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日々に退屈した男、最近農業を始めた男

《この物語はフィクションであり、妄想である》


『毎日が退屈でさ、うんざりするよな』

『ああ。俺もだ』

『もう年だから新しいこと始めるのも面倒だよな』

『。。。』

『どうした?』

『実はな、最近畑を借りたんだ。』

『なんだよ?畑って農業でも始めるのかよ』

『農業ってほどじゃないよ。トマトを植えてみた

 だけだよ』

『そんなんで収穫できんのかよ』

『全滅だよ』

『くだらねー。そんな無駄なことやってどうすんだよ』

『作ってんのが楽しいんだよ。俺はさ、ずっと東京に

 いて消費するばっかりの人生だったんだよ。この歳で

 何にも作れないのが恥ずかしくてな』

『なんだよ。畑借りただけで俺に説教たれるのかよ』

『そんなことしねぇよ。たださ面白いんだよ。

 お前もやってみろよ。今度の日曜また見に行くんだけど。』

『うるせぇよ。そんなダサいこと俺はやらないね』


バンッ


ドアを叩いてあいつは帰ってしまった。



『追わなくていいんですか?』


マスターが話しかけてきた。

『いいんです。俺が悪いんですから』

『私も実はね、ミニトマトをプランターに

 植えててね。このサラダはそのトマトを使って

 いるんです。』

『へぇ』

『彼も何か熱中できるものが見つかるといいですね』


『ハァハァ』

店を飛び出したはいいものの行くあてがない。


『クソ。あいつだけ楽しそうにしやがって』

『何で怒ってんだ?俺。』


『ハハッ。なんてことない。俺はあいつに

 嫉妬してんのか。嫉妬、シット、ShiTだな』


『ダセェのはあいつじゃない。


 俺だよ、、、』


つづく。


福田光宏

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