅党」は自民党縁故企業や外国グローバル企業が日本で何の規制も受けずに自由に活動出来るようにするため、これまで国民の生活を守って来た大切な各種規制を次々に緩和撤廃。
同時に郵政公社の民営化によって50兆円以上の郵便貯金を米国に移転させたことを手始めに水道事業、農地、NTTなどの最重要インフラの外国企業への売却を加速化させている。
上に書いたように目下マスコミを総動員して大々的に宣伝している新NISAも一般庶民のなけなしの財産の米国への移転政策であり、次に狙われているのが国民健康保険、公的年金などの公的社会保障制度。
理由4 貧困大国日本が盛大に続けている異常な海外バラマキによる公金流出
これまた安倍晋三が始めたタガの外れた盛大な海外バラマキは、累計200兆円以上に達する。まさに大穴の開いたバケツで、国民が実質6公4民の重負担で汗水たらして納めている巨額の公金が国民のためには使われずに、刻々と外国に流失し続けている。
海外展開する日本企業からの強い要望に応えて、岸田政権は再びタイド援助への回帰を始めている節がある。その最たるものが昨年決定した所謂「押しかけ援助」。
タイド援助でおともだち企業を大儲けさせると同時に自民党へのキックバック額を増やすためにわざわざ支援要請のない国にまで「押しかけ援助できる制度(開発協力大綱)」を閣議決定してしまうという狂気。
「海外バラマキ」の詳細については、こちらの記事を参照願いたい。
公平公正な「高負担高福祉社会」が実現できていたら
国民のために働く公平公正な政府の下で公金が正しく使われていれば、実質62.8%という北欧福祉国家もびっくりの高い国民負担率に見合った「高負担高福祉社会」が実現できていたはずだ。
能登地震への政府自民党の対応について
日本再生への道
普通の民主主義国なら何より国民が黙っていないし、大規模な反政府運動が起きて自公のような反社組織犯罪政権などとっくに倒されているはずなのだ。
しかし、戦前から続く「上の者には逆らわずに従え」「長い者には巻かれろ」式の権威主義社会で生きている日本国民は政府に不満をぶつけるのではなく、そのフラストレーションを高齢者、低所得者、路上生活者、生活保護受給者、障がい者、公害被害者、災害被災者、在日外国人、女性、児童生徒、職場などでのパワハラ、セクハラ、カスハラなど、自分よりも下位にいると見なした者に向けて解消しようとする。
国民が怒らないのをいい事に日本では、憲法を平気で無視する「頭のおかしい政権」が何十年も居座っている。そのため、国民の幸福追求権や憲法第二十五条で定められた条文を実現し、生活を豊かにするために使われるはずの税金が、米国への貢納金や利権中抜き、海外バラマキなどによって今も失われ続けている。
米国との軍事同盟、自衛隊という戦力の保有を手始めに自民党は一貫して憲法を守るどころか、都合の悪い憲法条文を無視しその形骸化に努めて来た。
法治主義を破壊し、憲法違反の人治主義的政治を行って来た自民党の暴走を止めるべき「憲法の番人」最高裁はその役割を果たすどころか、伝家の宝刀「違憲立法審査権」を事実上放棄して自民党の憲法破壊に手を貸して来た。
検察にも同じことが言えるのだが、日本の司法機関が三権分立に立脚してきちんと自らの役割を果たしていれば、自民党がここまで腐敗堕落し、反社犯罪組織同然の無残な姿に落ちぶれる事もなかったはずだ。
僅か30年前、一時は「経済的先進国」として米国に追いつく勢いだった「栄光の時代」はどこへやら。今では狂った売国シロアリたちに国家の土台まで食い荒らされて骨の髄まで腐った三流衰退後進国に落ちぶれ、自滅の道をまっしぐらに突き進んでいる日本に残された時間はそう長くない。
世界史上でも稀で異常な犯罪組織自民党=売国自滅党と凶悪第2自民党維新を一刻も早く政界から退場させると共に、諸悪の根源として戦後日本の頸木になっている「日米安保条約」を解消し(その第一歩としてまずは「日米地位協定」の抜本的改定)、米国の属国状態から脱して日本をまともな独立国として再建する以外に道はない。
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